子どもの“おねしょ”原因と対策…小阪有花が専門医と対談<下>

小阪有花 子どもの心スペシャリスト
更新日:2019-08-05 15:32
投稿日:2019-07-19 06:00
 子どもの心スペシャリストの小阪有花です。前回に続き、子どものおねしょの実態や治療法について、夜尿症を専門とする順天堂大学医学部附属浦安病院小児科の西﨑直人准教授と医療の現場、保育の現場からみた「おねしょ」を語りました。

適切なトイレトレーニングのタイミング

小阪 「最近、トイレトレーニングのタイミングが早いご家庭が増えて来ているように思います。『2歳になる前にオムツを外したい』という親御さんもいらっしゃいましたし、実は少なくないんです。保育園ではその子だけに本当につきっきりでトイレの我慢度合いを把握できればいいのですが、集団行動なので難しい場合もあります。

 保育士が両手でそれぞれ園児と手を繋いで出かけるお散歩の時に、一人の園児からおしっこに行きたい、と訴えられると、かなりピンチです。ちょっとだけ我慢できるようになるタイミングで始めてくれた方が助かるし、子供もその方がストレスがないんじゃないかなぁ」

西﨑 「1歳半とか1歳ぐらいからトイレトレーニングを始めたい場合は、ご家庭で土日やるなら良いですが、平日に集団行動でやるのは難しい部分がありますね。お子さんも失敗するといやになりますし。おすすめするのは3歳のお誕生日ごろ、トイレ誘導ができるようになるころです。

 4歳、5歳は『自立排尿』に排尿のタイプも変わり、行きたいと気にしてトイレに行くようになるし、その頃徐々に、おねしょも止まってきます。そこがクリアできない中に5歳以降もおねしょが続く子や、トイレの仕方が下手な子がいることがあるので、相談に来てもらえればと思います。

 おねしょの対策としてオムツをつけるか、パンツで寝るかということも悩ましい問題だと思いますが、実は医学的にどちらがいいのか検証した研究はないんです。ただしオムツの方が吸収されてサラサラ感があるので眠りの質がよくなるといったデータはあります」

小阪 「夜用のオムツのメリットあるんですね」

西﨑 「しかし一方で、『金土日は外してもいいよ』とか『パンツチャレンジデーを作ろう』とか、ときどきパンツにする日を作ると、緊張感がありますし効果的です。病院では、お子さんの精神的なフォローアップも行います」

おねしょを治療するためには…?

小阪 「おねしょを治療するための指導、『第二のトイレトレーニング』について、改めて整理させてください」

西﨑 「就寝前は洋式便座に座り排尿する、その際は足元に台を置くといいですね。そして日中はお水を飲み、夜は控える。あとは定期的にトイレに行かせることです。落ち着いて、骨盤の筋肉を緩めてじっくり出す。例えば小学校のお子さんでしたら、明日の準備の前に一度トイレに行き、準備を終えて寝る前にもう一度トイレに行くなど、短期間に2回排尿しても問題ありません。

『ご褒美作戦』もありですよ。ちゃんと行くようにしたら、シールを貼るようにしたり、または、おねしょしなかったらシールを貼っていくとか。モチベーションを上げることは大事です。自分が治したくて努力しているのを褒めるというのはいい方法です。後から記録として確認することもできますし」

小阪 「足元に台を置き、その上に足を置くことで安定するんですね。この台は、園でも色々な用途に使っていたんですが、牛乳パックの空き箱に、折りたたんだ牛乳パックを詰めたものがオススメですよ。汚れてもいいですし、またすぐに作れます」

西﨑 「おねしょは生死に関係しない疾患、だからこそ無視されているという側面が、ことおねしょに関してはあると感じています。また日本は排泄の失敗を恥とする文化が根強い。ですがご本人や親御さんは非常に悩んでいるんですね。

 お子さんを治療に連れてこられたお母さんが泣いたりすることもあります。その方は、姑に『躾が悪いからだ』と言われていたり、嫁姑問題にも発展していたんです。『帰って来た夫は話を聞いてくれないし、おもらしの始末も私。誰に文句を言えばいいんですか』って泣いていました。ですが、根気よく治療を続けて、治ったらものすごく感謝されたんです。お母さんたちが困っているんだと日々実感しています」

小阪 「地域の小児科って、先生もいろいろだと思うんです。おねしょに悩んでいるお子さんを持つ親御さんが、専門のお医者さんに診てもらうためには、どのように病院を選べばよいですか?」

