ちちんぷいぷい返しを試みた航一は朝ドラヒロイン良き夫“ベスト5”に入る

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-09-23 17:25
投稿日:2024-09-23 17:25

最終週「虎に翼」#126

 寅子(伊藤沙莉)の名前を知る少女の祖母・佐江子(辻沢杏子)が訪ねてきて、孫を助けてほしいと寅子にすがる。

 そんな中、朋一(井上祐貴)が法律の世界から離れることを航一(岡田将生)と寅子に報告しに、星家にやってくる。

 一方、よね(土居志央梨)と轟(戸塚純貴)は、大法廷での弁論に向けて練習を開始して…。


【こちらもどうぞ】寅子フリーズ! 美佐江くりそつな美雪登場、意味深な微笑が恐怖をあおる

【本日のツボ】

航一の「ちちんぷいぷい~」/よねの「はて?」

 ※※以下、ネタバレあります※※

 先週、美佐江の娘・美雪(片岡凛2役)の「えーん、えーん」というあまりにもわかりやすいウソ泣きに、このままでは終わらないだろうと予想していましたが、やはり、持ち越しに。

 美雪は再び補導され、家裁送りになりますが、その件名には「窃盗教唆事件」と「売春防止法違反事件」と書かれています。祖母の佐江子が「美雪にこのまま、娘をなぞってほしくない。どうか、どうか」と寅子にすがりたくなる気持ちもわかります。

 夜。星家宅のリビングでのこと。夫婦で晩酌をしながらも、美佐江と美雪のことを考えていて心ここにあらずの寅子に対して、「寅子さんの独り言を盗み聞きするつもりはないよ」と航一が優しく声を掛けます。

「例の子、やっぱり美佐江さんの娘だった。そして、美佐江さんは彼女が小さい頃に亡くなっていた。蓋をしてきたものと向き合うのは苦しいわね」――珍しくどんよりしている寅子に航一が予想外の行動を取りました。やおら立ち上がって寅子の正面をキープ。右手を高く上げながら「ちちんぷいぷい~!」と。

「今、寅子さんが強い意志…強い意志を…」と言ったところで「あ~あ」と崩れ落ちます。

 これには寅子もびっくり。「無理をしてくれてありがとう」と感謝。「はい。無茶をしました。無理をしました」と航一。自身が落ち込んでいた時、寅子が「ちちんぷいぷい~!」のおまじないを掛けてくれたことを思い出し、「ちちんぷいぷい返し」をしようと思い立ったのでしょう。

 それを終始、見ていた朋一(井上祐貴)が「あの…、もうそろそろいいかな。盗み聞きするつもりではなかったんだけど、ただ…ちちんぷいぷいが聞こえて入りづらくて…」と登場し、恥ずかしさ倍増になるところまで含め、航一の優しさと寅子への愛情あふれる名シーンでした。

 航一さん、歴代朝ドラヒロインの夫の中で間違いなくベスト5に入るほど良き夫です。

「行け! 山田」

 そして、寅子と航一に勝るとも劣らない、良きパートナーぶりを見せてくれたのが、よねと轟です。法廷でのよねの弁論の一言一句に聞き入り、「くそ」発言のあとの轟のフォローそして、「行け! 山田」のエール。

 見事なバディ感を見せてくれました。よねの「はて?」に桂場長官(松山ケンイチ)が、「ん?」となったのも含めて、胸が熱くなりました。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


