「セックスは心でするもの…」乳房、卵巣を失った人妻の甘美な気付き #5

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-03-01 06:00
投稿日:2024-03-01 06:00

誠実な一面を知り、勇気を出して…

――他者に依存するためにサイトを利用する女性も多いのですね。

「はい、特にパパ活の女性が多いことを残念がっていました。そして、『僕も家庭を壊すことなく、心身ともに癒し合えるパートナーを探しています。


 ステキな女性を見つけたら、サイトを退会する予定です』と真剣なまなざしを向けてきたんです。

 婚外恋愛を望んでも誠実な一面を知り、『この人なら、私を大切にしてくれるかも』と胸がざわめきました。同時に、初顔合わせで言うつもりはありませんでしたが、乳がんで乳房と卵巣を失った件も打ち明けたんです。

 そんな私に対し、

――体調は大丈夫ですか? 術後もホルモン治療をする方が多いと聞いたけれど、香織さんもでしょうか?

 真っ先に私の健康を気遣ってくれました。

――ホルモン治療をしていますが、健康には十分気をつけているから大丈夫です。リンパへの転移もありません。

――香織さんの健康が最優先ですから、ご気分が悪くなったら遠慮なく言ってくださいね。

労わりの言葉に涙が

 労いの言葉までくれて、嬉しかったですね。でも、

――胸がなくて…がっかりしません?

 私は恐るおそる聞きました。

――しませんよ。実は親戚に乳がんで乳房の全摘出をした女性がいるので…。

――本当に?

――はい、命を失わずに済んだんだから、ポジティブに考えましょう。大切なことを話してくれて、ありがとう。

――こ、こちらこそ…ありがとうございます。

 気づけば、紅茶のティーカップを持ちながら泣いていました。もちろん、うれし涙です。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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