蠢く2組の恋模様。“台所公開プロポーズ”で攻める航一、漢・轟太一は堂々のカミングアウト

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-08-17 06:00
投稿日:2024-08-17 06:00

第20週「稼ぎ男に繰り女?」#100

 直明(三山凌輝)と花江(森田望智)はそれぞれの同居に対する思いを語る。猪爪家を離れるのが寂しいと言う直明に対し、花江は同居の難しさを語る。どちらの気持ちもわかる寅子(伊藤沙莉)。

 そんな中、直明の婚約者・玲美(菊池和澄)は、いつも自分の希望より玲美のことを優先してくれる直明が、唯一頼んできたのが花江たちとの同居であると話す。そして、「お試し」で同居してみてはどうかと提案する。

【読まれています】論破王ひろゆき氏ばりに反論!直明の婚約者、放送終了間際でも爪痕を残す

【本日のツボ】

猪爪家の家庭裁判をまとめた航一

 ※※以下、ネタバレあります※※

「そもそも私は是が非でも結婚したいわけじゃありません」と爆弾発言した玲美でしたが、これには続きがありました。「ただ、結婚するならば直明さん以上の人はいないだろうなと思い、プロポーズをお受けしました」と。

 さらに「直明さんって優しいんです。私がどんなわがままを言っても嫌な顔ひとつしない…何から何まで私のお願いを叶えてくれます」、直明のそういう優しいところが大好き、とのろける玲美。「そんな直明さんが唯一プロポーズの時に絶対譲れない条件として出したのが、みなさんとの同居なんです」と。

 花江が「実際、すると同居というのはものすごく大変で」と諭すように言うと、「じゃあ一度試しちゃ駄目ですか? 無理だと思ったらすぐ言いますから」と玲美。

 寅子も「いいんじゃない、軽い感じで」と加勢。「試してみてダメならばやめたらいいのよ。そうだ、1年か、2年ごとに今後みんながどういう生活をしていきたいか話し合いましょうよ。借家の更新みたいに」と提案し、みんなが賛成するという流れに。

 航一(岡田将生)の花江に対するアドバイスが的確でした。花江が考えているような嫁の苦しみは起こらないのでは、と。

「ご覧のとおり、玲美さんは大変気がお強い方のようですので、あるとすれば、花江さんが気を遣うことになるのでは」

 当の玲美も「本当にそうだわ」と大笑い。これにて一件落着、家族裁判は閉廷となりました。

冴えわたる優未の考察

 航一が、道男(和田庵)の「寅子」呼びにまたもやピキピキッとなりましたが、これは伏線でした。そのことを自覚し「寅子さんが寅子と呼び捨てにされるたびに嫉妬してしまうくらいには、僕はあなたが好きだということ」と寅子に告白する航一。

 さらに「毎朝、目が覚めた時に、寅子さんがとなりにいたら幸せだろうなと思いました」とも。

「なんだ今の、プロポーズか」と道男に言われ、「そうです。プロポーズです」と航一。家族の前での堂々のプロポーズに所在なさげな寅子でした。

 一方、星家のリビング。寅子にプロポーズしたことを報告する航一ですが、猪爪家の明るさとは対照的に、なんとも重苦しい雰囲気。百合(余貴美子)、朋一(井上祐貴)、のどか(尾碕真花)の「スンッ」に、見ているこちらの息が詰まりそうです。

「航一さんの家族、みんなニコニコしてるけど、目が笑ってないんだもん」と言っていた優未はなかなか鋭い子でした。

「今、俺がおつきあいしているお方だ!」(by轟)

 そして、轟(戸塚純貴)です。寅子が事務所を尋ねると、そこには、仲良く並んで肩寄せ合い、椅子で眠っている2人が。しっかり手を重ね合っていて、見るからに幸せそうな様子でした。

 まさか、轟とよね(土井志央梨)!? と驚いて鼻血が出そうになりましたが、お相手は別の人でした。

 寅子に気づき、「あっ、ちょっと具合が悪くなって轟くんに介抱してもらっていました」とごまかそうとする男性の手を掴み、寅子に「驚かせてすまない」と。そして、「こちらは遠藤時雄(和田正人)さん。今、俺がおつきあいしているお方だ!」と紹介しました。

 漢・轟太一、堂々のカミングアウトに驚き顔の寅子。一件落着かと思いきや、新たな物語が動きそうで来週が待ち遠しいです。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


