更新日:2024-05-07 18:39
投稿日:2024-04-19 06:00
優しく抱きしめられて
――ソジュン君…。
ごめんなさいと言えば、もっと彼を傷つけてしまうかもしれない。そう思った時でした。彼が握った手に力を込め私を優しく抱きしめたんです。
あたりには人がごった返していますが、誰も気に留める者はいません。
――ソジュン君…どうしたの?
服の上からでもわかる筋肉質な体に、一瞬、胸がざわめきました。
――愛香さん…2人きりになりたい。ダメですか?
――ダ…ダメじゃないわ。
思わずそう答えていました。彼にどんどん惹かれていく気持ちに偽りはありません。そして、今、アイドルの卵たちとすれ違った彼の気持ちを考えると、彼に寄り添ってあげたくて…」
新宿の高級ホテルへ
――愛香さんのお気持ち、十分わかります。そして、ソジュン君の複雑な気持ちも…続けてください。
「彼がタクシーで連れて行ってくれたのは、新宿の高級ホテルです。元来、レディーファーストの韓国人男性は、ホテルを選ぶ際もラブホテルよりもシティホテルを選ぶと聞いたことがありました。
中層階の部屋に入ると、夜景がキレイでウットリしてしまって…。窓の外を見る私の肩をソジュン君が抱き、引き寄せられました。
――この前の約束…ポッポしていい?
彼はキスしたいと言ってきたんです。私も同じ気持ちでしたが、軽々しい関係にはなりたくなかった…ですから、
――私、恋人以外の男性とは、そういうことはしなくないの。
ちょっと強気に言ってみたんです。
――僕は愛香さんが好きです。愛香さんの笑った顔も、怒った顔も…僕は恋人になる資格はありませんか?
――出会ったばかりなのに…すぐに恋人だなんて…。
簡単に手に入ったものは、簡単に飽きられる現実を知っているからこその言葉でした。
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