寒暖差疲労の原因と対処法【医療従事者監修】季節の変わり目はイベントてんこ盛りで休めない…どうする?

コクハク編集部
更新日:2025-03-13 06:00
投稿日:2025-03-13 06:00

3. 寒暖差疲労を放置するとどうなる?

 寒暖差疲労は、季節の変わり目などの気候が不安定な時期に起きやすいものです。だからといって、「気候が安定したら症状が治まるはず」「毎年のことだから大丈夫」と放置してはいけません。寒暖差疲労を放置した場合のリスクを2つ紹介します。

3-1. 気候が安定してもからだの不調に悩まされる

 寒暖差疲労を放置すると、気候が安定してからも慢性的な自律神経失調症に悩まされるリスクがあります。気候が安定しても肩こりやだるさ、からだの冷えや睡眠不足などが起きるかもしれません。

 自律神経が乱れると、体調が崩れるだけではなく肌荒れや肌の乾燥などの肌トラブルにもつながる恐れがあります。肌は、夏にはエアコンや紫外線、冬には乾燥など外部からの刺激を受けバリア機能が弱まりやすい部位です。そうした肌トラブルを避けるためにも、寒暖差疲労による自律神経の乱れに対処してください。

3-2. 更年期症状の重症化

 女性の場合、寒暖差疲労の放置が原因で更年期症状が重症化するリスクがあります。更年期とは閉経前後の5年間、計10年間を意味しています。日本人の場合、45~55歳が平均的な更年期です。

 更年期になると、イライラや多汗、ホットフラッシュやめまい、食欲不振や不眠などの症状に悩まされます。これらの症状は、自律神経の乱れが原因のひとつであるといわれています。

 更年期は女性ホルモンの分泌量が減少することによって、自律神経のバランスが崩れやすくなる時期です。寒暖差疲労などの原因で自律神経のバランスが崩れているまま更年期を迎えると、さらに自律神経が乱れて更年期症状が重症化する恐れがあります。

4. 寒暖差疲労への対処法

 放置すると、単なる疲労感や倦怠感だけではなく、肌トラブルや更年期症状の重症化にもつながりかねない寒暖差疲労。ここからは寒暖差疲労への対処法を3つ紹介します。

4-1. 服装の工夫

 寒暖差が激しい時期は、気温の変化に対応できるように重ね着をするのがおすすめです。寒さを感じたときにすぐ羽織れるよう、持ち運びやすいカーディガンなどを活用してください。

 夏が近づいてくると、エアコンによる寒さを感じるときもあるので、その場合もカーディガンを活用してくださいね。

 屋外だけではなく、屋内にいる場合も気温の変化に対応できるようにしてください。重ね着が難しい場合は、エアコンの風向きに合わせて座る位置を調整するのもおすすめですよ。

4-2. 生活習慣の見直し

 自律神経のバランスを保つためには、生活習慣の見直しが大切です。季節の変わり目は忙しさから生活習慣が乱れる人が多いですが、規則正しい生活を心がけてください。

 気分転換にウォーキングやジョギングを行うなど、適度な運動習慣をつけることも自律神経のバランスを整えるために効果的ですよ。

 食事の栄養バランスを見直すことも、自律神経のバランスを整える方法のひとつ。栄養バランスの整った食事を摂り、からだの免疫力を高めましょう。

 とくに、赤身の魚やヒレ肉に多く含まれるビタミンB群、ナッツや緑黄色野菜に多く含まれるマグネシウムを意識して摂取してください。

4-3. 漢方薬の服用

 忙しくて生活習慣の改善が難しい場合は、飲むだけで効果が期待できる漢方薬の服用もおすすめです。自律神経の乱れには「血流をよくして自律神経の乱れを整える」「消化・吸収機能を改善してからだを元気にする」「ホルモンバランスを整える」といった漢方薬が選ばれます。

<寒暖差疲労対策におすすめの漢方薬>

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):血液の流れを改善することで、のぼせや手足の冷え、頭痛や肩こりなどの症状を改善します。

・加味逍遙散(かみしょうようさん):自律神経のバランスを整えることで、不安やイライラ、ホットフラッシュなどの症状を改善します。

 スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい人は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

5. 寒暖差疲労を感じたら、すぐに対処を!

