いい男はシェアする時代? 呉服屋・イケメン若旦那の色仕掛け営業「僕が見立てたんですが…」#1

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2025-04-04 06:00
投稿日:2025-04-04 06:00

彼の特別になりたい

「いつ見ても惚れぼれする男っぷりでした。和装や歴史の知識も深く、近づくとほんのりいい香りが漂ってくるんです。香水はNGでしょうから、シャンプーや整髪剤の香りと白檀などの匂い袋がミックスした感じでしょうか。

 着物を着る時、私は下着の上に肌襦袢と裾よけをつけるのですが、航平さんが担当になってからは気恥ずかしいので、キャミソールとペチコートも加えました(笑)。もちろん、大勢の女性の着付けをしている彼ですから、見慣れた光景でしょうが、私ばかりがのぼせ上っている感じで…。で、ますます『彼の特別な存在になりたい』という気持ちが強まっていったんです」

 静香さんには2歳上の夫がおり「家族愛」はあるものの、ときめきはなかった。そこに現れたのが航平さんというアイドル的な存在だった。

 ある日、航平さんから思わぬお誘いがあったという。

熱海の展示会へ

「残念ながら、プライベートなお誘いではありません。VIPなお客様だけ招待される着物の展示会のお誘いです。ただ、会場は熱海の老舗旅館の大広間。思わず『航平さんと熱海で会えるなんて…』と、夢見心地になってしまいました」

 熱海での着物の展示会には、静香さんの祖母や母も誘われたという。しかし、茶道教室の生徒が増えていたこともあり、静香さんが代表で行くこととなった。

「旅館の大広間に通されて驚きました。航平さんを始め、呉服店のスタッフはすべて男性なんです。しかも、皆長身でイケメンの部類に入るメンズが10名ほど。対してVIPの女性客は私を含めて6名。彼らが懇切丁寧に接客し、着物の着付けをしてくれるんです。周りのご婦人たちは始終ご機嫌で美男スタッフと着物を選んでいましたね。

 大広間には目隠し用のパーテーションがあり、着付けの際は男性スタッフとプライベートな空間で2人きり。姿こそ見えませんが、衣擦れの音とともに、甘い会話が聞こえてくるんです。

――お似合いですよ。この色留袖は着る人を選びます。さすが奥さまですね。

――まあ、お上手ね。

――本当です。帯は華やかな金か銀がいいですね。どちらがお好きですか?

――両方試してみたいわ。

思いがけない誘い

 女性たちの弾んだ声に、私の胸も高鳴りました。着物の好みはあらかじめ伝えていたのですが、航平さんがそっと耳うちしてきたんです。

――実は、静香さんにぜひ着てほしい訪問着があるんです。僕が見立てたんですが…。 

――本当ですか? ぜひ、試着させてください。

――ありがとうございます。まだ誰にも紹介していない新作で、隣の個室にあるのですが、移動しませんか?

――えっ、個室…ですか? 構いませんが…。

(うそ、航平さんと2人きりになれるチャンス)

