大和玲子(蒼井優)の戒名に「礼」と「優」、位牌の細部にまで抜かりなし

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-11-03 14:30
投稿日:2023-11-03 14:30

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第5週「ほんまの家族や」#25

 スズ子(趣里)たちは、大和礼子(蒼井優)が出産後に病院で亡くなったと知らされる。スズ子はお別れの会で、大和が梅丸少女歌劇団に入団以来ずっと会っていなかった、大和の両親と出会う。

 一方、スズ子は東京行きの件でツヤ(水川あさみ)と相変わらずわだかまりを抱えていた。

 ツヤは、スズ子が東京に行ってしまったら帰ってこなくなるのではないかと心配しており、梅吉(柳葉敏郎)にどうするべきなのか相談する。

【本日のツボ】

桜咲く国

 ※※以下、ネタバレあります※※

 大和礼子の突然の訃報には驚きでした。スズ子と秋山(伊原六花)に、

「私ね、この子が生まれたら、私の何かが変わりそうな気がするの。それは踊りとかそういうことも含めて。自分がどう変わるか、すっごく楽しみ」

 と幸せそうに語っていた礼子。彼女の突然の死に背中を押されるように、スズ子が東京行きを決意した流れは自然ではありますが、母となった礼子のこの先ももっと見ていたかった、というのが正直なところです。

 梅丸でのお別れの会。祭壇の位牌がちらっと映りましたが、戒名に「礼」と「優」の字が入っていて、こんなところにまでこだわりが詰まっているのかと感心しました。

 礼子の夫、股野(森永悠希)の隣りにいる橘アオイ(翼和希)が赤ちゃんを撫でながら、「きっと歌と踊りの天才になるわ、あんた」という場面に、その後、橘が礼子の忘れ形見を股野と一緒に育てていくというのもアリかも、と思ったり……。妄想が膨らみます。

「桜咲く国」はUSKのモデルとなったOSK日本歌劇団のオリジナル

 そして、秋山美月・福来スズ子退団公演「桜乙女」。OSKオリジナルの「桜咲く国」をパラソル付きで見られるとは! 大阪編のフィナーレにふさわしい演目でした(公式にフルバージョンあり)。

 欲を言えば、現役スターでもある翼和希もステージに立っていただきたかったですが……。

 OSKといえばパラソル。観客も一緒にフリフリできる用のミニパラソルも売っています。

 当時のパラソルがここまで華やかだったかどうかは定かではありませんが……。

NHK紅白歌合戦に期待!

 それにしても、世間は少女歌劇といえば、なんでもかんでも宝塚歌劇団と思っている人が大半でしょうが、「ブギウギ」でOSKに光が当たったのは素晴らしいこと。

 先日放送されたNHK「わが心の大阪メロディー」に、翼和希率いるOSK劇団員も出演し、番組を盛り上げていました。

 年末の「紅白」でもパフォーマンスを見せてくれるのではないか、と期待します。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと
 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発...
帽子田 2025-04-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった
 8年間音沙汰のなかった登美子(松嶋菜々子)が突然帰ってくる。登美子に対してわだかまりが残ってはいるものの、自分の漫画を...
桧山珠美 2025-04-19 06:00 エンタメ
「あんぱん」登美子(松嶋菜々子)の登場が不穏…色っぽいけど。貴島中尉(市川知宏)は“あのキャラ”を意識?
 新聞社に出した漫画で賞金をもらい、ご機嫌の嵩(北村匠海)。一方のぶ(今田美桜)は、パン食い競走で転びそうになったところ...
桧山珠美 2025-04-17 16:02 エンタメ
カトパンへの嫌味に物議…新井恵理那は承認欲求のカタマリか、悪役を演じる聖人か?
 昨年3月、8年間出演して総合司会も務めていたテレビ朝日系の朝の情報番組『グッド!モーニング』を降板したフリーアナウンサ...
堺屋大地 2025-04-17 06:00 エンタメ
【募集】春ドラマ何見る? 面白かった&ガッカリを教えて!『最後から二番目の恋』『あんぱん』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「期待している」「面白...
笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー
“この村では、人が喰われているらしい……”    2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートす...
望月ふみ 2025-04-15 06:00 エンタメ
「あんぱん」嵩(北村匠海)の“ジェラシー”がなんとも可愛い! 寛(竹野内豊)の診察シーンが見たかった
 昭和10年、高等女学校の5年生になったのぶ(今田美桜)は、ある日、貴島中尉(市川知宏)と再会。祭りのパン食い競走で使う...
桧山珠美 2025-04-14 19:03 エンタメ
15分の朝ドラで高揚感を得られるんだ! のぶ&嵩の“子役最終回”が見せた未来の夫婦関係
 久しぶりに登美子(松嶋菜々子)の顔を見て胸がいっぱいになる嵩(木村優来)だったが、登美子は困惑した表情を浮かべる。のぶ...
桧山珠美 2025-04-12 06:00 エンタメ
旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ
「あんぱん」ウラの見所~初週からブチかまし!細部に神経が行き届いた作品だと印象付けた中園脚本
 結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ち、悲しみに暮れる朝田家。しかし、のぶ(永瀬ゆずな)は一粒の涙も流さなかった。そんなのぶ...
桧山珠美 2025-04-05 06:00 エンタメ