西﨑 「僕らのような小児腎臓・泌尿器科を専門とする医師らとつながりのある街のお医者さんは、おねしょに関するパンフレットやポスターを院内に掲示している場合が多いです。これを目印にしてもらえればと思います。製薬会社が作成しているポスターで、僕ら専門医が監修しています。また、おねしょに詳しい地域の小児科を検索するサイトもありますよ(以下URL参考)」

(インタビュー・構成 高橋ユキ)

参考「おねしょ卒業!プロジェクト」
https://onesho.com/sp/patient/

▽西﨑直人
順天堂大学医学部附属浦安病院 小児科 准教授。
小児腎臓泌尿器、新生児を専門とする医師。

日本夜尿症学会 常任理事
日本小児科学会 専門医・認定指導医
日本周産期・新生児医学会 周産期(新生児)専門医・代表指導医
日本腎臓学会 腎臓専門医

小阪有花
記事一覧
子どもの心スペシャリスト
保育コンサルタント。アイドル時代の旧芸名は小阪由佳。「ミスマガジン2004」グランプリで芸能界デビュー。09年に引退後、保育園の先生を経て現職に。チャイルドカウンセラー、幼児食インストラクター、ベビーシッター、家族療法カウンセラーなどの資格を持つ。
XInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


ヤバ、膀胱が緊急事態…知らぬは“地獄”行き!トイレを我慢する方法5つ
 誰しも一度は、トイレに行けない状態で今にも漏れてしまいそうになった経験はあるはず……。バスや電車、会議中やトイレのない...
買い物って「小さな判断」の連続なんだ 2023.5.10(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
花屋も「らんまん」に注目!紫の開運花ヘリオトロープを竹雄(志尊淳)に
 イケメンが大好物なワタクシ。ストレス解消のため、仕事の合間にTver(本当に神!)で深夜ドラマを見てはイケメン探しに大...
オスを引き寄せるフェロモンジャッジ!貴女の度数は?【5月前半】
 素敵な女性はいい香りがする――。  そう感じるのは、肌から放たれるフェロモンの効果。フェロモンが高まると色気だけ...
【KALDI】もう手放せない! 鬼リピ不可避4品 2023.5.9(火)
 食いしん坊の聖地「カルディ」。棚一杯に並んだ輸入食品やオリジナル商品は、見ているだけでも楽しいですよね。今回はそんなカ...
なんでもない日々のこんな瞬間が好きだ 2023.5.8(月)
 次の予定があるのかな? 待たせている人がいるのかな?  もしかして、移動は小走りと決めているせっかちな性格なのか...
親友の新彼氏にモヤモヤ。その恋大丈夫?と諭すべきか、だんまりすべきか
 20代の頃は、女友達のヤバめな恋愛相談に乗る時「友達なんだから、止めなくちゃ」と思っていました。  友達が学内で...
“たまたま”が緊張の鼻チュー♡ 白黒姐さんの香りにドキドキ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
お休みは“いつか終わる”からこそ価値がある 2023.5.7(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
謝るつもりが火に油!「失言の謝罪LINE」絶対に送ってはいけない3選
 人間誰しも失敗をしてしまうことがあります。特に失言は、相手を傷つけてしまい、なかなか関係が修復できないケースも多いはず...
「キラキラしてる人が苦手」と思うのはなぜ? 隠れた理由と賢い対処法
 好感度が高いキラキラした人を見ると、「羨ましいな」と思う反面、「苦手……」と感じる人は多いのではないでしょうか。苦手と...
「今、今、今!」今でしょは生ぬるい!? ママ友からのお受験“圧”LINE3選
 自分の子供の人生を少しでも良くしようと必死の「お受験ママ」。特に小学校受験に関しては、小さな子供本人が希望してというよ...
店員の勧めも食い気味にNO!おばさんになって「楽」と感じる8つの瞬間
 ある程度の年齢になると、嬉しいはずの誕生日も憂鬱に感じるかもしれません。「もうこれ以上、年を取りたくない!」なんて思っ...
ひとりで焚火するのは良い気分 2023.5.5(金)
 パチパチという音を聞きながら、目を細めて揺れる炎をぼうっと眺める。  ひとりで焚火するのは良い気分。こういう時に...
妻を労う夫が選んだスノーピーク×久保田の酒 2023.5.4(木)
 銘酒「久保田」を製造する朝日酒造と、アウトドアブランドの「スノーピーク」。一見、何の関係もないようですが、実はどちらも...
魅惑のオッドアイにうっとり♡ コミュ力抜群な“たまたま”君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...