歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-01-08 15:50
投稿日:2024-01-08 15:50

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第15週「ワテらはもう自由や」#67

 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。

 そして、羽鳥善一(草彅剛)は上海で、日本に戻ることができるかどうかわからず不安にかられていた。

 公演が中止となったスズ子たちは、混み合う汽車に乗って東京へ戻ることにする。

 しかし、皆の安否はわからず、愛助(水上恒司)の病状も分からない。スズ子は不安を抱えたまま、自宅へと戻る。

【本日のツボ】

玉音放送と小夜

 ※※以下、ネタバレあります※※

 8月15日、終戦の日を迎えました。スズ子たちは富山の旅館で玉音放送を聞きます。この時代のドラマを見ていていつも疑問だったのは、果たしてどれだけの人たちが、あの玉音放送の内容を理解できたのか、ということです。

 正直、雑音も多くてよく聞き取れないし、そもそも内容も難しく…。「堪え難きを堪え、忍び難きを忍びもって万世のために太平を開かんと欲す。…」ですから。

 今回も旅館の広間のラジオの前に正座し、神妙に玉音放送を聞く人たち。なかには泣いている人や拝んでいる人もいて、いつもの風景かと思っていたら、「よく聴こえねぇんだけど、なんのこど言ってんだ?」と小夜(富田望生)のとぼけた一言。

 そんな小夜に、日本の敗戦を伝える一井(陰山泰)。やっぱりそうでしょ、と思わず前のめりになりました。

 小夜のように何が何やらさっぱり、と思いながら聞いていた人だっていたはずです。

 思ったことをなんでも口にする小夜のキャラが、大いに生かされた回でした。

 一方、鹿児島の茨田りつ子は畳に寝転がって、玉音放送を聞きもせず。自分の歌で送った若き特攻兵たちに想いを馳せているようでもあり…。

 上海では、羽鳥が警察に連行されていきました。

 波乱の一週間の幕開けです。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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