昭和女子が憧れた「マイ・フェア・レディ」と「プリティ・ウーマン」
【vol.25】
前回はひろしによる「現役エロスの救世主」(生足魅惑のマーメイドみたいですね)についてお話しました。そこで今回は「服従させるヒギンズ教授」についてお話したいと思います。
ヒギンズ教授といえばいわずと知れたオードリー・ヘップバーンの映画「マイ・フェア・レディ」に出てくる音声学者。原作はジョージ・バーナード・ショーの戯曲「ピグマリオン」です。
下世話な喋り方をする花売り娘を上流階級の娘に仕立て上げ舞踏会でデビューできるかどうかという賭けに乗って、女性をそっくり丸ごと“作り変える”のです。
現代版でいえば「プリティ・ウーマン」のエドワード・ルイス。パートナーの同伴がマストな会食が立て込んでいるのに恋人に愛想をつかされたエドワードは、$3,000でビビアンと6日間のパートナー契約を結びます。エドワードはビビアンを着飾らせ、ありとあらゆる贅沢を教えます。
そんな“男性に富と教養を授けられる系シンデレラストーリー”に昭和の女子は頬を緩ませ「ほぅ」とため息をついていたものです。
貧乏がデフォルトというスタンスの女性が、男性から与えられるものを享受しつつ、一方で、自らの先入観に凝り固まっている男性側も、いちいち彼女の天真爛漫さやまっすぐな哲学に啓蒙され、最後は恋に落ちるwin-winなラブストーリー。
シンデレララブストーリーの普遍的フェーズ
カネや教育に糸目はつけず与えられる対象となる女性は街角の花売り娘だったり、路上の春売り娘だったり、貧乏で育ちは悪くとも確固たる自己を持ち、丁々発止にやり合えるシンデレラ。そのシンデレラによるラブストーリーの女性側フェーズは揃いも揃って一緒です。
圧倒されて言う通りにするフェーズ
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慣れてきて丁々発止にぶつかり合うフェーズ
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作られた自分と本来の自分に悩むフェーズ
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男性が啓蒙されて「俺はあの子に教えられた……!」と瞠目して改心するフェーズ
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お互い歩み寄って、めでたしめでたし
この欺瞞! この自己中心感! このひとりエッチ感!
たぶん平成を生きてきた女は、立身出世の#自分で稼いで自分で使う、#生き馬の目を抜く、という美学を持っていたし、わたしもそう思っていました。
平成の働く女たちに芽生えた「自腹の美学」
しかしそういう女こそ、ヒギンズ教授やエドワードにコロッといくのです。昭和に生まれ、平成を生きる働く女たちはシンデレラストーリーの夢物語で育ちますが、いつか迎えにきてくれる王子様がいないことを17歳くらいで気づいてしまい、学歴を手に入れ、仕事を手に入れます。そして、大好きじゃない男に奢ってもらって一緒に飲むくらいなら自分のお金で美味しいものを食べに行くという確固たる自負と鎧のような強さを身につけます。
それか徹底的に男に頼る人生を選択して、寄生先の男性を見つけることに全精力を傾け、イチ抜けする女性。ただその勝率は5%以下だし、そんなふうに寄生させてくれるような男は女性にプラスアルファアルファアルファを求めますから、顔だけで高年収の男性を見つけることができるくらいの容姿を持つ女性は、とっくの昔に女優になっているか銀座で生きています。
プラスαがあってもひたすら過重債務状態
そのプラスアルファがなくてもチヤホヤされていられるのは平成まで、この令和になるといくら若くて綺麗でもよく分からない肩書き女や、聞いたこともない会社の社長の名刺を差し出す女はハイスペックな男性から敬遠される傾向があります。
できればビジネスの潮流を見極め、話についてこられる女性、ハイスペックな男性のプラスアルファのメリットになるような仕事についている女性、かわいいのにギャップ荒稼ぎしている女性……現在はかわいいのに〇〇なギャップ、というよりもかわいい、かつ、成功している女性でないと男性と同じ俎上にも載れないのです。
成功していて男性と同じくらい稼いでいていろんな会社が組みたいと思っている会社に勤めている女性、お金がついてきていなくともSNSで話題の会社を起こした女性などなど。女性に求められるものは令和の昨今、かわいい、美人、スタイルがいいだけでなくひたすら過重債務状態です。
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