【今回の女ことば】台風
今年、お盆休みを直撃した台風7号や、ハワイ州マウイ島でハリケーン「ドーラ」の強風によって、山火事が起こり甚大な被害が出たことを覚えている人も多いのではないでしょうか。
日本では「台風〇号」などと記号で呼ばれますが、米国では人名が使われているのは有名な話ですね。どうしてでしょうか?
気象庁によると、日本の表記は毎年1月1日以後、最も早く発生した台風を第1号とし、以後台風の発生順に番号をつけているそうです。特に甚大な被害をもたらした台風には、上陸地点の地名等を用いて気象庁が別途、命名することもあります。(例:伊勢湾台風、室戸台風)
それに対して、米国は1950年代に、米国空軍や海軍の気象学者らが、彼らのガールフレンドや妻の名前を愛称として使ったことから、アリスやベティなど女性の名前のみが採用されるようになったといわれています。
もし当時の日本でそのような風習があったら、どんな名前になっていたでしょうか?
明治安田生命の「生まれ年別名前ベスト10」によると、1950年生まれの女性は「和子」が最多で、以下「洋子」「幸子」「恵子」「節子」「京子」「悦子」「恵美子」「順子」「由美子」となっています。
『沖縄の南の海上で台風<和子>が発生、今後、非常に強い勢力で沖縄に近づくおそれがあり、今後の台風情報に注意してください』というニュースになっていたかもしれませんね。
男性と女性の名前が交互に
米国ではその後1979年に、男女平等の観点から、男性と女性の名前が交互に用いられています。
2000年から、アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)と世界気象機関(WMO)が共同で設立した台風委員会(日本含む14カ国が加盟)が、北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風に、共通のアジア名として固有の名前(加盟国などが提案)を付けることになりました。
日本からは、星座名に由来する名前10個を提案。気象庁は理由として、特定の個人・法人の名称や商標、地名、天気現象名でない「中立的な」名称で、「自然」の事物であって比較的利害関係が生じにくいことなどを挙げています。
ちなみに、9月30日に発生した台風14号は「Koinu(コイヌ)」(由来はこいぬ座、子犬)になりました。コイヌと聞くとカワイイですが、この台風「コイヌ」は、非常に強い勢力で台湾に接近し、暴風をもたらすなど大暴れしたそうです。
(日刊現代校閲/タダ美)
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