口臭・体臭・尿の悪臭…私のニオイの源は「糖質オフダイエット」が原因!?

コクハク編集部
更新日:2024-01-18 06:00
投稿日:2024-01-18 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 糖質完全オフダイエット後に尿や汗、息のすっぱいニオイは病院に行くべきなのか

 佳子さん(38歳女性/仮名)の方からご質問をいただきました。

「最近、体臭が気になるんです。息や汗、尿まで臭います。気のせいかと思っていたんですが、夫に…」

 えりのボスは察して、こう続けました。

「『臭い』と言われたの?」

 佳子さんは伏し目がちに、うなづきながら続けます。

「直接ではありませんが、『風呂ちゃんと入ったら?』と遠回しに言われてしまったんです。そっちのほうが逆に傷つきますよね。もちろんお風呂は毎日入っています!」

「体臭の変化の原因に何か思い当たる節はあるの? たとえば食事とか」

「糖質を完全オフして、厳しく食事制限していました。でも体臭と直接関係あるんですか?」

 ハッとした顔になるえりのボス。しかし、佳子さんはまったくピンと来ていないようです。

 これは放っておけません!

2. ケトン体って?

「人間のからだはよくできていて、糖の摂取を断つと、他のところからエネルギーを得ようとするの。中性脂肪を分解して、ケトン体というエネルギー源を作り出すんだけど、そのうちの『アセトン』という主成分が、体臭の原因にもなってしまうのよ。

 この体臭は、『ケトン臭』または『ダイエット臭』とも呼ばれるわ。基本的に、糖質制限をすればするほどニオイがきつくなるの」

 えりのボスの説明に、おそるおそる桂子さんが尋ねます。

「どんなニオイが出るんですか?」

まだ始めの段階だと脂っぽいニオイで、そこまで強くないんだけど、糖質制限を行い続けると、アンモニア臭、やがて甘酸っぱいニオイとなっていくわ。血液循環を通し、呼気や汗、尿から排出されるの

「甘酸っぱいニオイ…ちょっと心当たりがあります」

「糖質制限と似たダイエット方法で、三大栄養素のタンパク質、脂質、炭水化物のバランスを重視する『ケトン体ダイエット(ケトジェニックダイエット)』というのがあるけど、糖質制限と同じように体臭が増す原因になるので、注意が必要よ」

3. ケトン臭を防ぎ適切なダイエットを行う方法

 ケトン臭を防ぎつつ、無理なくダイエットを行うための5つのポイントをご紹介します。

3-1. 栄養バランスの取れた食事の見直し

 ケトン臭は、極端な糖質制限が原因です。いきなり「ご飯やパンなどの炭水化物を一切食べない」という無理な食事制限を行っても、急激な変化にからだが驚き、精神的にも負担が大きくなります。

 まずは主食を少し減らし、次は夕食…というように、徐々に減らしていくほうが負担も少なく、ダイエットとしても成功しやすくなります。

 そして、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。

 脂質やタンパク質が多い肉、卵、チーズなどを摂取しつつ、ビタミンやミネラルなどの必須栄養素、そして食物繊維も欠かさず摂取しましょう。

3-2. 適切な水分の摂取

 糖質制限を行うと、体内に蓄えられているグリコーゲンが減少しますが、グリコーゲンは水分と結びついているため、一緒に体内の水分も失われてしまいます。

 また、ご飯や麺類といった炭水化物には水分が多く含まれているため、糖質制限で炭水化物の摂取量が減ってしまうと、食事からの水分摂取量不足に陥ることに。

 人間にとって1日に必要な水分は、食物に含まれる水分と、飲み水を合計して、2リットルといわれています。水分が不足しがちな糖質制限ダイエット中は、意識的に水分補給を行いましょう。

3-3. 食物繊維の摂取

 食物繊維は、「水溶性食物繊維」「不溶性食物繊維」の2種類があり、どちらもダイエットに大きく関係しています。

 水溶性食物繊維は、体内に不要なものを吸収しながら大腸まで達し、善玉菌の餌になります。不溶性食物繊維は、水分を含み膨張し、便のカサを増し、便秘を解消する効果があります。

 キノコ類、海藻などは糖質が低いうえに食物繊維が多く含まれているのでおすすめです。食物繊維の1日の目安摂取量24g以上を目標に、しっかりと摂取しましょう。

3-4. ストレスの管理

 ダイエットのストレスには、「空腹感」「栄養不足」「睡眠不足」の3つが挙げられます。自律神経やホルモンバランスが崩れたり、メンタルが不安定になったりすると、心とからだのバランスが崩れてしまいます。

 ストレスを管理するには、現実的なダイエット計画を立てることです。たとえば、糖質制限を始めて、停滞期が来たら「チートデイ」を設定するのがおすすめです。

 チートデイとは、食事制限を解除して、自由に食べてもいい日のこと。

 ただし、「暴飲暴食がOK」というわけではないので気をつけましょう。食事バランスを考慮したうえで、糖質を普通に摂取する日を作り、ストレスを発散させましょう。

3-5. ダイエットのサポートに向いている漢方薬を使ってみる

 ダイエットには、漢方薬を利用するのもおすすめです。漢方薬には直接脂肪を落とすようなものは存在しませんが、脂質代謝を改善し、脂肪の燃焼を促します。

 漢方で痩せやすい体質を目指すには、血流をよくして代謝をあげる、過食の原因となるストレスを軽減する、ホルモンバランスの乱れを整えるなどのはたらきを持つ漢方薬を選ぶとよいでしょう。

