小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-01-12 16:05
投稿日:2024-01-12 16:05

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第15週「ワテらはもう自由や」#71

(C)コクハク
(C)コクハク

 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。

 そして、公演が再開して以来、スズ子(趣里)たちには依頼が殺到し、休みなくステージで歌う日々が続いていた。

 しかし、楽団員からは予定が合わないという話や遅刻や早退する者も出てきていた。

 さらに、小夜(富田望生)までも体調が悪いと早退する日が続き始める…。そんな楽団の本当の状況を知ったスズ子は、ある大きな決断をする。

【本日のツボ】

(C)コクハク
(C)コクハク

小夜とサム

 ※※以下、ネタバレあります※※

「やっぱり!」と思わず膝を打った小夜と米兵サム(ジャック・ケネディ)の逢瀬。「ちぃとお腹が痛くて、きょうは早引きさせてもらってもいいでしょうか」とスズ子に嘘をつき、サムの元に駆け寄る小夜はさながら恋する乙女でした。

 本当にサムに惚れているのか、サムに餌付けされてしまったのか甚だ疑問ではありますが…。

 小夜の食い意地は国境を越え、愛を育んでいるようです。

 救いなのはサムがいいひとそうなこと。「ラッパと娘」をドタバタしながら歌う小夜を笑う周りのひとを「シー」と一喝し、小夜に拍手を送ります。「ナイス! ベリーグッド!!」と。

 それにしても小夜、スズ子の付き人を辞めてどうするつもりなのでしょう。来週の展開が気になります。

戦争が終わり、前向きな別れ

(C)コクハク
(C)コクハク

 別れといえば、「福来スズ子とその楽団」の解散も描かれました。旗揚げから4年。戦時中、苦楽をともにしてきた楽団員たちに、

「戦争で歌う場所がなくて苦し紛れに結成したこの楽団で、みんなよう踏ん張ってくれました」

「もう、みんな好きなときに好きな音楽で食べていける。ワテらはもう自由や!」

「みんなに『おおきに』言うてこの楽団を終わりにしたい。みんなほんまおおきに」と頭を下げるスズ子。

 楽団員たちもそんなスズ子に口々に感謝。心温まるいい別れのシーンでした。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


シン・スズ子誕生!タナケンに「面白いね」と言わしめたヒロインの魅力
 喜劇「舞台よ! 踊れ!」の幕が上がる。タナケン(生瀬勝久)に稽古ですべてを受け止めると言われたとおり、スズ子(趣里)は...
桧山珠美 2024-01-19 14:45 エンタメ
タナケン(生瀬勝久)の決め言葉、「どうだろうね」に込められた真意
 スズ子(趣里)は、不安を抱えたまま喜劇王・タナケン(生瀬勝久)との舞台稽古を続けていた。  なんとかしようと、ス...
桧山珠美 2024-01-22 15:16 エンタメ
ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ
東京大空襲、愛し合うスズ子と愛助の運命は…金曜放送回を前におさらい
 トミ(小雪)の許しが出て、山下(近藤芳正)が正式に楽団のマネージャーとして加わることになった。  スズ子(趣里)...
桧山珠美 2023-12-27 17:40 エンタメ
コワモテ黒田の起用は大正解! スズ子派に寝返り、顔芸と手振りが秀逸
 結核が再発した愛助(水上恒司)の看病を、三鷹の家で続けることになったスズ子(趣里)は、日々愛助のために身を尽くしていた...
桧山珠美 2023-12-26 15:50 エンタメ