スズ子と愛助「年の差恋愛」に障害…おでん屋台店主・伝蔵の台詞に注目

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-12-16 06:00
投稿日:2023-12-16 06:00

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第11週「ワテよりも十も下や」#55

 愛助(水上恒司)から「恋人になってください」と言われ、スズ子(趣里)は「ちょっと考えさせてほしい」と答える。それ以来、スズ子は恋に思い悩んでいた。

 一方、マネージャーの五木(村上新悟)からは村山興業を敵に回したくないので、波風を立てず、10歳も年下の相手に本気になるべきじゃないと言われる。

 そんな思い悩むスズ子に、小夜(富田望生)は悩みを聞こうと、伝蔵(坂田聡)のおでん屋台で話をすることにする。

【本日のツボ】

おでん屋台での恋バナfeat.伝蔵

 ※※以下、ネタバレあります※※

「結構しっかりした子やねん。チャップリンみたいに世界中の人を笑かしたいって、大きな夢持ってはるし」

 伝蔵の屋台で小夜に愛助のことを話し出すスズ子。それを聞いた小夜は「夢を語る男は信用できねえ」とすかさず否定。

「せやけど」と学徒出陣のニュースに、いずれ愛助も戦地に行くかと思ったら「苦しゅうて苦しゅうて」と訴えるスズ子に、「本気で惚れたのけ、あの男に」とようやくスズ子の本心を理解した小夜。

 そんな小夜に、「ようわからんねん。ワテな男の人から好き言われたの初めてやねん」と胸の内を打ち明けるスズ子。

「初めてか」となんともいえない表情の小夜に、「あんたはあるんかいな」とスズ子。

「何回もあっぺぇ。だけどたいていの男はその場だけだった。いっつも騙されたぁ。……やっぱスズ子さん、気ぃつけろ」と。

 男女のことは小夜のほうが何枚もうわてなようで、スズ子には頼もしい相談相手になるのではないでしょうか。

「あの人、もの凄い真剣な目ぇやってん」とスズ子が言えば、「いいや。男はああいう時に演技ができんだ」と。

 なんでも疑ってかかる小夜が、いつ、愛助を認めるのか、楽しみです。

「年のことなんか気にしてるのか」

「せやけど。9つもしたやろ。自分でもみっともない思うわ」と悩むスズ子に今度は伝蔵が割って入ります。

「なんだお前。年のことなんか気にしてるのか」

「そりゃ9つも下やったら気にしますがな」

「ふっ。変な歌、うたってるくせにつまんねえこと気にしやがってよ。大事なのはな、おめえの気持ちだろ。あの野郎は悪い奴じゃねえぞ。なかなかいい目してんだって。若けえ時の俺とそっくりだ」とスズ子の背中を押します。

 伝蔵、グッジョブ。いい仕事をしました。大根しかないおでん屋台でも通ったかいがあったというものです。

 それにしてもあのおでん鍋がいつ金属供出で取られるかと思うとひやひやします。

【おまけのツボ】

五木ひろき、おネエにキャラ変!?

「スズ子ちゃ~ん、ちょっと」と、スズ子を事務所の外に連れ出した五木。

「どうなのよ~その後」とスズ子に問いかけ、「何がでっか」ととぼけるスズ子に、「何がじゃないよ。村山のボンボンに決まってるじゃないのよ。別れた?」と。

 黙るスズ子に対して「ちょっとちょっとぉ~、まだ話つけてないのぉ~、早くしてよぉ~」と。

 スズ子のせいで村山興業の女社長の怒りを買えば、嫌がらせをされて楽団の仕事が無くなる、と恐れているようですが、その前に、五木の喋り方がおネエっぽくなっていて、台詞がなかなか入ってきませんでした。

