東京都も国もおばさんたちをガン無視か? 更年期割引、お願いいたします

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-03-12 06:00
投稿日:2025-03-12 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第21話は「更年期割引、お願いいたします」。

卵子凍結補助とはなんぞや

 今回は中年の主張であり、愚痴である。この手の話が苦手…という方はスルーしてください。

 女性の更年期障害の発症時期は、大まかに50歳前後と言われている(日本産科婦人科学会公式HPより)。病気であるとは認めてもらえない、ほぼ病人みたいな更年期症状を抱えて、それでもふつうの生活を要求されるという惨状ぶり。それなのに最近の行政は件の更年期世代=おばさんたちに対して、あまりにも冷たくないだろうか? というのがひとつ目の違和感。

 ただそれに対するかのように、現代の20~30代には行政の対応は手厚い。先日、30代男性の友人が、2人目の育児休暇を取っているとLINEで知らせてきた。

「東京都、対応の手厚さがハンパないです。保育料なし! ほとんど出費していないです(笑)。(小池)百合子様様です(爆笑)!!」

 何がおかしいのかと思いながら、当たり障りのない返信をする。

「お子さんの誕生、おめでとうございます。百合子が都知事のうちに制度を使いまくるしかないよー」

【こちらもどうぞ】まさか痴漢に遭うとは…更年期真っ最中のおばさんの身に降りかかった「性的な危険」

2016年に注目された「保育園落ちた日本死ね」

 保育料無償化などと聞くと、私の友人たちが保育園探しに奔走していたことは何だったのだろうと疑問が浮かぶ。新語・流行語大賞にトップ10入りした「保育園落ちた日本死ね」は、そんなに昔のことではない。東京都の卵子凍結の補助金も始まっているが、そんな選択肢は私たちが20~30代だった頃には与えられることはなかった。卵子凍結にかかる金額は採卵に約15~50万円、卵子凍結に卵子1個あたり1年間で約1~5万円の保存料がかかる。一般庶民には現実的な金額ではない。女性は元気な精子を持つ男性を探すよりほかは、子どもを産む術はなかったのだ。そんな状況を危惧したのか、今では東京都が卵子と精子が受精するための『TOKYOふたりSTORY』という、婚活プロジェクトまで運営している。ただこちらも参加資格はほぼ30代まで。おばさん、退散。

 しかし、この制度、該当女性は積極的に使ったほうがいい。若いスタッフに身体のことを相談されると、必ず「後悔しないように、選択肢は増やしたほうがいい」と勧めている。後悔した先輩からのアドバイスだ。

高校の授業料を払うと言った覚えはない

 東京都だけではなく、国もおばさんたちを冷たくあしらう。最近、巷を騒がせているのが、高校授業料無償化である(3月3日時点)。例えば貧困など家庭の事情によって、国が補助金を出すというのなら、まだ頷く。でもせめて我が子の高校、大学くらいは両親が支払うべきではないか。そうでなければ、私たちの親世代も含めた一般家庭がこれまで支払ってきた授業料は一体なんだったのかと、失望をするしかない。

 そして母国への失望のとどめは、高額医療費制度の負担上限額の引き上げ案だろう。必要な患者さんたちに高額費用を理由に治療をあきらめろというのも、50歳前後でまさにこれから高額医療費のお世話になっていく世代が、今後利用できなくなるのは明らかにおかしい。結局、今回は案が承認されなかったけれど、またいつ再案となるかヒヤヒヤする。

 行政のおばさんたちガン無視問題、こうして改めて並べてみるとストレスの原因にしか読めなくなってきた。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


中目黒「ダコー」はまだ大混雑? 代官山「無印良品」新店はオサレな店員さんだらけだった!【秋の東京散歩】
 8月のオープン時には話題を呼び、大行列をなしていた中目黒のパン屋「ダコー(dacō)」。あれから2カ月が経ち、やっぱり...
下世話な仕事がバレた? 夫や息子の「意外な反応」で主婦が気づいたこと
 大崎の高層マンションに暮らす華は、テレビ局に勤める夫・大輔と二人の子供に囲まれ悠々自適な専業主婦生活を送っている。毎日...
地味な女に負けた? 夢を諦めた“こたつライター”の「プライド」が砕かれるまで
 大崎の高層マンションに暮らす華は、テレビ局に勤める夫・大輔と二人の子供に囲まれ悠々自適な専業主婦生活を送っている。毎日...
私の「仕事」は夫に内緒。専業主婦が下世話なゴシップにのめり込むワケ
 夫を仕事に、ふたりの息子を小学校に送り出してからが、自分の時間だ。  長時間かけて丁寧に淹れたブルーマウンテンを...
プロ作家・村上龍先生をリスペクト。64歳のプロ童貞が語る「自己啓発本を好きなこれだけの理由」
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
「#男児ママ」トレンド入り 小学校低学年の息子が大浴場で誰かに触れて問題になったら?【弁護士解説】
 9月末、X(旧ツイッター)で「男児ママ」がトレンド入り。これは男児を銭湯や温泉、または女子トイレに連れてくる男児の母親...
え、これだけで? 爆速で人と仲良くなれる「超簡単」なテクニック
 みなさんは距離を縮めたい人にはどんな風に接していますか? 私はミリ単位でジリジリ近づくことが多いのですが、スナックでの...
ボサ髪にギョッ! 100均ヘアグッズで「ちゃんとした女」に変身できる?
 写真や動画を見返した時、自分の髪がボサボサすぎてギョッとしました。「いい加減ヘアセットくらいしようよ」と出かける前の自...
最近の小学校で教わる「ふわふわ言葉」って何? 大人こそ大切にしたい心地よい言葉6選
 皆さんは「ふわふわ言葉」を知っていますか? 最近の小学校の教育現場で教材になっている、子供だけでなく大人こそ改めて大切...
プー太郎君の「ほよよ顔」に癒される~♡ 猫カフェで至福のひと時
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「リンドウ(竜胆)は仏花」と決めつけるのはもったいない! “花が咲くリンドウ”を楽しんで
 日中は冷房、夜は毛布をかけて寝る不思議な時期です。これを秋と呼んでいいのかは迷いますが、季節の移ろいを感じる今日この頃...
「あー家が狭い!」4つのイライラ解消法。プチ優雅な暮らしを諦めない
 家が狭いとイライラしてストレスが溜まりますよね。物にあふれた部屋を見るだけで、どっと疲れが押し寄せてきます…。でも、ち...
癒されないわけがない!40女が選ぶ秋の夜長に読みたい珠玉の猫漫画3選
 10月に入り一気に過ごしやすくなりました。読書の秋! と言いたいところですが、毎日の仕事や家事で心身ともにお疲れ気味…...
「出産した女友達に会いたくない…」素直に喜べない自分は性格悪い?
 出産した友達から「会おうよ」「ご飯行かない?」という誘い。それに対して「うわー会いたくないな…」と思っちゃう自分は性格...
「圧の強い友達」の上手なかわし方5カ条。隙ありゃマウントとか、付き合い切れません!
 語気が強い、上から目線、隙ありゃマウント取ってくる…。こんな感じで圧が強い友達、1人くらいはいませんか? たまに高圧的...
仲良くオヤツをむしゃむしゃ♡ 奇跡の“たまたま”3連単を愛でる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...