六郎役・黒崎煌代の将来性、母ツヤとやり取りに泣けて泣けて笑える

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-11-21 17:30
投稿日:2023-11-21 17:30

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第8週「ワテのお母ちゃん」#37

 六郎(黒崎煌代)の出征の日がせまり、六郎は頭を丸め恥ずかしそうにしている。相変わらず体調が悪いツヤ(水川あさみ)は専門の医師の診察を受けることとなった。

 診察を受けたツヤはもう自分が助からないことを悟り、梅吉(柳葉敏郎)に、このことをスズ子(趣里)と六郎には言わないようにと伝える。

 ツヤの病気の重さをまだ知らない六郎は、落ち込む梅吉の前でふざけてはしゃいでしまい、梅吉と仲違いしてしまう。

【本日のツボ】

六郎(黒崎煌代・くろさきこうだい)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 あんなに楽しかった先週までの「ブギウギ」から一転。今週は六郎の出征に、母ツヤの病気と、ヘヴィな内容になってきました。

 入隊前に頭を坊主にした六郎。その頭を撫でて「よう似合うてるで」と母。「ほんまか。姉やんにも見せたいわ」と。

「おかあちゃんはよ治さなあかんで」と床のツヤの前になかなか現れない六郎。坊主頭が恥ずかしかったようです。

 常連客を前に、戦争のまねごとをする六郎。敵に打たれてその場に倒れ、「花田六郎は敵の弾にあたりましたが、死んでも機関銃を放しませんでした」と言います。

ラッパ手・木口小平の真似

 これは日清戦争で、敵の銃弾に当たってもラッパを放さなかった忠君の美談として語られるラッパ兵「木口小平は死んでもラッパを放しませんでした」の真似です。

 立派な兵隊になろうという決意なのかもしれません。六郎の無邪気さが悲しみを誘います。

 はしゃぐ六郎を大声で一喝した父・梅吉。ツヤの命が長くないということがわかり、六郎に優しく接する余裕がなかったのだから無理もありません。

 夜、脱衣所の掃除をする六郎に「すまなんだな」と声を掛ける梅吉。ゆっくり振り返った六郎は、「もう一生、おとうちゃんと口聞かんとこ、おもた。大きい声好かんねん。もう止めてな」と。

泣けて泣けて笑える

 場面代わって、ツヤの病床へ。

「甘えたしいたいんか」
「かわいいでえ」
「いつまでたってもこどもみたいやな」
「六郎、あんたはどんくさいことないで。ほんまはみんなあんたみたいに素直で正直な人間になりたい思てるねんで。わても」
「おかあちゃん、嘘つきなんか」

 泣けて泣けて笑える、ツヤと六郎とのやりとりに、しみじみ。

 そんな六郎、てっきり入隊したのかと思ったら、スズ子の家の前に。「姉やんに会いにきたんや」と。お気に入りの亀の帽子とともに。新幹線はまだない時代、どれだけの時間をかけて東京に来たのか、気になるところです。

 六郎を演じる黒崎煌代は、これがドラマデビューということですが、なかなかの名演技で将来が楽しみな新人です。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


