【最新回の朝ドラおむすび】蒲田医師(中村アン)は大門未知子をリスペクト?“パワハラ”の不評が気になる展開

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-02-15 06:00
投稿日:2025-02-15 06:00

第19週「母親って何なん?」#95

 結(橋本環奈)は、勝手に退院しようとする低栄養の患者・麻利絵(桧山ありす)の病室に行き、このまま退院したら一生後悔すると伝える。

 それに対し、麻利絵は、後悔ならとっくにしていると言う。子どもの頃、母の料理を無理して食べたから痩せにくくなったと反論する。

【こちらもどうぞ】《おむすびにモヤっと》知らぬは夫ばかり?愛子(麻生久美子)の“プチ金満ぶり”が気になる

【本日のモヤっと】


「おいしいもん食べたら悲しいこと忘れられるやろ」

 ※※以下、ネタバレあります※※

「このまま退院したら、一生後悔するよ」と結。点滴したまま「家に帰る」と言っていた麻利絵が、結のお言葉に改心するという謎パターン。

「でも親ってそういうもんやと思うんよ。どれだけウザいって思われても、親って自分のことより自分の子どものことが何より大切になんよ」と母親代表きどりでいっぱしのことを言いますが、典型的な“おまいう”です。

 結が娘の花のために何かしましたっけ? そういうシーンを見た記憶がないので、ちっとも説得力がありません。

「可愛い服着て、可愛いメイクして。友達と遊びに行ったり、プリ(クラ)撮ったり。好きなことやろうよ。そのためにはしっかりご飯食べて、必要な栄養量とって健康になろう。それから好きなことを目いっぱい楽しもうよ、ね」。あとはギャルマインドの押し売りでした。

 それでも麻利絵の心に響いたようで、1900キロカロリーの食事を完食するまでになったのだからオールOKです。

 というわけで、今週もスーパー管理栄養士・結、大活躍の巻でした。

「拍手しながら「たいしたもんや~米田さぁ~ん」と松崎医師(永野宗典)が言えば、「今回もグッジョブ」と言語聴覚士の杉沢(犬飼貴丈)。無邪気な男性陣に対して、薬剤師の篠宮(辻凪子)は横顔しか映らなかったので、表情がもひとつわからないのですが、薄い反応でした。わかるよ、篠宮さん。善良な視聴者の大半は篠宮派だから安心して、と思わず声を掛けてしまいました。結のせいでNSTの絆に綻びが…などとならないことを祈ります。

 結の成功譚ばかりではリアリティが無くなるとでも思ったのか、糖尿病患者の八重ちゃん(徳田尚美)は元気になって退院したと思ったら、緊急入院で舞い戻ってくるパターンでした。膵臓の病変に気づかなかったのは自分にも責任があると落ち込む結。食べる事が大好きな結が食欲が無くなるほど、反省しているようです。

ちびるほど説教したシーンは描かれず…

 ほとんど出番がなくすっかり忘れていましたが、外科医・蒲田(中村アン)が執刀し、八重ちゃんは助かりました。

「手術は?」と聞く結に「私がやったんだ。成功したに決まってるだろ」と。「よかった」と結が言うと、「よくない。ちゃんと検査してれば、こうなる前に膵臓の病変に気付けたはず。だから見逃した担当医と看護師、ちびるほど説教しといた。米田も食事療法担当しててなんにも気づかなかったの?」と責めるように言います。

 大門未知子リスペクトのような蒲田医師、どうも好きになれません。案の定、ネットでは「パワハラ」呼ばわりされている模様。「ちびるほど説教した」って、その罵倒っぷり、見たかったです。

 八重ちゃんの旦那さんもいたくご立腹で、「なんでこんなことになったんですか? あなた言いましたよね。しっかり食事療法すれば元気でいられるって。それが、こんな大手術になって。助かったからよかったようなものの、一歩間違えたら妻は死んでたんです」と結に怒りをぶつけます。管理栄養士にそこまで言わんでも…。

 そして、自宅。翔也に「思い上がっとったんだと思う」と結。自己反省する結、初めて見たような気がします。

 ところが、ここで、花が自分で握ったおむすびを持ってきます。「食べり。おいしいもん食べたら悲しいこと忘れられるやろ」と。そして、親子3人、仲睦まじくおむすびをパクつくわけですが、「いやいや、きょうのことは忘れたらアカンやろ」と思いました。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


