事件はいつも「あの階段」で起こる! 岩ちゃん演じる花岡もう婚約

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-05-20 15:02
投稿日:2024-05-15 15:00

NHK朝ドラ「虎に翼」~第7週「女の心は猫の目?」#32

 晴れて弁護士になったが、女性であることを理由になかなか依頼をしてもらえない寅子(伊藤沙莉)。「女の幸せより大事なものか」という稲(田中真弓)の言葉が頭を離れない。

 そんな中、寅子と同時に合格した久保田(小林涼子)が婦人弁護士として初めて法廷に立つと聞き、轟(戸塚純貴)とよね(土居志央梨)と見学に向かった寅子は、その帰り道で花岡(岩田剛典)と出くわす。

【本日のツボ】

事件はいつもあの階段で起こる

 ※※以下、ネタバレあります※※

 久保田先輩(小林涼子)の法廷デビューを見学しに行く寅子たち。そこには新聞記者を筆頭に、日本初の婦人弁護士を好奇の目で見る人たちに溢れ、コレジャナイ感の3人。

 寅子・よね・轟の3人がほんわかとした空気を醸し出します。女子部の仲間たちとは離ればなれになってしまいましたが、この3人組もいいですね。

「団子でも食いに行くか?」

 よねの口からこんな言葉が出るようになったかと嬉しくなりました。そんな2人に従う轟もあのバンカラだった男とは思えないほど、女子に馴染んでいます。

 驚いたのは花岡です。寅子への未練たらたらかと思いきや、もう婚約していたとは。なんなんだこの変わり身の早さは。

 それにしても、同郷の親友・轟にも婚約の話をしていないとは、あまりにも水臭いではありませんか。もっとも、寅子への未練を断ち切るために、一刻も早くそうしなくてはメンタルが持たなかったのかもしれませんが…。

 寅子たちを見つけた時、寅子に「ご婚約おめでとう」と言われた時の、花岡のピキッとした表情から、そうとるのが自然でしょう。岩ちゃんびいきの立場から考察すると、そういうことになります。

 それにしても、あの裁判所の階段、なにかと事件が起きがちです。寅子たちが最初に見学した裁判の夫婦がもめていたのも、桂場(松山ケンイチ)に「甘い!」と叱咤されていたのもここでした。事件はあの階段で起こる、覚えておきましょう。

寅子のお見合いふたたびだけど…

 そして、「竹もと」。

よね「だから佐賀について行けばよかったんだ」

寅子「私は別に。私には私のやりたいことがあるんだから」

よね「じゃあそんな顔していないで食え」

寅子「うん」

 2人の会話を黙って聞いている轟。いい奴です。

 家に帰った寅子。両親に「お願いします!」土下座します。

「私にお見合い相手を探していただけないでしょうか」

「立派な弁護士になるために、社会的信頼度、地位を上げる手段として、私は結婚がしたいんです」と寅子。

 花岡とうまくいっていると思っていたはるが「花岡さんはどうなったの?」と尋ねると、「花岡さんはとってもおきれいなお方とご婚約されました」と寅子。

吉本新喜劇風

 それを聞いた父と母がガクンと両脇に倒れるのが、吉本新喜劇風で笑ってしまいました。

 手段としての結婚を選んだ寅子。思えば、寅子のお見合いでスタートした物語でしたが、今度のお見合いはあの頃とは違います。

 寅子にいいお相手が見つかりますように。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

エンタメ 新着一覧


ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ
東京大空襲、愛し合うスズ子と愛助の運命は…金曜放送回を前におさらい
 トミ(小雪)の許しが出て、山下(近藤芳正)が正式に楽団のマネージャーとして加わることになった。  スズ子(趣里)...
桧山珠美 2023-12-27 17:40 エンタメ
コワモテ黒田の起用は大正解! スズ子派に寝返り、顔芸と手振りが秀逸
 結核が再発した愛助(水上恒司)の看病を、三鷹の家で続けることになったスズ子(趣里)は、日々愛助のために身を尽くしていた...
桧山珠美 2023-12-26 15:50 エンタメ
藤井風「いちすき」で見せた弾き語りに惚れ惚れ、黒髪に代わってホッ
 21日、木曜劇場「いちばんすきな花」(フジテレビ系)が最終回を迎えました。  昨年、社会現象を巻き起こした目黒蓮...
平野・神宮寺・岸のNumber_iデビュー間近 24年は注目多数の群雄割拠
 滝沢秀明氏創設のTOBEに合流し、本格始動が待たれている元King & Princeの平野紫耀(26)・神宮寺勇太(2...
こじらぶ 2024-02-16 10:40 エンタメ