ゲッ…まだ「mixi」見てるの? 独身女2人の即レスに“意地悪な幸せ”を感じる上から目線の主婦

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-03-08 06:00
投稿日:2025-03-08 06:00

【西大井の女 #1・秋山 麻梨乃44歳】

 mixiでの呼びかけに、応答があったのは2人だけだった。

 当然だろう。そこはもう誰もいない公園なのだ。あの頃は行けば必ず誰かがいて、楽しくみんなで遊ぶことができていたのに。

 当時常駐していたコミュニティの最終書き込みは2011年3月。誰も見ていないだろうという安心感と、誰かが見ているかもという期待感で、懐かしさを壁打ちした。

『夫の勤務先の都合で、西大井に越して来たよ

 うちらが毎日通っていた建物は、なんと、保育園になってた! 

 20年も経っているのに、セブンとか公園とかそのまま(笑) 

 久しぶりに会いたいよね~』

思いがけない「mixi」への返信。その相手は…

 返信なんて期待していなかった。

 しかし、家事が一段落した2時間後にもう一度覗くと、なんと2件のイイネとコメントが来ていたのだった。

[1]SMILE♡すみれ:おひさしぶり! 会いたいね。

[2]midorikko:懐かしい~

 コメントをくれたのは、SMILE♡すみれこと山崎すみれとmidorikkoこと神宮司翠だった。

 すみれは6歳下の高校を卒業したばかりの子で、翠は4歳年下の早稲田卒のフリーターだった。――当時は。

 その2人は在籍していたクラスでも仲のいい方だったから、余計に嬉しかった。

 私が書き込んだのは、WYC東京12期生あつまれ! というコミュニティだ。

 WYCとは、大手事務所が主催するお笑いの養成所。今は移転してしまっているが、西大井にかつて存在していた。

 私は、今でこそ一般企業のサラリーマンの元に嫁いだ3児の子を持つ専業主婦だけど、かつては芸人を目指していたことがある。

 WYC卒業後は一度もプロの舞台に立たずに2年ほどで世界から離れた。しかし、それは私の大切な青春の1ページだ。

 パソコン画面を眺めながら、20年前の賑わいを未来から俯瞰する。暖色のページに癒され、心がほんわかするのは、きっと今が幸せな証拠だろう。

絵に描いたような幸福な家庭

「ただいまー!」

 17時半。夫が帰ってくると、子ども部屋から兄妹たちが飛び出してきた。

「おかえりー、パパ! ゲームしよう」

「ちょっとその前に手を洗わせてくれよ」

 夫の会社が近いと、帰宅が早いところがいい。子煩悩でゲーム好きのパパは、子どもたちとも相思相愛だ。我が家は幸福という概念を実写化したと言ってもいいほど家庭円満だと自負する。

 夕食前に桃鉄の3年決戦をしたいというので、テレビでダラダラ垂れ流していたお笑い番組を彼らのために消した。

 番組には、同期生が何人か出ていた。もうコメントどころかmixiさえ見ていないだろう、そんな雲の上の存在なのだけれど。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「最終的には学歴!」すごいですねー(棒)高学歴義母のマウントLINE3選
 義母が高学歴だとなんとなく上品でスマートな人柄が連想されますが、現実では学歴の高さと人格は比例しないようです。実際には...
2025-02-20 17:59 ライフスタイル
黄金色の葉と朱赤の柿の景色 心まで秋色に染まるような日
 秋は色鮮やかな季節。まるで黄金色のイチョウの葉、鮮やかな朱赤の柿。  心まで秋色に染まるような日だった。 ...
同僚のボールペン“カチカチ”に敏感反応!繊細すぎる人へのLINEどう返す
 世の中には、人一倍豊かな観察力や感受性を持つ人も存在します。そうした人は「優しい」「気遣いができる」などの長所をたくさ...
ムーミン好き必見!ESSEの時短レシピ&開運グッズ付録など使いこなす術
 今回ご紹介する雑誌付録は、「ムーミントラベルポーチ3点セット」と「別冊付録:保存版!ESSEのBest時短ベストおかず...
おひとり様全盛時代でも? 老後こそ“コミュ力”がものを言う
 ぶっちゃけ、私はあまり人づきあいが得意なほうではありません。一人のほうが気を遣わなくていいし、楽だから。  これから...
年末大掃除、夫が戦力にならない…今年こそやる気を出してもらう方法4つ
 年末の大仕事といえば、家の大掃除ですよね。やはり、一年の汚れを綺麗にしてから、新しい一年を迎えたいものです。でも、何か...
「何で後ろから撮るにゃ?」“たまたま”の質問攻めにきゅん♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「見慣れる」ってこわい 散らかった部屋を眺めて考えたこと
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
日用品は見た目も大事よね♡ 好みの香りで良質な睡眠時間を
 コクハクリーダーズ1期生の「あんず」と申します。今回、ワクワクしながら新商品を使う機会に恵まれました。  日常生活で...
2023-12-16 17:32 ライフスタイル
コスパ最強!シクラメン超長生き育成術、この冬は美しい姿をキープさせる
 暖冬にも程がある2023年師走ですね。  カントリー風情たっぷりの立地にある猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花...
温泉旅行を計画中! でも浴衣の下は何が正解? オトナ女性の3つの選択肢
 彼氏や女友達と楽しむ温泉旅行。最近では旅館に添えつけの浴衣が用意されているところも多いですよね。  でも浴衣姿で...
ふわっと何かが降り立った? 神々の宿る土地の光は優しい
 夜道を歩いていたら、ふわっと何かが降り立った気がした。  振り返ると黄色い稲穂が揺れていた。でも全然怖くはなかっ...
尾道の町並みより絶景也! 恥ずかしがり屋のクロ“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
悪臭漂う子どもの地獄汚部屋にもう限界!私がブチ切れた“ゴミ袋事件”の夜
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
ぼっちの年越し最高!大人の女性だからこそ許される“心の洗濯”プラン5選
 お正月といえば、恋人と過ごしたり、実家に帰省したり、賑やかに過ごす人が多いですよね。でも実は今、ぼっちでも一人のお正月...
『姑息(こそく)』本来の意味は“ずるい”ではなく、一時しのぎ
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...