【おむすびにモヤっと】サザエさん風に「歩、スマホを買う」「結、節約に目覚める」「翔也、仕事する」の3本
 歩(仲里依紗)に、聖人(北村有起哉)がまた携帯電話を買ったのか問うと、歩はスマートホンだと答える。新しい出始めの商品に...
桧山珠美 2025-01-08 17:30 エンタメ
「べらぼう」初回、セクシー女優3人が裸死体姿に…AV業界人どう見た?「裸に意味を語らせる照明が必要」
 5日にスタートした横浜流星(28)主演のNHK大河「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」(NH...
【募集】冬ドラマ何見る?『べらぼう』『家政夫のミタゾノ』『日本一の最低男』など期待&ガッカリ教えて!
 コクハクでは2025年冬ドラマを対象としたアンケートを実施します。あなたが現時点で「楽しみにしている」ドラマ、そして「...
【おむすびにモヤっと】「プロフェッショナル」で壮大なネタバレ感!14週は元スケ番vs元レディースの様相
 結(橋本環奈)が糸島から神戸に帰ってきて愛子(麻生久美子)や歩(仲里依紗)が迎える。だが、一緒に永吉(松平健)と佳代(...
桧山珠美 2025-01-31 16:57 エンタメ
【2024年人気記事】伊藤健太郎は破局して正解! “小栗旬軍団”加入でバーター出演の機会にも恵まれる
 あけましておめでとうございます。2024年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記...
【2024年人気記事】悪評だらけの天才、平手友梨奈が遅刻やドタキャンを繰り返す本当の理由
 あけましておめでとうございます。2024年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記...
堺屋大地 2025-01-04 06:00 エンタメ
【2024年人気記事】松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
 あけましておめでとうございます。2024年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記...
帽子田 2025-01-02 06:00 エンタメ
【2024年人気記事】なぜ塚地武雅、藤井隆はドラマ出演が続く? 不人気芸人との決定的な違い
 2024年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初...
【2024年人気記事】『新宿野戦病院』小池栄子の英語、海外はどう思う?「下手というより…」
 2024年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初...
映画「聖☆おにいさん」全力でおバカを演じる松ケン&染谷将太たち。評価は真っ二つだけど…
「M-1グランプリ2024」の準優勝バッテリィズに元気をいただきました。エースでしたっけ。やはり“おバカ”は最強です。優...
ラウール、高橋文哉…2024年「国宝級に検索されたイケメン大賞」TOP5の最も検索された日は…?
 2024年もあとわずか。今回は今年1年を通じて活躍したイケメンが、いかに世間の人々の注目を集めたかを調べてみたいと思い...
こじらぶ 2024-12-28 06:00 エンタメ
【最新回のおむすびにモヤっと】「豚肉と玉ねぎのニンニク炒め」はサラダの後に作ったほうが…
 スナック「ひみこ」で、佳代(宮崎美子)と話す結(橋本環奈)。永吉(松平健)とただいるだけで幸せだと言う佳代の言葉を聞い...
桧山珠美 2024-12-27 19:30 エンタメ
「M-1」令和ロマンが主人公なら、エバースは裏主人公。泥臭い秀才コンビを応援したくなるのが人のサガだ
 今年も最高の盛り上がりを見せた「M-1グランプリ」(ABC・テレビ朝日系)。令和ロマンが史上初の2連覇を果たしたものの...
帽子田 2024-12-27 06:00 エンタメ
面白かった「秋ドラマ」を調査!『海に眠るダイヤモンド』を抜いた1位は?期待外れに“あの作品”がまた…
 続々とクライマックスを迎えている2024年秋ドラマ。今期は見ごたえたっぷりの作品が揃い、ドラマに夢中になっていた人も多...
【今日のおむすびにモヤっと】別人と化したナベベ(緒形直人)、ギャルに救われた話は見せ場になったはず
 翔也(佐野勇斗)と別れた結(橋本環奈)は、合コンの場で栄養士になる意味がないのではと言われ、帰り道に考え込んでしまう。...
桧山珠美 2024-12-25 16:30 エンタメ
「M-1」2位! バッテリィズ・エースの愛され力。“アホ”が殺伐とした現代に必要とされるワケ
 もはや年末の風物詩となった『M-1グランプリ』(ABC・テレビ朝日系/以下M-1)が今年も12月22日に開催され、チャ...