森香澄は“嫌われる女”を演じてる説 「女子アナ」抹消計画を進行中!?
 元・テレビ東京の「女子アナ」で、昨年3月に退社してフリーに転身後、バラエティ番組を中心に引っ張りだことなっている森香澄...
堺屋大地 2024-04-17 06:00 エンタメ
朝ドラ史上初の快挙!ヒロインの月のもの(生理)事情が描かれた
 生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは先輩の久保田(小林涼子)・中山(...
桧山珠美 2024-04-15 15:48 エンタメ
平野、神宮寺、岸のNumber_i返り咲きの春! 欲いえばもっともっと…
 さくら満開の春、Number_iがテレビに帰ってきました平野紫耀(27)、神宮寺勇太(26)、岸優太(28)、お久しぶ...
「ニャニャニャニャニャ」寅子の必殺技!いずれ強い虎になる“伏線”か?
 判決の日。寅子(伊藤沙莉)たちの予想は外れ、妻が着物を取り戻すことが認められる。大喜びする女子部の面々だったが、よね(...
桧山珠美 2024-04-12 18:20 エンタメ
不祥事芸人・フジモンの賛否両論の復帰劇!実は吉本への貢献度が抜群?
 昨年10月に当て逃げ事故を起こして活動自粛していたフジモンことFUJIWARA・藤本敏史が、3月23日放送の『さんまの...
堺屋大地 2024-04-12 06:00 エンタメ
寅子「あきらめたらそこで終わり」はもしや…名作漫画のイズムにニヤリ
 傍聴した裁判について尋ねた寅子(伊藤沙莉)に対し、穂高(小林薫)は皆で議論してみるよう促す。  暴力を振るう夫か...
桧山珠美 2024-04-11 15:25 エンタメ
トラコ入学、伊藤沙莉は表情筋を自由に操る女優…男装の山田よねにも注目
 昭和7年。晴れて「明律大学女子部法科」に入学した寅子(伊藤沙莉)のクラスには女子の憧れの的の華族令嬢・桜川涼子(桜井ユ...
桧山珠美 2024-04-08 18:38 エンタメ
“お騒がせ”青井実アナが心機一転、なにわ男子の道枝駿佑と似てるって⁉
 世の中の人がNHKに持つイメージといいますと、「真面目」「お堅い」「地味」といったところでしょうか。  そんな中...
逃げ恥の百合ちゃん役が“頭のいい女は頭の悪いふりをするしかない”発言
 穂高(小林薫)に出くわしたことで女子部への出願が母・はる(石田ゆり子)にばれてしまった寅子(伊藤沙莉)。  娘に...
桧山珠美 2024-04-05 15:30 エンタメ
「虎に翼」語りは尾野真千子 NHKアナと俳優のナレーションの違いは?
 寅子(伊藤沙莉)がお見合いに苦戦する中、親友の花江(森田望智)は寅子の兄・直道(上川周作)との結婚準備を順調に進めてい...
桧山珠美 2024-04-05 15:14 エンタメ
「虎に翼」シン・朝ドラの予感!わずか1話、たった15分で心つかんだ描写
 昭和6年・東京。女学校に通う猪爪寅子(伊藤沙莉)は父・直言(岡部たかし)、母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧...
桧山珠美 2024-04-01 22:28 エンタメ
僥倖!世界に挑む赤西仁ほど「サムライマック」のCM向きな俳優はいない
 マクドナルドのCMにイケメンあり!  そんな声をちらほら耳にするようになりました。たとえば4月2日から全国放送さ...
平野らTOBEがドーム公演大成功の一方、暗雲立ち込める旧ジャニの逆転は
 3月14日から17日にかけて、滝沢秀明氏創設のTOBE所属アーティストによる東京ドーム公演「to HEROes ~TO...
こじらぶ 2024-03-30 06:00 エンタメ
ブギウギ最終回、水を差すようでスンマセン! 残念すぎる4つの演出と描写
 スズ子(趣里)のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子(菊地凛子)、愛子(...
桧山珠美 2024-03-30 11:41 エンタメ
スズ子引退会見、“天敵の文屋”鮫島の「シャッポを脱ぐ」演出を読む
 歌手・福来スズ子(趣里)の引退会見の当日。スズ子は結局、羽鳥善一(草彅剛)とは話ができないまま会見に臨むことになってし...
桧山珠美 2024-03-27 14:30 エンタメ
超鈍感力! 羽鳥の絶縁宣言を屁とも思わないスズ子とタケシは似た者同士
 歌手引退――。スズ子(趣里)はその決断を、愛子(このか)や大野(木野花)に伝えた。  羽鳥善一(草彅剛)に絶縁す...
桧山珠美 2024-03-26 15:40 エンタメ