寅子の「心が躍るような」結婚式。放送残り1カ月ちょっと、NHKにスピンオフで描いてほしいこと

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-08-24 06:00
投稿日:2024-08-24 06:00

第21週「貞女は二夫に見ず?」#105

 お互いそれぞれの名字を名乗ったうえで、「夫婦のようなもの」になることを決めた寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)。猪爪家が手狭なこともあり、優未(毎田暖乃)の中学進学に合わせて星家に移ることにするが、花江(森田望智)は不安を隠せない。

 そんな中、結婚式のお礼を言いに来た直明(三山凌輝)は、結婚式はしないという寅子に「心が躍るような」お返しをしたいと言い出す。


【読まれています】航一は本当に明治生まれなのか?「夫のようなもの」を許容できる男に疑惑

【本日のツボ】

喫茶「ライトハウス」の由来

 ※※以下、ネタバレあります※※

 姉・寅子のために、心が躍るようなお返しをしたいと明律大の仲間たちに連絡し、「竹もと」に集結させた直明、よくできた弟です。おかげで懐かしい顔ぶれが一堂に会し、さながら同窓会のようになりました。

 しかも、全員、法衣を着用しての人前結婚式。学生時代のあの「法廷劇」を彷彿させ、ますます懐かしく…。いまは香子を名乗る香淑(ハ・ヨンス)もヒャンちゃん呼びされても以前のようにピキッとすることなく、穏やかで安心しました。

 久保田先輩(小林涼子)は鳥取で弁護士を続けていて、中山先輩(安藤輪子)も検事をしていることがわかりました。久保田先輩が「佐田君、ずっと言いたかったんだ。あの時は君にすべてを背負わせてしまってすまなかった」と寅子に謝り、「あの時は仕方がなかったんですよ。先輩方も私も」と寅子。

 そんなやりとりを複雑な表情で聴いているよね(土居志央里)にお酌をするなど、なにかと気遣う轟(戸塚純貴)。そんなふたりのやりとりが微笑ましくもありました。

 この日、涼子(桜井ユキ)&玉(羽瀬川なぎ)の喫茶「ライトハウス」の由来が判明しました。涼子たちの店の話題になり、寅子が「今度、みなさんで行きましょうよ。ライトハウスのハヤシライスは絶品なんです」と言ったところ、「ライトハウス?」と反応するよね。

 涼子が「喫茶『燈台』からお名前を拝借しましたの」と言えば、玉も「喫茶『燈台』、新潟支店です。ご迷惑でしたか?」と続けた。「いや、マスターも喜んでいる」とよねも嬉しそうな表情に。まさか「ライトハウス」がカフェ「燈台」に由来していたとは!

 ドラマもあと1か月と少々残すのみ。喫茶「ライトハウス」=カフェ「燈台」のような仕掛けはまだまだあるかもしれません。

 そして、次週。寅子と優未が星家に行ってしまい、猪爪家の人たちの出番が少なくなるのでは、と心配しています。

 NHKさん、スピンオフで「花江と猪爪家の人びと」をぜひお願いします。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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