「虎に翼」大団円へ…ブレない寅子、桂場、航一の名場面をありがとう

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-09-21 06:00
投稿日:2024-09-21 06:00

第25週「女の知恵は後へまわる?」#125

 桂場(松山ケンイチ)に真っ向から意見した航一(岡田将生)だが、心ならずも寅子(伊藤沙莉)にまで心配をかける事態に陥ってしまう。航一と寅子が帰宅すると、星家には子どもたちが集まっていた。

 一方、同級生を突き落とした疑いで調査を受けていた少女は不処分となったが、審判の後、寅子を訪ねてきた保護者の佐江子(辻沢杏子)は、驚がくの事実を告白する。


【こちらもどうぞ】岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察

【本日のツボ】

桂場にひざ枕される航一

 ※※以下、ネタバレあります※※

「時期尚早とは、つまりどういうことでしょうか?」

「反発は来るかもしれない。でもたとえどんな結果になろうとも、判決文は残る! ただ何もせず、人権蹂躙から目を逸らすことの、何が司法の独立ですか!!」

 あの穏やかな航一が珍しく声を荒げ、桂場に抗議しました。

 そんな航一と睨み合う桂場、と思ったらその表情が変化していきます。「星君」、そう言って椅子から立ち上がり航一の元へ向かう桂場。「えっ」怪訝そうな航一ですが、その鼻からはツーっと鼻血が流れており…。貧血を起こしたのか、桂場のほうへ倒れ込みます。

 場面変わって。慌てて駆けつけてきた寅子が長官室に入ると、そこには桂場のひざ枕で仰向けになって眠る航一の姿が…。

なぜひざ枕? なぜ正座?

 寅子は開口一番「はて?」寅子の入室と同時に劇伴もコミカルな感じになり、さきほどまでの緊迫した状況から一気に和やかムードへ。

 なぜ、ひざ枕? しかも正座? といろんな「はて?」が視聴者の頭に渦巻いたことでしょう。

 気がついて立ち上がった航一。さらに寅子が「桂場さんも立てます? 足しびれてませんか?」と尋ねると「君は夫のことだけ、心配したまえ」と強がる桂場。「いいから掴まってください」と寅子が桂場の腕を引っ張り上げようとすると、「ゆっくり頼む」。

 さらに紘一も手伝って引っ張ろうとすると、「あっ、ちょっちょ、動くな。あー」と。「足を伸ばしましょう」と言う航一に、「駄目だ、やめろ、触るなー」と桂場。その姿を見て今にも笑い出しそうな寅子と航一でした。

 そして、足の痺れがまだ癒えない桂場に向かって「桂場さんは若き判事たちに取り返しのつかない大きな傷を残しました。きっと一生許されない。私は彼らに許さず恨む権利があると思う」「私自身、桂場さんに怒り、失望して傷つきもしました」「私が邪魔で面倒で距離を置きたくても、司法の独立のために共に最後まで戦うしかないんですよ」と容赦なく言いたいことを言う寅子。さすがブレません。

来週で大団円!

 そんな2人の関係に、「少し妬けるな」とやきもちを焼く航一も含めて、あの緊迫シーンから和やかムードへの緩急つけた見事な珍場面、いや、名場面をありがとう、という感じです。

