ゴンベエ(宇野祥平)の素性が明らかに…上方新喜劇ばりの人情劇がグー

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-11-24 16:11
投稿日:2023-11-24 16:05

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第8週「ワテのお母ちゃん」#40

 ツヤ(水川あさみ)が亡くなり、スズ子(趣里)は梅吉(柳葉敏郎)と今後のはな湯をどのようにしていくか相談する。

 スズ子は、赤字が続く状況では売るか閉めるしかないのではないかと言う。

 ゴンベエ(宇野祥平)は自分の貯金でなんとかならないかと申し出るのだが、その金額ではどうしようもないと考えるスズ子ははな湯を閉めることを決断する。

 そんな時、三沢光子(本上まなみ)と名乗る女性がはな湯を訪ねてくる。

【本日のツボ】

伊福部玉五郎(いふくべたまごろう)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 ツヤの通夜から始まりました。「ツヤちゃんは湿っぽいのは好かん。賑やかに送ったってや~」という梅吉の言葉もあり、はな湯はいつもどおりの顔ぶれでいつもどおりの調子です。

 酒の飲み過ぎをスズ子に「酔い過ぎや。おかあちゃん怒ってるで」とたしなめられ、「ツヤちゃ~ん、化けて出て、ワシ、蹴飛ばしてくれ~」と酔っ払ってツヤの遺影にすがる梅吉。遺影のツヤは満面の笑顔です。

 梅吉とツヤ、典型的な浪花の夫婦でしたね。あかんたれ夫にしっかりものの妻。織田作之助「夫婦善哉」の蝶子と柳吉以来の大阪ドラマあるあるです。

 そうなるとツヤ亡き後の梅吉が心配。なにかやらかさなければいいのですが……。

スズ子の幼なじみ・タイ子が身重に

 そして、もうひとり心配なのはタイ子(藤間爽子)です。いつの間にかお腹が大きくなっていました。しかも、ダンナさんは「出張でこっちくるたび、ウチを呼んでくれてん」。

 出産後は東京で暮らすとのことでしたが、子どもの父親が気になります。タイ子も母と同じ道を歩いていくことになるのか、と。とはいえ、タイ子が東京に来れば、スズ子も心強いことでしょう。

 タイ子の出番もこの先もあるということで、よかったです。

ウマい話でよし

 それよりもなによりも、ゴンベエさんの正体です。伊福部玉五郎って。ツヤの描いた人相書き付きたずねびとの紙を見た光子が、はな湯に訪ねてきて、一気に解決しました。

 光子はずっとゴンベエを慕っていたと逆プロポーズ。200円の支度金まで持って。赤字続きで閉めることにしたはな湯は、ゴンベエの貯金200円と、光子の200円、合わせて400円で持ち直すという、松竹新喜劇や吉本新喜劇でおなじみの人情劇のような結末で、ほっこりしました。

「そんなウマい話、あるか!」ってツッコまれそうですが、いいんです、これで。はな湯もそのまま、ゴンベエも幸せに。めでたしめでたし。

 それを“ツヤが起こした奇跡”としたところもマルです。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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