森香澄は“嫌われる女”を演じてる説 「女子アナ」抹消計画を進行中!?
 元・テレビ東京の「女子アナ」で、昨年3月に退社してフリーに転身後、バラエティ番組を中心に引っ張りだことなっている森香澄...
堺屋大地 2024-04-17 06:00 エンタメ
朝ドラ史上初の快挙!ヒロインの月のもの(生理)事情が描かれた
 生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは先輩の久保田(小林涼子)・中山(...
桧山珠美 2024-04-15 15:48 エンタメ
平野、神宮寺、岸のNumber_i返り咲きの春! 欲いえばもっともっと…
 さくら満開の春、Number_iがテレビに帰ってきました平野紫耀(27)、神宮寺勇太(26)、岸優太(28)、お久しぶ...
「ニャニャニャニャニャ」寅子の必殺技!いずれ強い虎になる“伏線”か?
 判決の日。寅子(伊藤沙莉)たちの予想は外れ、妻が着物を取り戻すことが認められる。大喜びする女子部の面々だったが、よね(...
桧山珠美 2024-04-12 18:20 エンタメ
不祥事芸人・フジモンの賛否両論の復帰劇!実は吉本への貢献度が抜群?
 昨年10月に当て逃げ事故を起こして活動自粛していたフジモンことFUJIWARA・藤本敏史が、3月23日放送の『さんまの...
堺屋大地 2024-04-12 06:00 エンタメ
寅子「あきらめたらそこで終わり」はもしや…名作漫画のイズムにニヤリ
 傍聴した裁判について尋ねた寅子(伊藤沙莉)に対し、穂高(小林薫)は皆で議論してみるよう促す。  暴力を振るう夫か...
桧山珠美 2024-04-11 15:25 エンタメ
トラコ入学、伊藤沙莉は表情筋を自由に操る女優…男装の山田よねにも注目
 昭和7年。晴れて「明律大学女子部法科」に入学した寅子(伊藤沙莉)のクラスには女子の憧れの的の華族令嬢・桜川涼子(桜井ユ...
桧山珠美 2024-04-08 18:38 エンタメ
“お騒がせ”青井実アナが心機一転、なにわ男子の道枝駿佑と似てるって⁉
 世の中の人がNHKに持つイメージといいますと、「真面目」「お堅い」「地味」といったところでしょうか。  そんな中...
逃げ恥の百合ちゃん役が“頭のいい女は頭の悪いふりをするしかない”発言
 穂高(小林薫)に出くわしたことで女子部への出願が母・はる(石田ゆり子)にばれてしまった寅子(伊藤沙莉)。  娘に...
桧山珠美 2024-04-05 15:30 エンタメ
「虎に翼」語りは尾野真千子 NHKアナと俳優のナレーションの違いは?
 寅子(伊藤沙莉)がお見合いに苦戦する中、親友の花江(森田望智)は寅子の兄・直道(上川周作)との結婚準備を順調に進めてい...
桧山珠美 2024-04-05 15:14 エンタメ
「虎に翼」シン・朝ドラの予感!わずか1話、たった15分で心つかんだ描写
 昭和6年・東京。女学校に通う猪爪寅子(伊藤沙莉)は父・直言(岡部たかし)、母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧...
桧山珠美 2024-04-01 22:28 エンタメ
僥倖!世界に挑む赤西仁ほど「サムライマック」のCM向きな俳優はいない
 マクドナルドのCMにイケメンあり!  そんな声をちらほら耳にするようになりました。たとえば4月2日から全国放送さ...
平野らTOBEがドーム公演大成功の一方、暗雲立ち込める旧ジャニの逆転は
 3月14日から17日にかけて、滝沢秀明氏創設のTOBE所属アーティストによる東京ドーム公演「to HEROes ~TO...
こじらぶ 2024-03-30 06:00 エンタメ
ブギウギ最終回、水を差すようでスンマセン! 残念すぎる4つの演出と描写
 スズ子(趣里)のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子(菊地凛子)、愛子(...
桧山珠美 2024-03-30 11:41 エンタメ
スズ子引退会見、“天敵の文屋”鮫島の「シャッポを脱ぐ」演出を読む
 歌手・福来スズ子(趣里)の引退会見の当日。スズ子は結局、羽鳥善一(草彅剛)とは話ができないまま会見に臨むことになってし...
桧山珠美 2024-03-27 14:30 エンタメ
超鈍感力! 羽鳥の絶縁宣言を屁とも思わないスズ子とタケシは似た者同士
 歌手引退――。スズ子(趣里)はその決断を、愛子(このか)や大野(木野花)に伝えた。  羽鳥善一(草彅剛)に絶縁す...
桧山珠美 2024-03-26 15:40 エンタメ