「性的合意」を描く舞台に主演俳優が思うこと。傷に蓋をしても「消える」わけじゃない【内田慈インタビュー】

望月ふみ
更新日:2025-01-14 06:00
投稿日:2025-01-14 06:00

 2024年、ドラマ『お別れホスピタル』や『Re:リベンジ-欲望の果てに-』などで深い印象を残した俳優の内田慈さん。現在は年末から公開中の映画『ありきたりな言葉じゃなくて』に加え、先日から1月期ドラマ『それでも俺は、妻としたい』がスタートし、主演舞台『Yes Means Yes』の公演も始まりました。

 生きていくなかで遭遇する「違和感」を掘り下げていきたいという内田さん。『Yes Means Yes』は、性的合意を軸にさまざまな問題に切り込む作品です。挑戦的ともいえる舞台に挑む内田さんが、自身の体験を交えて語ってくれました。

【関連記事】作家・鈴木涼美氏と考える 現代女性の不倫リスク「不倫って気づいたら巻き込まれているもの」

「男だから、女だから」に覚える違和感と向き合う

――内田さんは、社会的なメッセージや挑戦的な姿勢を持つ作品や役柄にも多く出演しています。

 私自身が興味を持っているからだと思います。子どもの頃から「男だから」「女だから」といった話になると、とても違和感がありました。

 また、通ってた小学校の隣に知的障害者通所更生施設があり、身体的特徴含め様々な人と日々身近に接する中で、例えばクラスメイトの発言に違和感を抱いてはモヤモヤしてました。振り返って考えてみると、そうした生活の中での「違和感」を掘り下げる場として、小劇場から俳優業をスタートしたのだと思います。

――というのは。

 小劇場には、ほかの分野では突っ込めなかったり言えないことも言える文化があります。だから惹かれたのかなと。小劇場での活動に限っていない今も、「違和感」と向き合える要素がどれだけあるかということが、私にとっては作品を作るときに必要。そして、紐解いていけばいくほど、他者が他者であることを知ることに繋がっています。

――他者が他者であることを知る。

 そのうえで、どう認めていくかが大切。寄り添いながら、誰かだけが無理をすることなしに、どうやって共存していくことができるのか? 現在取り組んでいる『Yes Means Yes』も、「性的合意」という四文字熟語が目に入るとなんだかゴツく感じてしまいますが、やっぱり「他者を知り、寄り添い合う」ことを考えていくことなんだな、それに尽きるのだなと日々感じています。

望月ふみ
記事一覧
70年代生まれのライター(ときどき撮影)。映画やドラマ、タレント本などのエンタメ関連記事を執筆。現在はインタビューが中心で、月に20本ほど取材。ねこ検定上級、2級愛玩動物飼養管理士取得と愛猫家街道をばく進中。

X

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


無意識が怖っ。同性から嫉妬されやすい女性の特徴5つと賢い対策法
 女性の中には、「なぜか同性から嫌われる」という人がいます。相手に何かしたわけでもないのに、初対面から嫌な態度を取られた...
【ユニクロ】開店前に行列500人!? タマタカ店限定ロンハーマンとのコラボTシャツ、初日“惨敗”ルポ
 ユニクロ(UNIQLO)は3月20日、「玉川高島屋S.C」(東京都世田谷区)南館4階に世田谷エリア最大級の大型店「ユニ...
酒飲みは要注意! 厄介客の情報は共有される…。恐るべし、スナックママ達の深夜集会
「本当は内緒にしてって言われてるんだけど…」から始まる会話、女性ならほぼ100%したことありますね。もちろん同じ会話がス...
女の子ママが心底めんどくさい!と思う5つの瞬間。子の性別によって親の悩みも変わります
 子どもの性別によって親の悩みも変わるもの。とくに女の子をもつママは、ママ友や同性という親子関係の中で「めんどくさい」と...
にゃんたま島に春が来た♡ 桃の花の“玉座”に降臨する「たまたま」様
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ドン引きした卒業式での非常識エピ5選。赤ちゃんが終始ギャン泣きで…感動シーンが台無しに
 卒業式は門出。本来なら感動シーンですが、非常識な人の言動によってぶち壊された卒業式もあるようです。いったいなにが起きた...
「マーガレット」はズボラ初心者でも簡単! 元気な花を見ると不思議な力が…認知症の母もお世話になった
 合格祝いと卒業祝い、加えてお彼岸と、お花の需要が爆上がりシーズンは仕入れ価格も爆上がりw。身体もお金も忙しいお花屋の3...
デキる系おじ様vsキャリア系女子、我が街のポンコツ商店会にも今どきな人間模様が…!
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
「カリカリしちゃダメよぅ」と絡まれた中年男に再び遭遇。男性の“更年期障害”ってどんな感じ?
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
いい加減、夫に卒業してほしいこと5選。妻たちの切実な叫びを聞いてくれ
 幼稚園や学校を卒業する我が子の姿に、頼もしさや達成感、そしてちょっと寂しさを感じている女性は多いのではないでしょうか。...
女性が営業職を続けるのは無理かもしれない…。がっつりフルで働いて痛感する“令和の働き方”とは?
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  今回は仕事の話。...
気を遣いすぎる人の特徴と疲れたときの対処法4つ。自分の心のケアと雑さも大事に
 必要以上に周りの人の顔色をうかがってしまったり、気を遣いすぎて八方美人になってしまったりして、ぐったりしてしまうという...
素敵な女性はいい香りがする!【調香師が解説】フェロモンジャッジで分かる“パワーアロマ”は何?
 年度末を迎えるこの時期は、生活をリセットして新たな気持ちでスタートしている人も多いのではないでしょうか。  今回...
高い所にマーキングするニャン! “たまたま”の二足歩行にドキッ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...