「M-1」2位! バッテリィズ・エースの愛され力。“アホ”が殺伐とした現代に必要とされるワケ

小政りょう ライター
更新日:2024-12-25 06:00
投稿日:2024-12-25 06:00

アホは癒しを与え、殺伐とした世の中を救う

 最近のM-1は、複雑な構成や伏線回収、ち密な言葉遊びを駆使した漫才が評価されがちで、令和ロマンのような大会を分析しつくしたコンビが優勝し、いわば漫才がスポーツのように競技化している現状があります。

 バッテリィズの漫才は技巧的な漫才というよりは、エースさんのキャラとアホさで笑わせる、老若男女誰にでもわかりやすい面白さがあります。

 審査員のオードリー若林さんも「小難しい漫才が増えてくる時代の中で、ワクワクするバカが現れたなと。日本を明るくしてくれそう」と評価。アンタッチャブルの柴田さんも「こんなクリティカルなアホは初めて見た」と絶賛していました。どこかヘキサゴンの羞恥心メンバーを思わせる部分もあるので、もし審査員の中に島田紳助さんがいたのなら、優勝を勝ち取っていたかも…と余計な想像をしてしまいます。

 2021年に優勝した錦鯉もそうですが、明るいバカは周りの人を笑顔にする効果があり、漫才のネタ以上に演者の人柄も愛される二重の効果を生みます。人柄が愛されるということは、これから東京のバラエティの平場で活躍していくにあたって大きな強みになっていくでしょう。

エースのボケに学ぶ、大切なこと

 バッテリィズのエースさんのアホと錦鯉のまさのりさんのアホが違うのは、若さ以上にそのピュアさ。現代人が忘れかけていた大事なことに気づかせてくれる要素です。

「(ソクラテスを)呼んでこい、楽しませたるわ! 俺が」「生きるのに意味なんていらんねん」そんな言葉に泣かされたという哲学を学ぶXユーザーの投稿もありました。「もう誰も死なんといて」「悩みなんて寝たらしまいやから」「(親孝行より)生きとるだけでええねん」

 M-1のネタ中に叫ばれたエースさんの発言は、日めくりカレンダーにしたいくらい、聞いたものの心の中に刻まれてしまうほどの“くるもの”があります(錦鯉の意味のないバカバカしさの極みも味があって大好きです)。

 指摘・反論されたら素直に謝り、偉人の名言以上にいいことを吐き捨てるように言って「もうええわ」で漫才を終える潔さも、気持ちがいい。また、アホ全開のエースさんを包み込む、寺家さんの父親のような優しさあふれるやりとりにも胸が熱くなりました。

俳優としても開花するか?

 一昨年のさや香、昨年のヤーレンズなど、優勝せずとも爪痕を残しテレビ出演が増えたコンビは数多くいますが、今年はバッテリィズが彼らに続くでしょう。

 個人的に、エースさんは存在だけで華があるので、今後は役者としても成功しそうな予感がします。その名の通り、2025年のエースとしてバッテリィズの活躍を期待します。

小政りょう
記事一覧
ライター
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


道端ジェシカ、田中聖…薬物絡みの逮捕はどのくらい家族に影響する?
 合成麻薬MDMA所持の疑いで警視庁に逮捕されたモデルの道端ジェシカ(38)について、東京地検は5日、処分保留で釈放。ジ...
朝ドラ「らんまん」ウラの見どころ!榎木孝明は男主人公の大先輩
 昨日(4月4日放送)、あんなに優しかった天狗のディーン様。「ワシ、生まれてこんほうがよかったとじゃと」といじける万太郎...
桧山珠美 2023-04-05 17:26 エンタメ
おディーン様「らんまん」“神速”降臨! 天狗だけど龍馬役だものねぇ
 初回で分家のおじさん軍団に「生まれてこんほうがよかった」呼ばわりされ、すっかりイジケモードのチビ万太郎(森優理斗)。母...
桧山珠美 2023-04-04 16:00 エンタメ
「らんまん」初回のツボ~神木くんと万太郎が“坊”で繋がった
 NHK朝ドラ「らんまん」が4月3日、スタートしました。朝ドラといえば、ヒロインが誰かというのが話題になりますが、今回の...
桧山珠美 2023-04-03 15:50 エンタメ
男闘呼組が「金スマ」であの疑惑に言及、疑ってごめんなさい
 BBCの件で世界から好奇の目で見られている、かどうかはわかりませんが、ジャニーズ事務所がなにかと話題です。  先...
「NHK語学講座」は高橋文哉からふなっしーまでわかってる!
 春になると新しいことに挑戦したくなります。たとえば、語学。私など、毎年書店に並ぶNHKEテレの語学テキストを手に取り、...
キンプリ脱退組と残留組に待遇格差? 一大“閉店セール”にもファン辟易
 King & Prince(以下、キンプリ)から平野紫耀(26)、岸優太(27)、神宮寺勇太(25)が脱退する5月22...
こじらぶ 2023-03-25 06:00 エンタメ
大谷翔平の結婚相手に日本人はなぜそこまで関心を寄せるのか
 米マイアミで決勝が行われた第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、侍ジャパンが3大会ぶり3度目の優勝を果...
竜星涼「スタンドUPスタート」敗因と中年期・反町隆史の宿命
 冬ドラマのなかで、ひそかに期待していたものの、残念な結果に終わってしまいそうなのが、「スタンドUPスタート」(フジテレ...
武田真一アナ、岩田明子氏も参戦「元NHK」強みと重用される人の特徴
 この春も、NHK出身者が民放番組の“顔”になりそうだ。2月末で同局を退職した武田真一アナウンサー(55)は4月スタート...
求む、大谷翔平専用カメラ!栗山監督の隣で見切れるイケメンは誰?
 WBC2023、盛り上がっていますね~。猫も杓子も侍ジャパン、侍ジャパンと大騒ぎ。中国戦、韓国戦、チェコ戦と開幕から3...
高身長・SixTONESジェシーが明かしたジャニーさんの言葉に納得!
 King & Princeの冠番組「King & Princeる。」(日本テレビ系)の4月以降継続が決まりました。大好...
NHKからキー局まで若手の退社続々 アナウンサーを目指す学生の価値観
 テレビ局の若手アナウンサーの転職が珍しくなくなった。すでにテレビ東京の森香澄アナ(27)、日本テレビの篠原光アナ(28...
沢田研二は元祖ビジュ系! 芸能史に残る“不倫ベスト5”入りも
 コンビニのおにぎりとカップみそ汁ばかり食べておきながら言うのもなんですが、「ていねいな暮らし」に憧れます。  特...
キンプリ永瀬廉が宝の持ち腐れ…橋本環奈が「夕暮れに」ヒロインなら?
 広瀬すず(24)主演、King & Prince・永瀬廉(24)共演のドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」が苦戦している。初...
こじらぶ 2023-02-25 12:06 エンタメ
渡部建はサイン会開催まで復活 この先は宮崎謙介氏が手本?
 昨年2月放送の「白黒アンジャッシュ」(チバテレ)に出演して以来、復帰1年を迎えたアンジャッシュの渡部建(50)。現在は...