更年期は洗濯物が増える!「汗とともに去りたい」と心がチクチクしたら…

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2024-11-27 14:56
投稿日:2024-10-23 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第2話は「汗とともに去りたい」。

「外、雨降っていました?」

 今年の夏も頭からずっと汗をかいて、首筋にずっと汗が流れていた。

 特に激しい運動をしているわけでもなく、冷房の効いた室内で掃除をしているだけなのに、私の汗は止まらない。「滝汗」とはよく言ったもので、まさに首筋はナイアガラの滝。更年期とは人によって症状は全く違うが、私の場合、一番困っているのが夏場の大量の汗。婦人科医の診断によると「のぼせ」らしい。

 30代から低容量ピルを服用しているので、夏になると少し汗量が増える体感は経験済み。ピルは偽妊娠状態になり、排卵と生理を抑制する効果がある。妊婦さんがよく「暑い」と漏らしている状態と同じだ。10年以上服用を続けていると、普段より少しだけ多い汗にも慣れてきていた。

 ただ45歳以降「更年期かもしれない」と気づいた頃の汗の量は尋常ではなかった。ここ数年の酷暑に伴って、私の汗も大増量だ。

 まず汗をかいているのは、頭部と上半身だけ。ホットフラッシュのようにいきなり熱くなるというわけでもなく、気温と共に上昇していく。上半身が熱湯でゆでられていく、サッポロ一番のようだ。髪の毛はいつでもウエットスタイル状態で、油断をすると、私のボブヘアの毛先からは汗が雫のように垂れている。


【こちらもどうぞ】更年期、それはある日突然に…45歳女の体が『倦怠感で満タン』になった

涙と汗が流れる私、甲子園球児か

 今夏のある日。自宅で週に一回の掃除をしていたところ、髪の毛がびしょびしょになっていた。私は屋外で庭の手入れをしていたわけでもない、冷房完備の部屋で掃除をしただけなのに。

 Tシャツの首まわりが汗でにじみ、赤く火照った顔の自分の姿を鏡で見た瞬間、泣きそうになってしまった。老け具合に落胆したわけではない。たぶん、汗と暑さに疲れていたのだと思う。あとは更年期の影響による、若干のメンヘラ勃発だろうか。

 泣いていても仕方がない。家事は誰も代わってくれないし、やるしかない。そう思った瞬間、開き直って、吸水専用のタオルを頭に巻いた。気分は漁師だ。出てくる汗は気合いで止まるものではないし、それなら氾濫を強制的に食い止めるしかない。その日から自宅で汗が気になる時は、人目があるわけでもないと、威勢良く頭にタオルを巻くようにした。

 宅配便の配達を受け取る時に、セールスドライバーさんが私のタオル姿を見て「あ…」「すみません!」と言われたことがある。見てはいけないものを見たような雰囲気だった。そりゃ真っ昼間に頭にタオルを巻いている人も、そんなにいないだろう。ただ、入浴後という色っぽい事情ではなく、汗をかいているだけ。

 ちなみにタオルを取ると、予想通り、タオルは盛大に濡れている。そのままでいるのも不潔だと、シャワーを浴びて汗を流す。

「更年期は洗濯物が増えるなあ…」

 一時期はそう考えてモヤッとしたけれど、単細胞の利点を活かしてこう考えた。私には今、育ち盛り、食べ盛りの息子がいると思えばいい。彼らはやれ部活だ、それ着替えだと洗濯物の量が多いと聞く。

 もしこれを読んでいる方が同じ状況でお子さんがいるのなら、横浜流星に似た超・イケメンの息子がもう1人増えて、その子の洗濯物を洗っているんだと想像してみて欲しい。何事もモノは考えようなのです。

「暑くて…死ぬ…」

 コロナ禍でマスクもしながら、夏に近所を歩いている時に私はこんなふうに、道端でひとりごちていたらしい。のぼせモンスターと化した私とすれ違った友人が「あんたとすれ違ったけど、独り言を言っているし、目が怖いしで、声かけらんなかった」と、LINEで教えてくれた。なんてこった。

