内縁妻の抵抗。父の罵倒、引き裂かれリモートオナニーでエクスタシー #5

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-06-21 13:49
投稿日:2024-06-14 06:00

 異業種交流会での出会いをきっかけに、妻子ある男性と恋に落ちた千鶴さん(仮名・35歳化粧品会社を経てイベント会社/独身)。「内縁の妻」歴2年となる彼女の狙いは、ずばり略奪婚だ。

 お相手の男性・正樹さん(仮名・39歳会社経営/妻子アリ)は、「妻とは仮面夫婦状態だけど、4歳の息子の将来のためにも小学校受験は成功させたい。受験が終わるまでの2年間待ってほしい」と告げ、その誠意を示してくれた。

 正樹さんの愛情を信じ、千鶴さんは2年間待つことを決意。ひそかに中野のマンションで不倫生活を続ける千鶴さんは、ベッドテクニックも上達させようとAVを見て研究。彼を快楽へと導く努力を怠らず、「内縁の妻」ながらも、甘い日々を過ごしていた。

 しかし、1年が過ぎたころ事態は急転。東北に住む千鶴さんの両親にバレたのだ。

――千鶴、お前の勤めてる『Aイベント企画』の社長は、妻子がありながら、他の女と不倫している最低最悪の男だぞ。今すぐ辞めて実家に帰ってこい!

 興信所を使ったらしい父は激怒した。市役所に勤める父は外面が良い反面、家庭内DVが絶えなかった。とりわけ母への暴力はひどく、当然ながら、千鶴さんとも円滑な親子関係を築けずにいた。

 千鶴さんは、「あと1年なのに…」と悔やみながら、正樹さんとの将来が音を立てて崩れていくのを感じて――。

 前回までの話はコチラ→第1話第2話第3話第4話

体裁を気にする父は激怒

――あと1年で正樹さんの離婚に王手がかかり、晴れて「妻の座」になれることを願っていた際の、まさかのご両親バレ。その後をお聞かせください。

「驚きと無念さでいっぱいでした。これまでの1年間は、正樹さんの会社で真面目に仕事をこなし、絶対に不倫がバレないよう慎重に暮らしていたんです。

 ただ、両親には連絡できずにいた…。以前もお話ししたように、父は東北の地方都市の市役所に勤める公務員。とても体裁を気にするんです。

 三十路を過ぎた一人娘が独身であることを恥じ、反面、周囲には『娘は東京で大手化粧品メーカーの広報として活躍している』と自慢していたようですから。

 その自慢の娘が、自分の知らないうちに名も知らないイベント会社に転職し、そこの社長は不倫している…。電話で話した際は、不倫相手が私であることは知らなかったようです。

――そんな会社辞めて、実家に帰ってこい!

 電話口での父の怒りは相当なものでした。

――イヤよ。昔から父さんは、酒に酔うと『誰がお前らを養ってるんだ!』と母さんを殴って、私に対しても支配的だった。育ててくれたことはありがたいけれど、早くあの家から逃げたかった。

恋人を侮辱され我慢の糸が切れた

――千鶴、いつからそんな生意気なことを言うようになったんだ。

――ずっと思ってたの。だけど、逆らうと母さんが殴られるから我慢してただけよ。父さんが酔って暴れるたび、『早くこの家を出たい』『母さんはどうして離婚しないの?』と思ってたもの。

――お前…誰に口きいてるんだ。とにかく、新しい会社は辞めろ。お前が勤めている『Aイベント企画』の社長は不倫三昧の最低最悪な男だ。そんなクズが代表の会社に転職するとは、堕落もいいところじゃないか。ただでさえ、行き遅れの独身女のくせして!

 この言葉で、私の我慢の糸が切れました。

――社長は最低最悪の男? 私は堕落した女? そんな娘を育てたのは父さんでしょう。父さんみたいな酒乱の暴力男を見て育つと、結婚に夢なんて持てない! 少なくとも母さんは、アンタと結婚して不幸だった。

 ついでに言っておくけれど、社長の正樹さんは仕事ができて誠実で、父さんとは比べものにならないくらい素晴らしい人よ。接していて、私はよく知ってるわ。彼を罵倒しないで!

 怒り任せに叫び立て、電話を切ったんです。彼への侮辱は許せなかった。それだけじゃありません。父の怒声は母へのDVシーンを如実によみがえらせたんです。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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