「御朱印の本来の意味をご存じですか」
山寺の正式名称は「宝珠山 立石寺」。860年に創建された寺院で東北有数の霊山として、はたまた山形の観光地としても支持されています。
松尾芭蕉が奥の細道の旅の途中で参拝し、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだ場所でもあります。
山門から続く1000段超の石段を登った先には国指定の重要文化財でもある本堂や支院などが点在し、お志を納めると、それぞれ御朱印がいただけますが、御朱印とはなんぞや、と改めて考える出来事がありました。
「御朱印の本来の意味をご存じですか」
そう尋ねられたのがきっかけです。「寺社を参拝した証として受け取るお印かと…」と口ごもるのが精一杯だったわたし。
諸説あるものの、伺えば、参詣・参拝者がお経を書き写して寺社で納める際に受け取った“受領のしるし”が始まりだとか。
御朱印ではなく、別名・納経印ともいわれるのもそのゆえんです。
御朱印集めに翻弄されっぱなし…
2000年代に起こったといわれる御朱印ブームや御朱印ガールもすっかり定着した感ですが、御朱印の何たるかを熟知していたわけではなく、恥ずかしい…。
もちろん、全国各地の寺社仏閣を参拝した証しとして御朱印を集めるのは、決して悪いことではありません(ネットで転売される御朱印を購入するのは、また別の話)。
“ひとつ”として同じものはない御朱印には魅力があるし、参拝のきっかけになるのもまた事実。
ただ、御朱印の本来の意義、そして、現在は簡略された作法なのだと身をもって知れたのは、デカかった!
山寺の石段は一段登るごとに煩悩が消えていくともいわれています。その石段を登り切った先で、御朱印集めに翻弄される、煩悩まみれの自分の浅はかさに気づくとは…(恥)。
御朱印のタブー、マナーって何?
改めて御朱印について調べてみると、ネット上にはあらゆる情報が出回っています。
御朱印をもらうときにやってはいけないこととは?
御朱印目当てで寺社仏閣をまわるのはだめ?
神社と寺社は御朱印帳を分けたほうがいい?
御朱印は片面、両面、どちら使いが正しい?
同じ寺社で御朱印を何度ももらうことはできる?
御朱印帳の正しい保管方法は?
御朱印のタブーやご法度事項も溢れかえっています。
御朱印は何のために?
どの情報を信じればいいのか。寺社仏閣の公式HPを参考にしたり、はたまた、宗教関連の専門書などから学ぶのもありですよね。
そして付け焼刃ではありますが「納経のしるし」という本来の意味と、参詣・参拝を軽視するような振る舞いや行いに敏感になれば、御朱印のタブーをおかすのは避けられるのではないでしょうか。
御朱印をいただくのは参拝の後にしよう。御朱印は記して欲しいページを開いて渡すほうが、先方の手間がひとつ省けるかな。おつりが大量発生する高額紙幣でのお納めはやめたほうがいいよね。
そういった相手方の立場や気持ちをおもんぱかる時間こそが大事――。
春の行楽シーズンを迎えました。節度をもって、御朱印集めができますように。
(編集O)
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