60代ふつうのおばさんが資産家シニア男性を虜にした「2つのモテ」【後妻業の女・筧千佐子#1】

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2024-11-23 06:00
投稿日:2024-11-23 06:00

私はセックスもできる、とメディアで発言

 日本人女性の平均閉経年齢は50.5歳、そのあたりからセックスがしんどくなったり、挿入が痛くなったりする人は多い。

 だが千佐子は「私は男好きってわけじゃないよ」「体が丈夫だから夜のこともできる」と、笑いながら取材に答えている。60代後半になっても、千佐子にはそんな悩みはなかったのだろうか。

 女性の体はデリケートだ。でも、「したくないのに求められる」「乾燥ぎみで痛い」というときには、便利な方法がある。

 ドラッグストアで売っている乳酸菌入りの膣内洗浄剤を行為の前に膣内に入れておくと、時間をかけて少しずつ出てくるため、自然にうるおったのと同じ状態になるのだ。

 ゼリーやローションのようにばれないし、PHバランスを壊さずに内部を洗って匂いを消してくれるので、もしかしたら千佐子も使っていたかもしれない。

 男性は、加齢で射精や勃起が起きなくなっても、女性の体に触れたがる人が多いそうだ。「いい年をして!」「キモイ!」と怒らず、「ええよ」と笑って応じてくれる千佐子は、シニア男性にとっては菩薩のような存在だったのだろう。

完璧な殺害のルーティン

 殺意などおくびにも出さず、明るく楽しい愛の生活を演出する千佐子。しかし、その殺害方法は冷酷そのものだ。青酸化合物をカプセルに詰め、サプリだと称して飲ませる。

 胃に入った青酸化合物は、胃酸と反応して青酸ガスを発生、このガスが肺に達して全身の臓器細胞が低酸素になって壊死する。

 手を汚さず、血も見ずに確実に命を仕留める。胃に到達するまでの時間差が千佐子のアリバイとなり、事件性が疑われることはなかった。

 被害男性の中には、千佐子との生活を「人生で今がいちばん幸せだ」と語っていた人もいた。そんな男性たちの命をためらいなく奪うなんて、いったいどんな陰惨な人生を送ってきた女なのか。

 …と思いきや、青春時代の千佐子には、そんな毒婦の影はまったくなかったのだ。

#2へつづく:千佐子18歳、最初の挫折「女に学歴はいらない」】

【参考文献・映像】

・「筧千佐子 60回の告白 ルポ・連続青酸不審死事件」(安倍龍太郎/2018年/朝日新聞出版)
・「全告白 後妻業の女: 「近畿連続青酸死事件」筧千佐子が語ったこと」(小野一光/2018年/小学館)
・「脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体」(中野信子/2014年/幻冬舎新書)
・「サイコパス」(中野信子/2016年/文春新書)
・「ザ!世界仰天ニュース 連続殺人犯・筧千佐子…夫・交際相手を次々毒殺!カメラ前で嘘並べる」(日本テレビ/2023年8月29日放送)
・「後妻業の女」(大竹しのぶ主演・鶴橋康夫監督/2016年/東宝)
・「関西連続青酸殺人事件 筧千佐子死刑囚が泣きながら語った出生の秘密」(日刊ゲンダイDIGITAL/2022年3月13日配信)
・「「後妻業」で高齢男性を次々と籠絡、心の隙間に忍び込む毒婦の手口」(ダイヤモンドオンライン/2018年7月27日配信)
・「筧千佐子被告、死刑確定 被害者に「幸せ」といわしめた骨抜きテクと秀才少女時代」(週刊女性PRIME/2021年7月7日配信)

神田つばき
記事一覧
女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


【動物&飼い主ほっこり漫画】第96回「野菜くず求むメェ-」
【連載第96回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【女偏の漢字探し】「敵」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
永野芽郁らは完全否定。もし浮気相手が不倫を認めなかったら? 弁護士が教える「一番必要な証拠」とは
 4月24日発売号の「週刊文春」で報じられた女優の永野芽郁(25)と俳優の田中圭(40)の不倫疑惑。2人が自宅で逢瀬を重...
ジョブズもニーチェも散歩好き 64歳プロ童貞が「毎日同じルート」を歩くワケ
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
スマホ時代の大正解! GLOW付録“ミッフィー”のポシェットがマジで40代にちょうどいい
 GLOW 2025年6月号増刊の付録はかわいくて機能的すぎる「miffy[ミッフィー]カード&コインケース付きマルチポ...
人格否定されてる?「ダメ出しがつらい」と感じる心理。落ち込む前にこう対処して!
「仕事でダメ出しされちゃって、もう疲れた…」と悩んでいませんか? 上司や先輩からダメ出しされるたびに「つらい」と落ち込ん...
2025-05-09 06:00 ライフスタイル
【11万いいね】ちいかわ作者の“ストレス発散法”に反響。お風呂での行動に「真似しよう」「やってみます!」
 『ちいかわ』の作者として知られているイラストレーター・ナガノ先生。  5月6日に公式Xアカウント(@ngntrt...
にゃんウェイでスーパーモデル発見! ふかふか“たまたま”の存在感にキュン♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
あなたはどっち? GW“地獄と天国”体験談。夫の不倫バレ VS 整形で大変身
 長い人では「11連休!」なんて人もいた今年のGW。あなたはどんな思い出ができたでしょうか? 周囲の人たちに、GWの地獄...
おばさん、「ストロング系」缶チューハイを初体験。悪い予感は的中…若者世代に人気でも中年は敵わない
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
義母の「毎晩してる?」にゾ~ッ! 非常識LINEに震撼…母の日なんてしなくていいよね?
 愛する男性の母親が非常識な人だったら、日常が地獄と化するかもしれません。今回は非常識な義母をご紹介! LINEでもその...
仕事に興味がない…増加中の「静かな退職」って何? 若手社員のスピード離職を防ぐコツ
「仕事には熱を持って取り組むべし!」アラフォー世代以降はこのように思っている人が多いですよね。その一方で、Z世代の若者は...
母の日に「花鉢」はいかが? 定番カーネーション&アジサイ鉢が“長持ちする”管理のコツ【開運花師おすすめ】
 母の日といえばカーネーション。ですが、ここ数年のトレンドは、ズバリ「お得を感じる商品」。切り花に比べて日持ちがする「花...
「一緒にいると疲れる人」の正体。距離を置くべき6つの特長、当てはまったら改善を!
「誰とも深い関係になれない」「付き合いが長くなると相手に距離を置かれる」と悩んでいる人は、一度自分の性格や言動を振り返っ...
それ、ミドルエイジ・クライシスじゃない? 40代の焦りや不安を乗り越える5つの方法
「40代、もう若くもないし体力もなくなってきたし、何をしても楽しく感じられない…」「毎日ルーティーンのような退屈な日々を...
並んだ猫の“たまたま”がキュートすぎる♡ シッポが上がった瞬間をパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...