「立ちんぼ女子」は売春行為や街娼を指すことばではなかった

コクハク編集部
更新日:2024-03-31 06:00
投稿日:2024-03-31 06:00
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地名などをピックアップ。
 毎日頑張るあなたがちょっぴり得した気分になれますように…。

【今回の女ことば】立ちんぼ

 東京・歌舞伎町や大阪市北区のアメリカン通りなどで、「立ちんぼ」と呼ばれる女性たちがいることをご存じでしょうか。

 日刊ゲンダイDIGITALの記事(月240人ペースで2666回…4000万円荒稼ぎ逮捕された立ちんぼの「超過密スケジュール」/3月24日公開)によると、大阪のアメリカン通りで1回当たり約1万5000円で売春を繰り返していた女性3人が逮捕され、そのうちの1人は11カ月間で約4000万円を荒稼ぎ。単純計算で1日8人、1カ月で240人のハイペースで客を取っていたと報じています。

「1人1回1時間だけど、20分ぐらいで終わる男もいたから、多い日で1日15人とやっていた」という捜査事情通のコメントも載っていました。

 タイパの良い働き方、とでもいいましょうか…。

もともとは“坂道のお助けマン”の意

 さて「立ちんぼ(坊)」という言葉は、はじめから、この女性たちのように街角に立って売春をするという意味ではなかったようです。

「広辞苑(第7版)」には、

1. 立ち続けていること。また、その人。たちんぼ。
2. 明治・大正時代初期、坂の下などに立っていて車を待ちうけ、車のあと押しなどをして、金をもらった者。鮟鱇(あんこう)。

「罵詈雑言辞典(初版)」では、

 坂の下に立っていて通る荷車の後押しをして坂を上り、駄賃をもらう商売。ぼんやり立っているので「あんこう」の名もあった。

 有名なのは、東京・九段の「立ちん坊」で、明治・大正時代に見られた。

 と解説されています。

 自動車が普及する以前の大正初期までは人の手が必要で、“坂道のお助けマン”という意味合いが強かったようですね。

「立ちんぼ女子」の初登場

「現代用語の基礎知識2024」には「立ちんぼ女子」という言葉が初登場し、次のように説明されています。

<22年秋ごろから大久保公園の周辺が「立ちんぼ女子」(街娼)の出現スポットとなった。ここに日本人の若い街娼(近隣の若者集団であるトー横キッズも含まれる)が多く集まるようになり、そこに客、野次馬、動画撮影者も集まっている>

 立ちんぼと同じ意味では、「闇の女」「夜の天使」(ともに「続 消えた日本語辞典」初版)という言葉が使われた時代もあったとか。

 職は時代を反映するもの。需要がなくなれば廃業も余儀なくされる世知辛い世の中において、立ちんぼの行く末は?

(日刊現代校閲/タダ美)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「楽しく暮らしています」“たまたま”が遠く離れた母上に一筆啓上
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
幸せの価値、そして――。
 家族親子恋人たちお年寄りも若者も桜に埋もれて過ごす時、人は皆幸せそうだ。  季節はもうすぐ梅雨――。
ほっこり癒し漫画/第74回「ヘルプみーこ」(中編)
【連載第74回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
今さら聞きにくい? 英語の新敬称「Mx.」や「X」って何
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
夫の胸ポケからキャバ名刺→子の刻に家出!?いいから落ち着けが止まらない
 LINEの文面だけでも、意外と「焦ってる」「取り乱してる」と分かるものですよね。今回は、そんな慌ただしいLINEを3つ...
すげえ!BoA完コピおじいに喝采。スナック常連の濃ゆいエピソード3選
 みなさんの職場には癒しキャラはいますか? スナックで働いているといろんな人を見るのですが、癒しキャラもとっても多いんで...
好きを仕事にしても「しんどい」よ。憧れだけではない現実との向き合い方
 キャリアについてよく聞くフレーズが「好きを仕事に」。確かに、好きなことでお金を稼げたら一挙両得! 幸せな毎日が送れそう...
「マタニティハイ」要注意! おブスな振る舞いが誰かを傷つける可能性も
「妊娠して幸せの絶頂です!」と感じている女性必見! 今回は、マタニティハイでやりがちなNG言動を4つ紹介します。  妊...
クネクネの正体はおとうさん!“たまたま”が真実を知った瞬間
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
【花屋実践】春から秋まで眼福♡ずぼら激推し良コスパの姫リョウブって?
 今年も自らの無計画さを後悔する季節がやってきました。  猫店長「さぶ」率いる我がお花屋の店横にある屋外LAB(「植物...
「ぼっち・ざ・ろっく!」のぼっちちゃんも仰天!承認欲求モンスター図鑑
 承認欲求は、人間であれば持っている自然な欲求。誰だって「自分の話を聞いて欲しい」「自分を認めて欲しい」と感じることがあ...
気まずい既読スルー後は演技力が命!《文章未完+矢印》で打ち途中を装う
 友達や知り合いからLINEが届いても、LINEの内容や忙しさによってはつい返信を後回しにしてしまいがち。そのまま忘れて...
6月病とは? 実は5月よりもタチ悪い説が…早め対策がマスト
「GWが明けてからも5月病にならず元気だったのに、6月になってからなんだかやる気が出ない…」「6月に入ってから、体も心も...
2024-05-21 06:00 ライフスタイル
【調香師監修】頭のにおいは“武器”!愛され頭皮になるヘアケア&香り術
 男性から女性への愛情行為のひとつに「頭皮のにおいを嗅ぐ」しぐさがあります。カレが貴女の頭のにおいを嗅いできたら、それは...
まさに鈴カステラ! 爪とぎ中に立派な“たまたま”がポロリ♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「秋波を送る」は、もはや美人だけの特権ではない。
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...