渡部建を“腫れ物”扱いするテレビは古い! めちゃ美味しい“食材”なのに
 2020年6月に複数の女性との不倫スキャンダルが勃発し、活動自粛していたアンジャッシュ・渡部建。活動再開後、徐々にメデ...
堺屋大地 2024-06-12 06:00 エンタメ
太陽とシスコムーンとの共通点にザワッ Z世代に人気のIS:SUEがたまらん
 6月7日、太陽とシスコムーンの楽曲がサブスク解禁され、40代を中心としたお祭り状態になっていましたね。懐かしすぎて私も...
よねと轟の新「相棒」爆誕!男と女“くっつく思考”に冷や水を浴びせた
 花岡(岩田剛典)が違法である闇市の食べものを一切拒否して栄養失調で亡くなったと聞き、衝撃を受ける寅子(伊藤沙莉)。花岡...
桧山珠美 2024-06-10 16:20 エンタメ
“マッチ先輩”近藤真彦がうたコン降臨!ヤンチャ返上?謙虚な発言に驚き
 4日放送のNHK「うたコン」は「作曲家 筒美京平特集」。尾崎紀世彦「また逢う日まで」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、...
花岡死す「栄養失調で死亡」見出しの衝撃…“甘党男子”桂場は和洋イケる口
 穂高(小林薫)は法の道へ導いて不幸にしたと寅子(伊藤沙莉)に謝罪し、新しい仕事を紹介すると言い出す。しかし寅子はむしろ...
桧山珠美 2024-06-07 15:30 エンタメ
公園ランチの約束は叶うのか? 花岡の“しょんぼり言動”が不穏すぎる
 ホーナー(ブレイク・クロフォード)から子供たちにとチョコレートをもらった寅子(伊藤沙莉)は、公園で花岡(岩田剛典)に再...
桧山珠美 2024-06-06 17:00 エンタメ
いよいよ裁判官編。NHK制作陣の遊び心、8時14分過ぎに見たり
 昭和22年3月。新しい日本の憲法に希望を見出した寅子(伊藤沙莉)が向かったのは法曹会館。そこには空襲で被害を受けた司法...
桧山珠美 2024-06-03 16:05 エンタメ
「虎に翼」お宝物件!三山凌輝はピアスにアクセジャラジャラの“チャラ”男
 先週のNHK朝ドラ「虎に翼」第9週「男は度胸、女は愛嬌?」は、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)にとって、悲しみの連続でした。...
刮目!伊藤沙莉“静”の演技、「佐田優三 仲野太賀」表示も期待は泡沫に…
 これまでの後悔と秘密をすべて打ち明けて、直言(岡部たかし)は安らかに亡くなった。  寅子(伊藤沙莉)は何事もなか...
桧山珠美 2024-05-30 19:10 エンタメ
古谷徹は“あの役”降板?声優不倫騒動の後始末、カギは「キャラの私物化」
 レジェンド声優・古谷徹(70)の不倫報道が世間を騒がせている。 『文春オンライン』よって報じられた37歳年下女性...
優三も草葉の陰で苦笑い? 前代未聞な別れの“懺悔”は直言らしい名場面に
 直言(岡部たかし)は栄養失調と肺炎でもう長くはないと診断される。直言が大事なことを隠していたと知った寅子(伊藤沙莉)の...
桧山珠美 2024-05-30 18:50 エンタメ
「見るんじゃない」と直言。ダチョウ倶楽部の“押すなよ、押すなよ”を彷彿
 直言(岡部たかし)の体調が優れない。寅子(伊藤沙莉)と直明(三山凌輝)はマッチ製造の仕事を紹介してもらい、はる(石田ゆ...
桧山珠美 2024-05-28 15:30 エンタメ
視聴率苦戦だから失敗に物申す!山下智久と錦戸亮、5年ぶり民放作の意義
 山下智久(39)が主演を務める「ブルーモーメント」(フジテレビ系)、錦戸亮(39)がキーマンとして出演する「Re:リベ...
こじらぶ 2024-05-25 06:00 エンタメ
「おいしいものは一緒に」出征前の河原デート。はて?初回を思い出すと…
 寅子(伊藤沙莉)は訪ねてきた後輩の小泉(福室莉音)から、女子部が閉鎖されることになったと知らされる。  今年は高...
桧山珠美 2024-05-24 15:30 エンタメ
優三の優しさシャワー全開!寅子のゴロゴロ床入り作戦も大成功だった神回
 昭和17年3月。直言(岡部たかし)の工場は軍からの注文が途切れず、順調に稼働を続けていた。戦時下で食べ物が貴重になる中...
桧山珠美 2024-05-21 15:30 エンタメ
朝ドラヒロインは「大日本国防婦人会」と揉めるのがお約束
 結婚した寅子(伊藤沙莉)は弁護の依頼も来るようになり順調な日々を送る。  ある日、手伝いとして働くよね(土居志央...
桧山珠美 2024-05-20 15:30 エンタメ