 星家では家族団らんのすき焼きパーティ。そして、航一が寅子に本音を言う夫婦の場面。一方、長官室で孤独に調書を読む桂場。桂場は独り身なのでしょうか。

 来週で大団円も迎える「虎に翼」。せめて、桂場にはもう一度、好物の「笹竹」の団子を食べさせて欲しいと願うばかりです。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」ここがヘンだよ、戦争パート。のぶが夫に駆け寄らないのはなぜだ?
 次郎(中島歩)からの便りに顔を輝かせるのぶ(今田美桜)だったが、それは海軍病院からだった。のぶが不安な気持ちで病室に入...
桧山珠美 2025-06-21 12:55 エンタメ
『バチェラー6』第7話を正直レビュー!石森さんの“事実発覚”に全視聴者が驚いた…。辻󠄀本さんの高度な会話テクにも注目
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。第7話は、クアラルンプールへ久次米...
中村未来 2025-06-21 06:00 エンタメ
『バチェラー6』第6話を正直レビュー!小田美夢の“あまりにあざとい”テクニック。キス連発は最初から決めてた?
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第6話。前回のラストで、早朝...
中村未来 2025-06-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」清(二宮和也)は出る出る詐欺じゃなくて一安心。岩男とリンはやっぱり“チリンの鈴”だった
 銃撃された岩男(濱尾ノリタカ)は、嵩(北村匠海)にリンはよくやったと言って息絶える。八木(妻夫木聡)は、リンは親のかた...
桧山珠美 2025-06-19 17:28 エンタメ
『バチェラー6』第5話を正直レビュー。自然体の笑顔をやっと見れた。で、なんで突然キスした?
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第5話。もう折り返しなんて早...
中村未来 2025-06-19 06:00 エンタメ
令和ロマンくるま、吉本退所でも絶好調の今。もう一度「M-1」優勝を狙ってみてはどうか
 4月末で吉本興業との契約を終了した令和ロマン高比良くるま。一時期活動休止していたが、5月末には復帰。現在、精力的に活動...
帽子田 2025-06-19 06:00 エンタメ
『バチェラー6』第4話を正直レビュー。石森さんまさかの本命? みんな久次米さんの魅力をもっと伝えて~!
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第4話。ホワイトローズを受け...
中村未来 2025-06-18 06:00 エンタメ
奥平大兼、世間とのギャップに戸惑い「僕のプライベートを見たら驚くと思う」悩んだときの考え方は?
 長澤まさみさんと共演した映画『MOTHER マザー』でのデビューに始まり、映画やドラマで常に心に残る芝居を見せている奥...
望月ふみ 2025-06-18 06:00 エンタメ
田中圭ショックか?木梨憲武、玉木宏ら「夫婦円満」をアピールするイケメンたち。向井理も丸くなった
 サントリー「角瓶」のCMが新しくなりましたね。「♪ウィスキーがお好きでしょ」の歌をバックに、バーテンダーの井川遥と客の...
「あんぱん」嵩(北村匠海)と健ちゃん(高橋文哉)コンビが心強い。岩男には“嫌な予感”しかない…
 嵩(北村匠海)は、絵の才能を見込まれ宣撫班勤務を命じられる。宣撫班では紙芝居を見せていた市場でひと騒動があったといい、...
桧山珠美 2025-06-16 16:45 エンタメ
前田敦子の「アイドル否定発言」に物議。卒業後に佐藤健と撮られても、現役時は“偶像”を演じきったプロなのに
 先月、『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系)に出演した元AKB48の前田敦子。番組内で「『アイドルになりた...
堺屋大地 2025-06-16 06:00 エンタメ
ジュニア退所は「timeleszのせい」…何かと荒れるタイプロ界隈、それでも彼らは“必要だった”といえるわけ
 6月2日、STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所。以下、SE社)のジュニア内グループ・Go!Go...
こじらぶ 2025-06-23 18:09 エンタメ
「あんぱん」戦場での緊迫シーンにホッ。嵩(北村匠海)らの“偶然の再会”、まるでドラマみたい…は禁句です
 小倉連隊に動員が下令され、嵩(北村匠海)は中国に行くことに。出発前日、嵩はひとり星を眺める八木(妻夫木聡)にこれまでの...
桧山珠美 2025-06-16 16:27 エンタメ
【話題】岸田文雄氏、“元総理系YouTuber”がトレンド入り「辞めてからのほうが楽しそうだな」「なんか複雑」賛否の声
 Xはじめ、さまざまなSNSで発信活動を行っている第100・101代内閣総理大臣の岸田文雄元首相。6月12日に岸田元首相...
『バチェラー6』第3話を正直レビュー! いまだ久次米さんのツボがわかりません。決め手は「LOVE」より「自然体」なのか? となると…
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第3話です。村岡さん、河地さ...
中村未来 2025-06-13 06:00 エンタメ
黒谷友香、50歳目前で感じる“服選び”の変化「ファッションは失敗してもいい」ステキでいられるコツとは?
 高校在学中から雑誌のファッションモデルとして活動を開始し、俳優に転身後、ドラマ『はみだし刑事情熱系』『ハンチョウ〜神南...
望月ふみ 2025-06-13 06:00 エンタメ