お受験界隈が中居正広に激怒!? ACジャパンの「教育虐待」CMに一部で批判が殺到している理由

小政りょう ライター
更新日:2025-02-13 16:22
投稿日:2025-01-24 06:00

受験=悪? 偏見を助長する演出になっていないか

 このCMにおいて最後の「子どもの心を尊重していますか?」という点が一番の訴求ポイントでしょう。
 
 ですが、暗い勉強部屋、妙に怖い母親、そして子どもの精神的幸福度が低いのが「勉強をしているせい」だと言わんばかりのデータの出し方は、確かに受験に向かって頑張っている子どもや親を惑わしかねません。

 確かに実際に事件になっている通り、行き過ぎた教育虐待は問題ではあるものの、親子ともども一番神経質になっている時に流すものかという意見には一理あるのではないでしょうか。

「子どもは子どもらしくあれ」の幻想と学歴賞賛の矛盾

 このようなテーマのCMが作られること、そして受験戦争が加熱することへの批判がある一方で、昨今の日本のメディアは高学歴をもてはやす風潮が以前にもまして強くなっていると感じます。

 知識系のクイズ番組では出演者の名前の横に大学名が入ることもザラ、お笑い界でも高学歴の学生芸人が幅をきかせている。学歴をもてはやし、格差を煽っていたメディアが「子どもは子どもらしくあれ」「子どもは身体を動かしたいもの」と主張するのは、まるで手のひら返しのよう。

 そんな昔ながらの認識の元で「志望校に入りたい」という前向きな希望を持って、勉強をしてきた子を立ち止まらせるようなCMを流してしまうことには筆者も疑問を感じます。

 散々学歴社会を見せつけておきながら、CMでは相反するテーマが流れる矛盾。様々な意見や風潮があって然るべき世の中ではありますが、合格という目標に向かって真っすぐ進んでいる時期に流されると、親たちがクレームを入れるほど怒ってしまうのは当然でしょう。問題提起も逆効果です。

 とにかく放映時期が受験時期と奇しくも重なりバッドタイミングでした。「これで受験をすることに迷いを感じた子どもが落ちたら、この状況を作った中居さんのせい。引退したとしても一生許さない」という意見も中学受験界隈のグループ内で見られました。

2024年から放送されていたようだが

 ただ、批判の声があるものの、実際リアルタイムでそのCMを見た人は少なく、オープンチャットやSNSの問題提起からリンクを辿ってCM動画を見た人が多い模様です。

 クレームや反響で放映の自粛をしたのか、筆者自身も今のところ1回しか目にしていません。実際の中学受験生や、その親御さんはテレビ、特にフジテレビを見ていない人が多いからのようです。テレビを見る時間があれば勉強をしているか、最近はTverなどで番組を選んで視聴している人も多いですからね。

 ちなみに、このCMは制作された2024年からたびたび放映されていたそうですが、リアルタイムで目にした中学受験関係者の中でも、今回の騒動で初めて見たという声がほとんどでした。そのことは救いではありますが、本来訴求すべき人々に届いていないのはCMとして失敗なのかもしれません。

小政りょう
記事一覧
ライター
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


バカにしてる、よね? 部下になめられる理由と上司が改めたい悪癖3つ
 キャリアアップはうれしいけれど、部下ができると「なんだかなめられている気がする…上司としての威厳がないのかな?」と新し...
いつだって癒しを提供…成長が楽しみな“たまたま”を愛でる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
そのあえぎ声、どこまでが本当ですか?
 素朴な疑問、と頭に付ければ何を聞いても許されるとは思っていないのだが、失礼を承知で、どうしても聞きたいことがある。 ...
落ち込んだらシーラカンスのことを考えるといいかもしれない
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
お正月にしめ縄って必要かぃ?「しめ縄」と「しめ縄飾り」の違いも解説
 今年もあと2週間を切りました。年末だというのにあまりの暖冬、ここ数日は少しは寒くなったものの更年期のワタクシは、本職の...
「女は見た目がすべて」の思い出に悶々…容姿いじりのトラウマの克服法
「女は見た目がすべて」なんて言葉が昔からあるように、男性よりも女性の方が外見を厳しく見られる傾向です。そして残酷なことに...
人生初のぎっくり腰なぜ発症? 40女の激痛を救った意外なコスメは…
 齢46、人生初のぎっくり腰になりました。腰が砕け、身動きがまったく取れない状態に陥るって本当にあるんですね。  デス...
韓国は「ひとり飯」ほぼタブー! おひとり様=みじめな人認定で苦労した
 ちまたでは『孤独のグルメ』(テレビ東京系)や『ひねくれ女のボッチ飯』(テレビ東京系)、『めんつゆひとり飯』(BS松竹東...
2023-12-19 06:00 ライフスタイル
自然の石を積んだ石垣でできた江戸時代から続く「棚田の村」
 見知らぬ土地で、山道を越えて現れた見事な石垣に圧倒される。ここまで積み上げる労力を想像すると途方に暮れるし、これが自然...
“たまたま”とももうすぐお別れ…去勢前のおやつシーンを激写
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
#2 友達の結婚、喜べないのはなぜ? 勝ち組を裏切りだと感じてしまう記憶
【#1のあらすじ】  ミュージシャンの沙恵は高円寺に暮らし、芸人の卵や音楽仲間と毎日飲み歩いている。高円寺はうんざ...
#3 結婚で“輪”から去る友人への寂しさ。心地よい独身生活で失ったもの
【#2のあらすじ】  ミュージシャンの沙恵は高円寺に暮らし、毎晩芸人の卵や音楽仲間と飲み歩いている。高円寺はうんざ...
妙齢って何歳? 三省堂 現代新国語辞典のいまっぽい凡例に注目
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
母親が施設から帰ってくる夢…認知症の予兆を「ボケたな」で済ませない
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
#1 夢を諦めきれない32歳の女。高円寺で燻る芸人らと酒に溺れる日々
 この街は、まるでネバーランドだ。  いつもの店に行くと、いつもの仲間がいて、相変わらずのバカな話で盛り上がれる。...
「最終的には学歴!」すごいですねー(棒)高学歴義母のマウントLINE3選
 義母が高学歴だとなんとなく上品でスマートな人柄が連想されますが、現実では学歴の高さと人格は比例しないようです。実際には...
2025-02-20 17:59 ライフスタイル