「虎に翼」シン・朝ドラの予感!わずか1話、たった15分で心つかんだ描写

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-04-01 22:28
投稿日:2024-04-01 15:25

NHK朝ドラ「虎に翼」~第1週「女賢しくて牛売り損なう?」#1

 昭和6年・東京。女学校に通う猪爪寅子(伊藤沙莉)は父・直言(岡部たかし)、母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧められる。

 女学校を出たら結婚し、子供を産み、家庭を守るのが当然とされていたからだ。

 だが、納得できない寅子。やりたいことはないものの、結婚するのも何かが違う…。

 同級生で親友の花江(森田望智)に「親不孝」と言われ、三度目の正直と意気込んだお見合いの席で、寅子は調子に乗ってしまう。

【本日のツボ】

「はて!?」これは、シン・朝ドラなのか!?

 ※※以下、ネタバレあります※※

 本日、スタートの「虎に翼」。伊藤沙莉演じるヒロイン“トラコ”に早くも釘付けになりました。

 わずか1話、たった15分にしてこんなに魅了されてしまって、半年後のロスが耐えられるだろうかと、今から心配になってきました。

 伊藤彩莉と朝ドラといえば「ひよっこ」の米屋の娘・米子が想い出されます。米屋の娘なのに朝はパン派、勝手に“さおり”と名乗るなど、彼女もなかなか強い女性でしたが、今度の“トラコ”も負けてはいません。

“五黄の虎”生まれ、本名は寅子と書いてトモコと読むが、通称“トラコ”。

 個人的なことですが、うちの祖母も“五黄の虎”で、母に「おばあちゃんは“五黄の虎”だから気が強い」とさんざん聞かされていたことを思い出しました。

 おばあちゃんと同い年か…とトラコに、亡き祖母を重ねつつ、祖母の生きた時代を堪能したいと思います。

 笠置シヅ子さんをモデルにした前回の「ブギウギ」は歌ありダンスありで、エンタメの魅力を存分に楽しませてくれるドラマでした。

トラコの悩みは令和の今の私たちと通じる

「虎に翼」も、日本初の女性弁護士で、のちに裁判官となった三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんという実在の人物をモデルとしていますが、笠置シヅ子に比べれば、さほど知られていないヒロインだと思われるので、「史実はこうだった」「史実と違う」という“史実ガー”視聴者もさほど多くなく、オリジナルドラマを純粋に楽しめるのではないでしょうか。

 トラコの悩みは令和の今の私たちと通じるところがあります。

 従来の朝ドラファンだけでなく、若い世代の人たちにもぜひ見て貰いたく、あえて、シン・朝ドラと呼ばせていただきます。

【おまけのツボ】

アホのおっちゃんに梅丸少女歌劇団

「ブギウギ」のアホのおっちゃん(岡部たかし)がトラコの父だったり、お見合い前夜、家出しようとしたトラコが見つかってしまい、その理由を聞かれると、「梅丸少女歌劇団に入ろうと思って」と、「ブギウギ」の世界をさらりと踏襲。朝ドラファンへのサービスも忘れず。

「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(通称:チェリまほ)」(テレビ東京)や「恋せぬふたり」(NHK)などチャレンジグなドラマを書き続ける吉田恵里香に早くもズキズキワクワクです。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


こうでなくちゃ! 志尊淳の正解を「恋は闇」で見た。いい人よりも“妖しい姿”に妄想が駆り立てられる
 新ドラマ「恋は闇」(日本テレビ系)の志尊淳が良きです。  前クールの「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった...
「あんぱん」なんて贅沢!今が旬、河合優実の“目で語る”表現力と色気に驚く。俳優・ソニンのEE JUMP感を消した演技も見事
 なりたい夢を見つけたのぶ(今田美桜)は、女子師範学校合格に向けて猛勉強をし始めるが、成績が思わしくなく頭を抱える。同じ...
桧山珠美 2025-04-21 14:23 エンタメ
怪演・市原隼人に「ヤバい超大物」2人が熱烈ラブコール。迫真すぎる“ガンギマリ”の演技がモテる理由か
 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)にて、盲目の大富豪にしてゾクッとする異様な雰囲気を放つ鳥山検校を怪演...
堺屋大地 2025-04-21 06:00 エンタメ
ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと
 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発...
帽子田 2025-04-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった
 8年間音沙汰のなかった登美子(松嶋菜々子)が突然帰ってくる。登美子に対してわだかまりが残ってはいるものの、自分の漫画を...
桧山珠美 2025-04-19 06:00 エンタメ
「あんぱん」登美子(松嶋菜々子)の登場が不穏…色っぽいけど。貴島中尉(市川知宏)は“あのキャラ”を意識?
 新聞社に出した漫画で賞金をもらい、ご機嫌の嵩(北村匠海)。一方のぶ(今田美桜)は、パン食い競走で転びそうになったところ...
桧山珠美 2025-04-17 16:02 エンタメ
カトパンへの嫌味に物議…新井恵理那は承認欲求のカタマリか、悪役を演じる聖人か?
 昨年3月、8年間出演して総合司会も務めていたテレビ朝日系の朝の情報番組『グッド!モーニング』を降板したフリーアナウンサ...
堺屋大地 2025-04-17 06:00 エンタメ
【募集】春ドラマ何見る? 面白かった&ガッカリを教えて!『最後から二番目の恋』『あんぱん』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「期待している」「面白...
笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー
“この村では、人が喰われているらしい……”    2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートす...
望月ふみ 2025-04-15 06:00 エンタメ
「あんぱん」嵩(北村匠海)の“ジェラシー”がなんとも可愛い! 寛(竹野内豊)の診察シーンが見たかった
 昭和10年、高等女学校の5年生になったのぶ(今田美桜)は、ある日、貴島中尉(市川知宏)と再会。祭りのパン食い競走で使う...
桧山珠美 2025-04-14 19:03 エンタメ
15分の朝ドラで高揚感を得られるんだ! のぶ&嵩の“子役最終回”が見せた未来の夫婦関係
 久しぶりに登美子(松嶋菜々子)の顔を見て胸がいっぱいになる嵩(木村優来)だったが、登美子は困惑した表情を浮かべる。のぶ...
桧山珠美 2025-04-12 06:00 エンタメ
旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