 さらに恥ずかしかったのは、夏、歯医者へ出かけた時のこと。夕方で少しは暑さもおさまっているだろうと、片道40分を歩いて向かった。これが計算ミスで、暑さはおさまることを知らず、夕方も30度を超えていた。歯医者に到着した頃は、髪の毛は汗びっしょり。そんな私を見て、歯科医が開口一番にこう言った。

「小林さん、こんにちは…あれ? 外は雨降っていました?」

 いや、降っていない。汗で濡れた私を見て、そう思ったらしい。ということは、今まで誰かにも、間違った天気を触れ込んでしまったかもしれない。畜生、汗め。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

ライフスタイル 新着一覧


結局、暑いの平気な花ってどれ? 花屋が激推しする「夏の花」5選。ユリは日持ちとコスパの良さに文句なし!
「暑い!」というより「痛い!」が正しいような気がする今年の夏。  外に出かけようものなら「命懸けかい?」と、ためら...
そう来る!? AI提案の「酷暑の乗り越え方」に笑った。私が考えたオリジナル“心理的”対処法も教えます
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
終わった…海外トラブルで冷や汗。20代女子のリアルな旅行ハプニング、消えた荷物はどこに!?
 日本とは違った体験や景色が味わえる、それが海外旅行の魅力。しかし、その“違い”が思わぬトラブルを呼ぶこともあるんです。...
なぜ40~50代に参政党がウケたのか? 参議院選挙の"もうひとつの争点"、氷河期世代の本音
 2025年参院選で争点のひとつに「就職氷河期世代」の支援策もかかげられた。  1993年から2005年にかけて社...
正直いりません!ダサい服を送ってくる義母。悩める主婦がとった“仕方ない”手段「どうなんだ? とは思うけど…」
 令和を迎えた今の時代にも、姑の行動に深刻な不快感を示す妻もチラホラ…。一方、激しい対立をするほどの事柄ではなくても妻が...
やば! ブラ紐が“チラ見え”した時どうしてる? スマホ使ったスマートな技も
「えっ、ブラ紐見えてたかも…?」ふとした瞬間に自分のブラ紐が見えていることに気づくと、恥ずかしさで焦ってしまいますよね。...
「帰省キャンセル界隈」は親不孝じゃない。実家に帰らないための冴えた言い訳
 色々な理由で帰省をしない人はたくさんいます。帰りたくない理由があるのなら、無理にしなくていいのかも。 (コクハク...
ポンポン尻尾にメロメロ♡  “にゃんたま”丸見えの姿に心をくすぐられちゃう
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第101回「くまさんスイカ!シャクシャク」
【連載第101回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...
【“偏”探しクイズ】共通する偏をみつけて2文字の熟語を2つ作ろう(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
「頑張りが伝わってきたよ」ママ友の言葉にホロリ…思わず嬉し泣きしたLINE3選
「LINEに救われた」という経験、あなたにもあるのではないでしょうか? 連絡手段として用いられるLINEが、救世主のよう...
浴衣の下って何を着ればいいの? 下着をつけたくない場合の最適解とNG行動
 夏休み、家族や友人と旅行に出かける人もいるでしょう。でも、意外に知られていないNG行動のせいで、恥をかくことも…。 ...
「来月はハワイ♡」ってダルっ…。“幸せアピ”がウザい女友達のLINEエピソード
 自分が幸せの中にいるとき、周りに話したくなったりアピールしたくなったりする人もいるはず。でも、相手に「ウザい」と思われ...
「スナックのママ=不美人」説は本当か? 超納得のシンプルな理由を解説します
 「スナックのママって、そんなに美人いないよね」  これ、みなさんも思ったこと or 聞いたことないですか? 私は...
4割が「事故物件に住み続ける」と回答。それぞれの“ワケあり”事情とリアルな体験談
 夏といえば怪談。その中でも近年、特に目立って増えているのが「事故物件」をテーマにした話だ。  松原タニシの実話怪...
猫の「まなざし」に恋をした…“にゃんたま”には何が詰まっているの?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...