10年前に買った水着で区民プールへ出陣! 更年期障害と闘うおばさんの体力作り

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-02-26 06:00
投稿日:2025-02-26 06:00

「ここであきらめたら、試合終了だよ」

 奇跡的に着用できた10年前に購入した水着で、いざ、プールへ。確かに芋洗い状態が嘘のように広々としたプール。室内温水プールに加えて、夏の屋外と幼児用タイプのプール、観客席も用意されている。さすが東京はプールまで田舎とは違った設備が整うのか。

 まずは手始めにとフリースペースでウォーキング。当たり前だが地上よりも負荷がかかるので、ゆっくりゆっくり…。横向き、後ろ向き、ジャンプをしながらといくつか歩くパターンを用意した。時にはすっと歩き、水中の気持ち良さを確かめる。何日かウォーキングをこなしたあと、ビート板を使ってついに泳ぎ始めた。ここまでは普通にクリア。そして得意の平泳ぎを開始すると、50mをギリギリ泳げるというヒーハー状態…。情けない。昔取った杵柄なんぞ、木っ端微塵。ここにいるのは脂肪増量、筋肉量減のおばさんだ。

「ここであきらめたら、試合終了だよ」

 突然、脳内にこだまする、マンガ『SLAM DUNK』の安西先生のセリフ。私は万年運動不足の自分が泳げそうなプログラムを考えた。

・柔軟体操、ストレッチ
・水中ウォーキング500m
・ビート板泳400m
・平泳ぎ400m

 どれも続けて泳ぐのではなく、50mを泳いだら休憩なり、ウォーキングなりに切り替える。これなら1時間半以内に収めることもできるので、水中の冷えも心配がない。よし、泳ぐ! 気分だけはマーメイド!

筋肉痛の回復には2日かかる

 そんなこんなのほぼ思いつきで始まったような、おばさんスイミング。週2回と決めて、時間を作って通うようにしたら、楽しいことばかり。このことを他人に話すとたいがいは反応が悪い。

「あ~、俺、海パンになるまでのハードルが高いんだよな~」

 おいおい。女を抱くためなら秒で脱ぐだろ。確かに着替えるのは面倒かもしれないが、昔から泳いでいたおかげで私は抵抗がない。泳いだ後の夕飯はすこぶるおいしいし、気絶したようによく眠ることができる。欠点といえば筋肉痛だろうか。ネットには「水中なので筋肉痛もない」と書いてあったけれど、とんでもない。回復までに2日はかかるほど痛みと疲労感に襲われるので、始めようと思っている人は覚悟をしてほしい。

 楽しい。これは続けよう。そう思って今年の元旦も泳いだ。今年の目標は年末までにクロール泳と背泳ぎの感覚を取り戻すことだ。そんなふうに意気込んでいたが、中年の運動には思わぬ落とし穴が待っていた。この続きは第20話にて。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


8年前に“ゆるFIRE”した男 新NISAより確実なリターンは自分への投資
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
母親は夢を諦めなきゃダメですか?夫を「支えてあげて」の言葉が悔しい
 かつて漫画家を目指していた夫婦の絵里奈と拓郎。双子の子供ができたことを機に、夢を諦め堅気の生活をしている。  夜...
浮気より酷い夫の裏切り SNSには私の知らない「もう1人の彼」がいた
 かつて漫画家を目指していた夫婦の絵里奈と拓郎。双子の子供ができたことを機に、夢を諦め堅気の生活を暮らしている。 ...
妊娠妻の電話に出ない…いまだ夢見る漫画家志望の夫とワンオペ妻の軋轢
 初夏の印象が霞むほどの汗ばむ陽気の午前中。  林絵里奈は井の頭公園の池のほとりのベンチに腰を掛け、在りし日のデー...
「晩ごはん何?」焼肉、すき焼き却下でもやし炒め! 家族間攻防LINE3戦
 仕事で疲れて帰宅した時、一番楽しみなのは晩ごはんですよね! とはいえ、主婦としては毎日の晩ごはんのメニューを考えるのも...
【ファミマ】コンビニ衣類正直レビュー、ショーパンゆる履きはOKだけど
 ファミリーマートとファセッタズム(FACETASM)のデザイナー落合宏理氏が共同開発した衣類「コンビニエンスウェア」。...
【独自】すいかばか初の“夕方専用すいか”、気になる出来栄えは?
 すいか生産量全国47位、ごくごくレアな山梨県ですいか作りに情熱を注ぐ「寿風土(こどぶきふうど)ファーム」代表の小林栄一...
インフルエンサー退職願望のアラフォー、“発信=スキル”なる大きな勘違い
 普通の会社員を続けることに不安を感じる女性が増えています。周囲に自分の才能を活かして稼いでいるがいると、「自分も何か発...
職場やママ友“ケチな人”との付き合い方5選 1円単位で文句ブーブーは勘弁
「この飲み会、私はあまり飲んでないから、あなたたちが多めに払ってくれるよね?」「ここの料理、5,000円もするの? え〜...
背徳感がたまらにゃい♡ ガラステーブルの下から見る涼し気“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
夏場の観葉植物、様子が変!間違った育て方、救済法、最新便利グッズまで
 危険な暑さが続く夏。猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は古い平屋の建屋のため、エアコンをフル活用しても、毎日が熱中...
きっと、夫も気付いていた…40女が長年の“腐れ縁”にケリをつける日
 実は筆者には、結婚前から長く続いている“腐れ縁”があります。その相手を仮にP氏とします。
くねくねコロンは信頼の証♡ 無防備な“たまたま”をガン見しちゃおう
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
目的地は決めてない 見知らぬ町を深夜にふらつく解放感
 終電が終わって、深夜の踏切はしばしの休憩。また朝から大忙しだからね。  こちらは明日は予定もないから、見知らぬ町...
【難解女ことば】「婆」の部首はさんずいではない。正解は?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
母と夫がまさか…流行りの性格診断で腰抜かす『16Personalities』が怖い
 SNSのプロフィールに診断結果のアルファベットを入れたり、それぞれの性格をコンテンツにまとめたりと、若者を中心に流行し...
2024-07-06 06:00 ライフスタイル