――では、参りましょう。

 航平さんに促された私は、嬉しさと緊張に包まれたまま、別室へと歩を進めました」

 続きは次回。

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

ラブ 新着一覧


LINEでの別れ話はアリ?ナシ? 既読無視に隠された“やる側・された側”それぞれの本心は…
 最近では、別れ話をLINEで済ませるカップルが増えている様子。中には相手に既読無視され、モヤモヤが残る中途半端な別れに...
恋バナ調査隊 2024-10-13 06:00 ラブ
彼氏が朝昼夕既読スルーでも「おけ!」の一言で生き返るよ☆温度差つよつよLINE3選
 気になる彼とのLINE、憧れの存在とのLINEは自然とテンションがあがるもの。でも、相手から冷たく感じる返信がきたら、...
恋バナ調査隊 2024-10-12 06:00 ラブ
「アプリの出会いってスゲエ!」バリキャリ女性に求婚した50男の楽観と根拠なき自信
「冷酷と激情のあいだvol.216〜女性編〜」では、交際半年の恋人・タカユキさん(50歳・仮名)からプロポーズをされたも...
並木まき 2024-10-12 06:00 ラブ
更年期突入を控え「稼げるときに稼いでおきたい」。45歳女性“再婚への戸惑い”は特別なのか
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2024-10-12 06:00 ラブ
「子供は誰の子だ?」うたた寝の悲劇、妊娠中の不倫がまさかの夫バレ 35歳英会話講師の不倫欲 #2
 由奈さん(仮名・35歳フリーランス英会話講師/既婚・子供アリ)は、異業種交流会で出会った宗太郎さん(仮名・35歳不動産...
蒼井凜花 2024-11-08 15:05 ラブ
年の差婚ならではの浮気のリスク。一生お姫様扱いされる? ないない!
「年上のイケおじと結婚したい♡」「10個下の若い男を捕まえて結婚に漕ぎ着けてやる!」このように、上下関係なく「年の差婚」...
恋バナ調査隊 2024-10-11 06:00 ラブ
増殖中の「男装コンカフェ(男装のコンセプトカフェ)」は、想像以上に居心地の良い空間だった!
 近頃、メンズコンカフェならぬ「男装コンカフェ」が増殖中なのをご存知でしょうか。東京だけでもすでに20店舗以上。  一...
内藤みか 2024-10-10 06:00 ラブ
“リアル恋愛話”5選。年下男子が40代女性からの誘いに「即OK」するデート先とは?
 ひと昔前の時代と比べると、最近はドラマや漫画のストーリーで年下男子との恋愛が描かれることが増えました。でも、オトナにな...
「社交辞令でも嬉しい…」“全国TOP5”の女風セラピストとDMで、甘いやり取りを楽しむ
 パートナーなしの50歳独女ライター、mirae.(みれ)です。48歳で意を決して女風を体験しセックスの気持ちよさを知っ...
mirae.(みれ) 2024-11-20 16:32 ラブ
俺の美学は高級店を「最低価格」で楽しむこと。自称“ひねくれ者”の57歳男の主張
「冷酷と激情のあいだvol.215〜女性編〜」では、高級志向なのにセコい振る舞いをする恋人トシオさん(57歳・仮名)との...
並木まき 2024-10-05 06:00 ラブ
直売所でも飲食店でも「最安価」しか選ばない。恋人のドケチっぷりに結婚前提交際をためらう47歳女
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2024-10-05 06:00 ラブ
不倫は悪なのか。作家・鈴木涼美氏が提起する日本の結婚制度の限界…それでもなぜ結婚する?
『不倫論――この生きづらい世界で愛について考えるために』(平凡社)を刊行した作家・鈴木涼美氏とともに、現代女性における「...
ミクニシオリ 2024-10-06 17:31 ラブ
作家・鈴木涼美氏と考える 現代女性の不倫リスク「不倫って気づいたら巻き込まれているもの」
 朝スマホを開くと「またか」と思うくらい、1年に何度も芸能人の不倫ニュースを見かける。いくら有名人とはいえ、特に当人と面...
ミクニシオリ 2024-10-05 06:00 ラブ
“冬季五輪夫婦”上村愛子&皆川賢太郎離婚の衝撃。「円満離婚」するカップルは揉めてないのは本当か?
 フリースタイルスキー・モーグルで五輪5大会連続入賞の上村愛子(44)が2日、自身のインスタグラムを更新。アルペンスキー...
一児の母で現在妊娠中。「それでも抱かれたい…」35歳英会話講師の不倫欲 #1
 世の中の不倫などもはや珍しくもないが、それが「一児の母であり、現在妊娠中」の場合、人としていかがだろう? 今回、取材に...
蒼井凜花 2024-11-08 15:05 ラブ
【アラフィフ婚活】60男より58歳男がいいけど…オンラインデートでドン引き、老舗相談所にも疑心暗鬼
 アラフィフでの婚活は60代以上からの申し込みが多く、同世代とはなかなかマッチングしないとも言われています。  結婚相...
内藤みか 2024-10-03 06:00 ラブ