そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。
1. デリケートゾーンにできもの!?
今回のご相談は、みさきさん(36歳女性/仮名)からです。
「最近、デリケートゾーンにできものができてしまって…」
みさきさんは、言いにくそうにえりのボスに相談します。
「痛みやかゆみはあるの?」
「いいえ。でも、お手洗いに行くたびに気になってしまって」
えりのボスも、心配そうにうなずいています。
「私にも経験があるから、よくわかるわ。自分では確認しにくい場所だし、人に相談するのも恥ずかしいし。それに、原因がわからないと不安になるわよね」
「はい…。どうして、デリケートゾーンにできものができてしまうんでしょう」
「原因になる疾患は、いくつかあるわ。たとえば、毛嚢炎(もうのうえん)や接触性皮膚炎…」
みさきさんは真剣に耳を傾けています。
「それじゃあ今日は、デリケートゾーンにできものができる原因と対策、おすすめのセルフケアについて説明しましょうね」
「はい。お願いします」
深くうなずくみさきさん。これは放っておけません!
2. デリケートゾーンにできものができる原因は?
「デリケートゾーンにできものができる原因は、いろいろあるわ。代表的なのは毛嚢炎ね」
「毛嚢炎ってなんですか?」
「毛包、つまり、毛穴に細菌が感染して、炎症が起きることよ。ぽつんと赤いできものができて、悪化すると赤みや痛みが強まったり、熱感が出たりする場合があるの。軽い毛嚢炎は、自然治癒することも多いわ」
「そうなんですね」
「あとは、接触性皮膚炎も多いわね。ナプキンや下着の繊維などがアレルゲンになって、湿疹が出るの。コンドームのゴムが原因になる場合もあるわ。
接触性皮膚炎の治療には、原因となる物質を避けたり、抗ヒスタミン薬やステロイド薬を使ったりするのが一般的よ」
「ほかには、どんな原因でできものができるんですか?」
「膣の分泌腺であるバルトリン腺が閉塞する『バルトリン腺嚢胞』や、古い角質や皮脂がたまってできる『粉瘤(ふんりゅう)』、性行為で感染する『尖圭コンジローマ』や『性器ヘルペス』、『梅毒』などが挙げられるわね」
えりのボスは、真剣な顔で言いました。
「病院での治療が不可欠な疾患もあるから、デリケートゾーンのできものがなかなか治らないときや悪化したときは、早めに婦人科に相談したほうがいいわ」
「わかりました」
うなずいたみさきさんに、えりのボスはにっこりと微笑みかけます。
「つらい症状は、無理せずすぐに医療機関に相談すること。そして、日頃からデリケートゾーンのケアを正しく行って、トラブルを予防するのも大切よ!
ここからは、簡単だけれど大切なデイリーケアを紹介するわ」
3. できものから解放されるお手軽デイリーケア
できものの予防に役立つセルフケアを紹介します。
3-1. デリケートゾーンを清潔に保つ
デリケートゾーンのトラブルを予防するには、細菌感染などを避けるためにも清潔に保つことが大切です。
ただし、洗い過ぎには注意が必要。デリケートゾーンの皮膚は繊細なので、洗い過ぎたり、ごしごしこすったりすると負担がかかってしまいます。
ボディソープをよく泡立て、外陰部を泡で優しく洗いましょう。
膣には自浄作用があるため、洗う必要はありません。
石鹸で膣を洗い流すと自浄作用が弱まってしまうので、注意しましょう。
3-2. 下着の素材を見直す
デリケートゾーンにトラブルが起きやすい人は、今使っている下着を見直してみましょう。
合わない下着でデリケートゾーンに摩擦やムレ、刺激などが生じると、皮膚が傷ついて細菌感染が起こる可能性があります。
しめつけの強い下着は避け、コットンや麻など皮膚に優しい天然繊維のものを使うとよいでしょう。
3-3. 市販薬を使ってみる
デリケートゾーンにできものができたら早めの受診が大切ですが、軽い湿疹やかゆみ程度であれば市販薬を使ってみるのもいいでしょう。
自分の症状に合った商品を使うことが欠かせないため、判断に迷ったらドラッグストアや薬局の薬剤師・登録販売者に相談してください。
数日使ってもできものが改善しない、日に日に悪化していくといった場合には婦人科の受診が必要です。
3-4. デリケートゾーンのケアには漢方薬もおすすめ
デリケートゾーンのトラブル対策として、漢方薬を服用するのも効果的です。
デリケートゾーンのケアには、
・ホルモンバランスを整える
・血流をよくして栄養を行きわたらせ、デリケートゾーンの皮膚の新陳代謝を高める
・水分の循環をよくして老廃物を排出し、おりものを軽減する
・泌尿・生殖器の炎症を鎮める
などの働きを持つ漢方薬を選び、根本改善を目指します。
おすすめの漢方薬を紹介します。
<デリケートゾーンのトラブルに悩む女性におすすめの漢方薬>
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え性で疲れやすく、貧血傾向のある人に向いています。血流を改善したりホルモンバランスの乱れによる不調を整えたりすることから、膣トラブルなどにも用いられます。
・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):比較的体力があり、下腹部に熱感や痛みがある人におすすめです。頻尿や残尿感などに有効で、おりものや排尿痛にも用いられます。
漢方薬を服用する際は自分の症状と体質を見極め、適切なものを服用することが大切です。合わないものを飲んでも効果が出ず、副作用が出る場合もあるので注意しましょう。
自分にぴったりの漢方薬を見極めるには、漢方薬に精通した医師・薬剤師に相談すると安心です。
最近では、スマホひとつで専門家に相談できるオンライン個別相談サービスも人気ですよ。対面では質問しづらいデリケートゾーンのトラブルも、オンラインなら気軽に相談できます。
4. デリケートゾーンのできもので、もう悩まない!
「えりのさん、詳しく教えてくださってありがとうございました。誰にも相談できずに困っていたので、本当に助かりました」
明るい表情になったみさきさんに、えりのボスも笑顔になって答えます。
「日頃のケアで予防しつつ、できものができたときには早めに対処することが大切よ。なかなか治らないときは、婦人科で診てもらってね。また気になることがあったら、いつでもサロンにいらっしゃい」
「ありがとうございます!」
みさきさんは、元気に笑ってサロンを去って行きました。
皆さんも、デリケートゾーンの悩みは自分ひとりで抱え込まず、専門家に気軽に相談してみましょう!
★サロン「コクハク」のオーナー えりの
顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。
(漫画/腹肉ツヤ子)
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<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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