女性の「更年期と老化の受け止め」に3パターン。休むのはわがまま? 更年期休暇も求む!

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2024-11-27 15:03
投稿日:2024-11-20 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第6話は「求む、更年期休暇」。

老化を認められない、50代

「あの~、私も40代になったのでそろそろ更年期が気になっているんですが。Aさん、更年期はどんな症状だったのか教えてもらえないでしょうか?」

「私? 私ね…全然なかったんですよ! 更年期。みんな大変みたいだけどねえ」

「症状なしですか。それは良かったですよね。じゃあ、閉経もすんなりと…?」

「うーん、周期は乱れているけど、まだ…ありますよ!」

 40代に入って“更年期障害”のワードが脳裏に散らつき出した頃。とある50代の先輩との会話を思い出した。更年期とはどんなものか、情報収集を始めていたのである。

 当時Aさんは猛暑でもないのにやけに汗をかき、カーディガンを脱ぎ着していたので「のぼせですか」と質問してみると、笑顔でかわされてしまった。どうもあの回答は真実ではなかったような気がして、いまだに解せない。

 人生の諸先輩方から、更年期に関する話を聞くうちに、老化に関する受け止め方が3パターンに分かれると仮定した。まずは「更年期を認めない、会話を逸らす」系。実はこれが圧倒的に多かった。

 同じように女優の斉藤慶子もかつてのインタビューでこう話している。

「私、こんなふうに何も(健康に)気にしてこなかったけど、毎年受ける人間ドックの血液検査は全てA評価。しかもHDL(善玉)コレステロールが高いと褒められます。更年期も一切なかったし、病気もしたことがなくて、体と肌は強いけど、色黒です(笑)。」(「美ST」2021年8月号)


【こちらもどうぞ】更年期、それはある日突然に…45歳女の体が『倦怠感で満タン』になった【日日更年期好日 #1】

「更年期症状がない」発言を深読み

 でも更年期障害の症状がないというのは、現在ドンズバ世代で悩んでいる私の立場からすると、腑に落ちない。わずかな惨めささえ感じる。めちゃくちゃスタイルの良い女性に「大食いだから!」と、言われる気持ちに近い。

「更年期のない女性はいませんよ。更年期は女性ホルモンが衰退していくことですから、全女性誰にでもあることです。一生、出産できるわけではないです。ただ症状は人によって全く違いますから、小林さんのようにつらい人もいれば、感じない人もいます。それだけです」

 そう言うのはかかりつけの婦人科医。

 私の推測だけど「更年期症状がない」と言う女性の一部は老化を認められないのでは? と思う。誰でも老けて見られたくはないけれど、芸能人みたいに若々しさは保てない。自分が更年期だとさらしてしまうと、おばさんレッテルを貼られることになる。女ですもの、最後の最後まで足掻きたい。ポジティブな意味での虚栄心だ。

かすり傷で更年期を終えたキャリアウーマン

 そして「本当に仕事が忙しくて、更年期なんかに構っていられなかった」系。

 かつての女性上司にも前述と同じような質問をしてみた。彼女は出版社の社員で、現在は定年退職をしている。

「更年期? あったかなあ? 50代なんて編集長の仕事が忙しくて、それどこじゃなかったんだよね。怒りっぽいみたいなことはあったかもしれないけど、生理もいつの間にか終わっていたかな。もし(更年期の症状に)気づいたら、そればかり気になっていそうだけど」

 元上司の怒りっぽさは更年期以前からだったと記憶しているので、彼女の話してくれたことが更年期の症状とは限らない。

 先日小泉今日子さんこと、キョンキョンが『あさイチ』(NHK総合)にゲスト出演した時も「ちょっと暑いな、とは思ったけれど、仕事が忙しくて更年期どころではなかった」と話していた。

 他も脚本家や文筆家など、忙しそうな女性に聞くと同じような返答だった。仕事が薬とは、幸せなことなのかもしれない。私もそうなりたい。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


みなたま、ありがたま! 来年も素晴らしい“たまたま”に出逢えますように
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
【2024年人気記事】二日酔いがきつい…! スナックママ流3つの予防法。意外な「あの食べ物」が効果的?
 2024年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初...
無視したくせに個別LINEで取り繕われてもねえ。偽善者っぽさがプンプンにおう人たち
 良い人になりすまして、実は裏があったり何か企んでいたりする偽善者。そんな厄介な人との関わりは、最小限にとどめておいたほ...
夫のスマホ依存が止まらない! あるある過ぎてマジ泣ける…改善方法は?
 ガラケーがスマホになりSNS社会になった現代、多くの妻を悩ませているのが夫のスマホ依存。スマホを離さず、仕事以外の時間...
「もしや旦那無職?」って聞いてくるか!? 自称サバサバ女のデリカシーゼロなLINE3選
 竹を割ったような性格の人を「サバサバしている」と表現することがありますが、なかには「自称サバサバ女」と名乗り、自分の短...
令和ロマンのネタ“最強の苗字”説は本当?全国のワタナベさん達の苦悩…テストで字画削減のために『渡辺』等
『M-1グランプリ』(ABC・テレビ朝日系)で前人未到の2連覇という快挙を成し遂げた令和ロマン。ファーストラウンドでは昨...
性格が悪い人の見抜き方4連発。眉間のシワは加齢のせいだけじゃない
 性格の悪い人との付き合いで、悩み、苦労する人はたくさんいます。「もし出会った時にこんな性格だとわかっていたら…」と後悔...
これは友情?それともBL? たわわ男子の“たまたま”にイケナイ妄想が止まらない
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
飲み会キャンセル界隈でまわるカモ。LINEで乗り切る!? 飲み会の面白い断り方3選
 会社の同僚や友人を飲み会に誘った時、仕事の予定や金欠、体調不良を理由に断る人は多いですよね。ただ、なかにはセンスを感じ...
正月の門松に「松」は絶対必要? 住職の言葉にヒントが…歳神様を招く際に本当に欠かせないもの
 元旦から大きな災害に見舞われた2024年、当たり前の日常や生活に大きな変化が起きてしまった方々が、少しでも心穏やかな年...
Happy Merry Christmas! すいません、2024年最後のポンコツ商店会は思いっきり愚痴!!
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
更年期あるあるの「めまいよ、止まれ」自宅で単身コーヒーカップ状態、耳鼻科医は“夜のある習性”を指摘した
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
「もっと頑張れるはず!」は“凶器”だよ…心がまいっている時に届くと嫌なLINE3選
 心がまいっている時は、ちょっとした言葉にも敏感になるものです。相手に悪気がないとわかっていても、たった一言で追い詰めら...
女性のセルフプレジャーはなぜ浸透しない? パートナーとの性交渉とは別物だと考える理由
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。 「セルフプレジャ...
結局「嘘も方便」なのよ…サンタクロースの正体を知った子どもの末路
 クリスマスイブですね。みなさんは、サンタクロースを何歳まで信じていましたか?  筆者は保育園の年中さんでサンタクロ...
すべてが完璧! 至高“たまたま”のベストアングルは譲れない
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...