「なるほどー…寒暖差疲労はそのときだけではなく、気候が安定する時期や、いずれ訪れる更年期にも影響を及ぼす可能性があるんですね…」

 えりのボスの話を聞き、チヒロさんはすっかり納得したようです。

「季節の変わり目に疲れるのは普通のことだと思っていましたが、そうじゃないんですね。私自身だけではなく、夫や子どもの様子にも気を配るようにします!」

「季節の変わり目は環境の変化も多く、ストレスを感じて体調を崩す人も多いわ。そういう場合も、決して無理はせずに自分の体調を第一に過ごしてね」

 えりのボスの優しい言葉に、チヒロさんは大きく頷きます。その顔には、もう先ほどまでの疲労の色はありませんでした。

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていくチヒロさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


噂の美容法「タオルで顔拭きはNG」って嘘でしょ!? 医師3人の回答は/専門家監修【美容のウソ・ホント】
 SNSやYouTubeにさまざまな情報が溢れている昨今。美容について発信するアカウントも多く存在し、なかには同じテーマ...
洋服でお金を浪費する人の特徴4つと回避策。通販サイトは“鬼門”かも?
 お金は稼いでいても、なかなか貯金が貯まらない人に多い特徴が「洋服でお金を浪費している」ケースです。なかには、洋服はたく...
お風呂から出てもすぐに足先が冷えるのはなぜ?【専門家監修】温活で全身ポカポカにする秘訣とコツ
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
20代が実例チェック! アラフォー女性がハマる“逆パンダ”アイメイクの罠
 アラフォー世代のみなさ~ん。若々しさを意識して華やかなメイクをしたつもりなのに、気づけば目元が浮き上がり、さながら“逆...
夫がハゲてきた…プライドも頭皮も傷つけない伝え方と妻にできること3つ
 夫婦の間でも、デリケートで伝えにくいのが「夫のハゲ問題」です。ハゲてきたと感じても正しい伝え方をしない場合、夫を傷つけ...
ダイエット成功の秘訣は「楽痩せ」【薬剤師監修】過去の失敗は“宝”。本当に好相性な超簡単ダイエットは?
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
「なんだかキマらない…」【美容家厳選】“メイク下手”40代こそ使いたい! 優秀プチプラ3選
 40代以上の自称「メイク下手」女性の多くが悩む「昔と同じようにメイクをしても、なんだかキマらない」問題。きちんとメイク...
「膣トレ」きちんと知りたい!インナーボール、膣ハイフ、膣ヒアルロン酸はwinwinな治療法!?
 この連載では美容医療“若葉マーク”の方々に向けて、テッパンの不安や疑問を分かりやすく“一発回答”。美容外科医の増田えり...
20代女子が再現する「昭和のリバイバルメイク」の落とし穴。黒のリキッドアイライナーは“鬼門”です
 リバイバルメイクは懐かしさと同時に、どこか新しさを感じさせる魅力がありますよね。しかし40代が昭和メイクをそのまま再現...
ブラの跡が消えないんだけど…! 年齢のせいだと諦める前に知っておきたい原因と対策
 着替えようとした時、背中や肩にブラの跡がしっかりついて消えないことはありませんか? 放っておくとかぶれて赤くなったり、...
40手前で老眼疑惑!?【薬剤師監修】目がかすむ…酷使による「アイフレイル」ってなに?
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
40代の「顔色悪い」問題を救う2アイテム! C塗りとW塗りをお試しあれ♡
 新年は、メイクにも変化を取り入れたくなるもの! 大人世代が簡単に、かつ瞬時に垢抜けを狙うなら、ベースメイクにおけるカラ...
眼瞼下垂を治したい! 美容外科界隈で「世紀の大発明」と呼ばれる手術とは?【目元の美容専門医師が解説】
 この連載では美容医療“若葉マーク”の方々に向けて、テッパンの不安や疑問を分かりやすく“一発回答”。今回は『眼瞼下垂につ...
白髪以上に40代のパサパサ髪は老けて見える説…【薬剤師監修】更年期の“老け髪”対策
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
ウン十年生きてもメイクが苦手! おてもやん、人食いおばば…勇気が出る!? メイク失敗あるある6選
 メイクが上手にできなくて、「自信がない」「もうノーメイクでいいや」と諦めていませんか? でも実は、メイク上手に見える女...
前髪がぁぁぁぁ!伸ばしかけのイライラを軽減、40代に似合うアレンジ術
 前髪を伸ばしたい時、伸ばしかけの期間の煩わしさに耐えられず、結局前髪を切ってしまった経験のある人は多いはず。でも、この...