<ダイエットのサポートに向いている漢方薬>

・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):便秘気味で、おなか周りの脂肪が気になる方に適している漢方薬です。からだにたまった余分な熱を冷まし、脂質の代謝を促して肥満を改善します。

・大柴胡湯(だいさいことう):ストレスでやけ食いしてしまう方におすすめの漢方薬です。胸部の熱をとり去り、代謝を整えることで便通を改善します。

 漢方薬は、人それぞれ異なる「体質」が重要視されています。体質に合わないと、望んだ効果が得られず、思わぬ副作用が出る場合もあります。自分の体質がわからないときは、医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。

4. 体臭はからだのサイン!無理のないダイエットを

「病院に行く必要はあるんでしょうか?」

「ケトン臭は、ダイエットの影響で代謝が低下している証拠だから、基本的にダイエットをやめれば徐々になくなっていくわ。

 それでも、あまりにもニオイが気になる場合や、体調に変化を感じるなら、なるべく早めに病院を受診することね。

 そもそも、いきなり無茶なダイエットは禁物よ。体質に合う合わないの問題があるし、管理栄養士さんなどのアドバイスも聞いたほうがいいわ」

「体臭ってからだのサインだったんですね。ダイエットは無理のない範囲で行おうと改めて感じました。今日はありがとうございました!」

「また何かあったら気軽にいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていく桂子さんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


熱狂する韓国コスメブームに違和感。顔につけるのに、低価格、パケ買い、なんとなく…だけで買って大丈夫?
 つい先日、資生堂の最終赤字が100億円超との報道がありました。主な理由は中国での事業不振にあるそうですが、実際のところ...
急に夜が淡白になり、枯れてしまった彼氏…【薬剤師監修】浮気以外で考えられる原因は?
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
40代で「実年齢+5歳老け見え」は絶対回避したい!【美容家激推し】お助けアイテム3選
 40代を迎えると、ちょっとした老け見えにも落ち込みますよね。「43歳なのに、48歳くらいに見られた…」なんてしょんぼり...
お肌のシミはなぜできる?【美容外科医が解説】薬局で購入可能なおすすめの薬と美容クリニックの威力
 この連載では美容医療“若葉マーク”の方々に向けて、テッパンの不安や疑問を分かりやすく“一発回答”。美容医療11年目の美...
腹痛だけと思ったら大間違い!本当は怖~い「便秘」の5つの影響【薬剤師監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
冬でもテカる! 厄介な「油田肌」3つの原因と対策3カ条。逆効果のケアしていませんか?
「夏はまだしも、真冬の今でも肌がテカるのなんでなの!?」とキレている女性の皆さま、必見!  今回は冬でも肌がテカる原因...
40代に高額な美容液は必要なの? 愛すべきプチプラではなく、全力で投資すべきデイリーコスメは…
 40代半ばを過ぎてくると「高価な美容液に変えるべき?」の疑問が湧いてくる人も多いよう。実際に私のもとへも、「プチプラ美...
脱ネガティブ! マインドフルネスって何?【専門家監修】1日5分から始める簡単メソッドを解説
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
美容家熱弁!40代以上に大人気のプチプラで“買い”な最新作(UV対策、ポイントメイク、ヘアアレンジ)は?
 ここ数年で「プチプラ」と呼ばれるコスメのレベルが、格段に上がっていますよね!  大人世代が使っても納得と満足の両方を...
噂の美容法「タオルで顔拭きはNG」って嘘でしょ!? 医師3人の回答は/専門家監修【美容のウソ・ホント】
 SNSやYouTubeにさまざまな情報が溢れている昨今。美容について発信するアカウントも多く存在し、なかには同じテーマ...
洋服でお金を浪費する人の特徴4つと回避策。通販サイトは“鬼門”かも?
 お金は稼いでいても、なかなか貯金が貯まらない人に多い特徴が「洋服でお金を浪費している」ケースです。なかには、洋服はたく...
お風呂から出てもすぐに足先が冷えるのはなぜ?【専門家監修】温活で全身ポカポカにする秘訣とコツ
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
20代が実例チェック! アラフォー女性がハマる“逆パンダ”アイメイクの罠
 アラフォー世代のみなさ~ん。若々しさを意識して華やかなメイクをしたつもりなのに、気づけば目元が浮き上がり、さながら“逆...
夫がハゲてきた…プライドも頭皮も傷つけない伝え方と妻にできること3つ
 夫婦の間でも、デリケートで伝えにくいのが「夫のハゲ問題」です。ハゲてきたと感じても正しい伝え方をしない場合、夫を傷つけ...
ダイエット成功の秘訣は「楽痩せ」【薬剤師監修】過去の失敗は“宝”。本当に好相性な超簡単ダイエットは?
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
「なんだかキマらない…」【美容家厳選】“メイク下手”40代こそ使いたい! 優秀プチプラ3選
 40代以上の自称「メイク下手」女性の多くが悩む「昔と同じようにメイクをしても、なんだかキマらない」問題。きちんとメイク...