 突然のキャラ変、なにかの伏線でしょうか。要注目です。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」蘭子と豪の秘めたる恋に“過去の名作”を思い出す。河合優実は百恵ちゃんによく似ている
 縁談の返事をしに出掛けた蘭子(河合優実)を連れ戻したのぶ(今田美桜)に、蘭子は本心を明かす。季節は巡って秋になり、うさ...
桧山珠美 2025-05-01 19:16 エンタメ
なにわ男子・道枝駿佑は“肉食女子”から守られたのか?「キャスター」男性俳優陣が気になるよ
 芸能界広しといえども清純派と呼べるのは芦田愛菜だけ。長年、そう訴えてきましたが、今回の一件が図らずともそれを証明したの...
共亜事件は「虎に翼」のオマージュか。あんぱん、ブギウギの3人が同時代を生きている
 昭和11年、家族や嵩(北村匠海)に見送られ、のぶ(今田美桜)は女子師範学校の寮に入る。軍国主義の担任・黒井雪子(瀧内公...
桧山珠美 2025-04-28 18:40 エンタメ
「あんぱん」最後まで毒親だった登美子(松嶋菜々子)。去っていく彼女に問うてみたいこと
 受験したのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の明暗が分かれる。静まり返った柳井家で、寛(竹野内豊)たちに頭を下げる嵩。そこ...
桧山珠美 2025-04-26 12:50 エンタメ
春ドラマの評判を調査!『最後から二番目の恋』は令和の鬼渡?『あんぱん』『対岸の家事』の感想は
 2025年4月期も話題のドラマが続々スタート! 多すぎてどれを見るのか迷ってしまう…。そんな人のために忖度なしでドラマ...
「あんぱん」千尋(中沢元紀)は本当に良い子…史実どおりの展開なのか。しょくぱんまんのようなイケメンだ
 けんかした嵩(北村匠海)と千尋(中沢元紀)に、寛(竹野内豊)は改めて後継ぎはいらないと告げる。そして、何をしながら生き...
桧山珠美 2025-04-23 17:51 エンタメ
こうでなくちゃ! 志尊淳の正解を「恋は闇」で見た。いい人よりも“妖しい姿”に妄想が駆り立てられる
 新ドラマ「恋は闇」(日本テレビ系)の志尊淳が良きです。  前クールの「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった...
「あんぱん」なんて贅沢!今が旬、河合優実の“目で語る”表現力と色気に驚く。俳優・ソニンのEE JUMP感を消した演技も見事
 なりたい夢を見つけたのぶ(今田美桜)は、女子師範学校合格に向けて猛勉強をし始めるが、成績が思わしくなく頭を抱える。同じ...
桧山珠美 2025-04-21 14:23 エンタメ
怪演・市原隼人に「ヤバい超大物」2人が熱烈ラブコール。迫真すぎる“ガンギマリ”の演技がモテる理由か
 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)にて、盲目の大富豪にしてゾクッとする異様な雰囲気を放つ鳥山検校を怪演...
堺屋大地 2025-04-21 06:00 エンタメ
ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと
 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発...
帽子田 2025-04-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった
 8年間音沙汰のなかった登美子(松嶋菜々子)が突然帰ってくる。登美子に対してわだかまりが残ってはいるものの、自分の漫画を...
桧山珠美 2025-04-19 06:00 エンタメ
「あんぱん」登美子(松嶋菜々子)の登場が不穏…色っぽいけど。貴島中尉(市川知宏)は“あのキャラ”を意識?
 新聞社に出した漫画で賞金をもらい、ご機嫌の嵩(北村匠海)。一方のぶ(今田美桜)は、パン食い競走で転びそうになったところ...
桧山珠美 2025-04-17 16:02 エンタメ
カトパンへの嫌味に物議…新井恵理那は承認欲求のカタマリか、悪役を演じる聖人か?
 昨年3月、8年間出演して総合司会も務めていたテレビ朝日系の朝の情報番組『グッド!モーニング』を降板したフリーアナウンサ...
堺屋大地 2025-04-17 06:00 エンタメ
【募集】春ドラマ何見る? 面白かった&ガッカリを教えて!『最後から二番目の恋』『あんぱん』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「期待している」「面白...
笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー
“この村では、人が喰われているらしい……”    2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートす...
望月ふみ 2025-04-15 06:00 エンタメ