更年期、それはある日突然に…45歳女の体が『倦怠感で満タン』になった

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2024-10-16 06:00
投稿日:2024-10-16 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第1話は「それはある日突然に…」。

これは更年期の訪れか、否か

 私が最初に更年期の症状を感じたのは、忘れもしない45歳。とても衝撃的だったので、連載初回のタイトルはその時の気持ちにちなんで「それはある日突然に…」にした。ふと昔、『それは、突然、嵐のように…』(TBS系・2004年)という、似たようなタイトルのドラマがあったことを思い出す。

 作品は江角マキコ演じる主婦と、山P演じる超絶イケメン高校生が恋に落ちるという、設定だけで白ごはん3杯いけそうな物語だった。

 ただ本連載は色恋沙汰の話ではなく、ヒト科に生まれたのなら、いつかは訪れる“更年期”について、体験したことを綴っていく。エッセイというよりは予期せぬ事態に備えての、女の避難ガイドかもしれない。


【こちらもどうぞ】プレ更年期って何?デリケートゾーンが痒い!【薬剤師監修】

 とはいえ更年期の症状は千差万別。書かれているものが全て当てはまるとは限らないので、あくまで参考程度に捉えて欲しい。何か調べたいことがあった時に、検索サイトもSNSもさっぱり当てにならない時代になりました。

 上澄みと虚偽ばかり。こんな時こそ信用できるのは、今こそ口コミ。おばさんの井戸端会議に参加しているつもりで読んでもらえたら、喜びの舞でございます。

 さて本題に戻って、45歳の更年期のはじまり。それは「倦怠感に襲われて、横にならずにはいられない」という症状から始まったのである。

横にならずにいられない

 酒の飲み過ぎなのか、常に中性脂肪と格闘してはいるけれど、基本は健康体だった45歳。老眼も来ておらず、中年という言葉とは縁遠い生活を送っていた。ちなみに仕事はフリーランス。とある日、デスクで血眼になってパソコンとも格闘していると、なんとも言えない倦怠感に襲われた。

「…あれ…?」

 体温は平熱。吐き気、痛みもない。突然、ベイマックスが体全体を包み込むように、だるさで私の体が満タンになってしまった。なんとも言えず、息苦しい。何があった、私の体。いや、ひょっとしたら、このままどうにかなってしまうのか。

「…横になりたい…」

 思わず口からついて出た願望。願いを叶えるべく、寝室のベッドに倒れ込んだ。横になると、途端にだるさから解放された。ふう。

 横になりながら、かろうじて動いている脳を動かして、倦怠感の原因をふわふわと考える。先述通り、健康そのもので生きてきたので、小学生の時に朝礼で倒れたような経験もない。

 今さら話だけど、当時は倒れている同級生がうらやましかった。校長のどうでもいい話を聞かなくてもいいし、何よりも暑くない。とはいえ健康そのものなので、病弱なふりをどうしていいのか、皆目見当がつかない。仮病が一発でバレることを危惧して、倒れる演技はできなかった。

30代の時、子宮内膜症と子宮筋腫の診断を受けたが…

 30代から子宮内膜症と子宮筋腫とは診断されたけど、良性なのでこの症状は考えにくい。風邪? 感染症? いやもっと恐ろしい病気か…? 思いを巡らせているうちにそのまま寝てしまった。

 1時間くらい経過後。編集者からの電話で目が覚めた。電話に出た私の声が、あきらかに具合が悪そうだったらしい。

「すみません、寝てました…? って、そんな時間帯じゃないですよね」

「ちょっと、具合が悪くて…でももう大丈夫」

「いや、僕、タイミングが悪かったですよね」

「いいのよ、ブキミくん(編集者愛称)。女にはさ、時々寝てなくちゃいられない時もあるのよ。まだ若いから分からないかもしれないけど」

「はあ…」

 ついさっき「横になりたい」と倦怠感を体験したばかりのくせに、もうベテランのごとく、一端の口を聞く。これぞ、おばさんの回復力の速さだ。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

ライフスタイル 新着一覧


仕事をがんばるあなたへ こんな時代だからこそ「自己肯定感」を高めて
 自分を条件なしに肯定できる力を「自己肯定感」といいます。あなたは、自己肯定感が高いですか? 低いですか? 実は、自己肯...
春を告げる「ミモザ」、“命短し”可憐なフワフワを長持ちさせる鉄の掟3条
 先だって大雪に見舞われた、我が愛すべきお花屋の周辺にも春を告げる鳥がボチボチやってくるようになりました。  しかも店...
自分がナンバーワンになれる場所 それを見つけるのも才能
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
羽田と成田を間違えた! 職場の新人やらかしエピソード5つ
 新人の頃は、誰でも一つや二つの失敗体験があるもの。でも、中には「ありえない」と思うようなやらかしエピソードも…。  ...
BIGな“にゃんたま”ライバル出現!おにゃんこを巡る壮絶な三角関係ぼっ発
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
通り過ぎた季節、むせかえるほど深い秋景色の中を歩いた
 何層にも重なった、むせかえるほど深い秋景色。  通り過ぎた季節を想うとやたらと切なくなるのはなぜだろう。 ...
【45歳からの歯科矯正】医療費控除の手続き、確定申告で役に立つアレ
【これまでのお話し】 45歳で歯科矯正を始めようと思ったワケ(#1)/45歳女、5年越しにワイヤー矯正を決断!(#...
ほっこり癒し漫画/第67回「おかえり銀ちゃん」
【連載第67回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
私「あ、大丈夫よ?」勘違い女「なんとか調整する」いや誘ってないから!
 自意識過剰だったり、自分に自信があったりする女は“勘違い女”になりがち。そんな女性からのLINEには、思わず「いやいや...
ペラペラさが逆に良い!100円均一のトラベルグッズが海外旅行で重宝した
 コロナが落ち着いて旅行する機会が増えた方も多いのではないでしょうか。  トラベルグッズを買い揃えるために100...
ババア(婆)と言われ、架空の48歳妹になりすました73歳女に思うこと
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ミス日本は不要? 開催意義と椎野カロリーナ不倫発覚で“分不相応”の根拠
「ミス日本コンテスト2024」に選ばれたウクライナ出身のモデル・椎野カロリーナさん(26)が2月5日、グランプリを辞退し...
2024-02-10 06:00 ライフスタイル
酒豪の友達を持った宿命? 飲み会で「割り勘負け」を防ぐ6つの賢い方法
 友達との飲み会は楽しいけれど、気になってしまうのが大酒飲みとの割り勘。お酒を飲まない人なら、会計時に「ソフトドリンク1...
“子供部屋”を出てチヤホヤされて 36歳女性が勘違いから気づいた現在地
 西荻窪の実家で母親と2人で暮らし、工場でパート勤務をしているかおり。平坦な毎日だったが何気なくインスタに投稿していたシ...
工場での単純作業は悪くないが…恋愛経験ゼロの女に起きた“タグ付け事件”
 西荻窪の実家で母親の信美と2人で暮らし、工場でパート勤務をしているかおり。彼女は今の生活に特別な不満もなく、趣味のカフ...
私は子供部屋おばさん?彼氏ナシ・非正規でもシフォンケーキで満ちる日常
 工場内に終業のチャイムが鳴った。  機械の停止音とともに「お疲れさまでした」が飛び交う。  同じロゴの入っ...