オラオラ系ひろしの秘策
【vol.26】
前回は令和のシンデレラストーリーについてお話をしました。大正3年初上演の「ピグマリオン」、昭和39年の「マイ・フェア・レディ」、平成2年の「プリティ・ウーマン」ときて令和の小泉進次郎でフィニッシュ……という頭空っぽにして服従系として身を委ねてみれば、意外に心地よくて鎧を脱いじゃうっていうドラゴンボールな話でした(CHA-LA HEAD-CHA-LA)。
「太宰の短編『恥』から学ぶリスクヘッジ」、そして「ギリシア哲学のアンドロギュノス的ジェロントフィリア」を土台に、81歳ひろしの現役エロス帝王学について、
1. 救世主として爆誕
2. 服従させるヒギンズ教授
という2項目に渡ってお話したのですが、今回は大団円(?)、
3. 徹底した裏番長についてお話したいと思います。
この項目は「太宰治の『恥』から学ぶリスクヘッジ」が大きく関わってくるので、ぜひその回を読んでいただいてから、と思っているのですが……どちらにせよ意味不明なコラムなので、さきにソレやアレを読んでもいただいたら理解が俄然! 深まる! なんて保証できるような強い気持ちとかなくて……てへ、ごめんなさい。
アバタはアバタな鵜飼スピリット
前回お話した、自分好みに女を染めたいどころか、創り上げたいと望むカスタマイズ女子キボンヌ系男子は、地下組織に棲息しているだけのように見えますが、わたしは男子のほとんどは、自分好みの女を創り上げたいという欲があるものだと思っています。
古くは紫式部(源氏物語)の若紫、ナボコフのロリータ、谷崎潤一郎(痴人の愛)のナオミ、マイ・フェア・レディのイライザ、そしてプリティー・ウーマンのビビアン。
女性の性格はそれぞれ千差万別ですが、男からしたら“俺のファムファタル”という点では一貫しています。自分好みの女に尽くしてもらえるか、はたまた振り回されるかというのは意外にどうでもよく、ただ天上天下唯我独尊ならぬ、天井天下唯我独占、ワレをアガ独占できれば! もう! 取り急ぎ! 不問に付す! 以上! 解散! というくらい落ちぶれること(痴人の愛)もできるのです。
そんなファムファタルを創るコツはただ唯一、そのファムファタルに拘泥しない、ということ。
服従させるのに拘泥しないという緩急の麻薬のようなバランスに信じられないほど、女の方がどんどんハマっていきます。特に自尊心が強く自信に溢れ、大抵のことはなんとかなってきたという女こそ、この81歳のひろしにハマります。
女を使わず生き馬の目を抜く東京で頑張ってやってきた(本当は本人が気づいてないレベルで女を使っているのですが)という人、ありとあらゆる男を見てきた人、逆に男性経験が少ない人ほど、年の差を超えて「この人こそが運命の人かも」と盲目的になってしまうのです。そしてそういう女性を、わたしは彼の傍でたくさん見てきました。
そこで“拘泥しない”ことが重要になってくるのですが、普通は理想の女や運命の男を見つけると盲目的になってしまったり、想像力が豊かになり現実と理想をごっちゃ混ぜにして神格化してしまうことも多く、雁字がらめになって、結局、うまくいかなくなってしまうということが多いように思います。
だから一番好きな人とは結婚できないという逃げ口上がまことしやかに囁かれるのではと思っているのですが、そのカラクリは簡単。
“いちずに一本道 いちずに一ツ事”の相田みつをスピリットの直情型で相手を思えば思うほど、自分の中で「この人しかいない」とまで思い詰めてしまうことが多いのです。
あばたもえくぼ、とはそういうことですね。あばたなのにえくぼに見えてしまう末期症状。しかし、ひろしは違います。彼の女性に対するハードルの低さ、数打ちゃ当たる精神により、鵜飼の鵜のようにファムファタルをそこかしこにはべらせているので、拘泥しないんですね。拘泥する必要がないんです。そして、女性の方が世紀の鵜飼のために服従する心地よさに参ってしまうのですね。
レッツ服従☆実践編!
ハウツー服従としては、「お前、化粧も服装もさいっっあくやなぁ」とねこだまし戦法を使うのですが、俺イズムを発揮して俺好みに創り変えます。
食事の約束をしていて待ち合わせに登場した女性の化粧が最悪と思えば三越の地下のコスメカウンターに連れて行き、すべての化粧を落とさせて、美容部員に化粧をやり直させます。眉毛はもっと太く、口紅はもう少し明るく、アイメイクは濃過ぎず、などと隣で注文をつけ、完成の際には「ええやないか」と笑顔。
そのとき使用したすべての化粧品を購入し、女性に手渡しながら「ほんまにおまえはなんも知らん」と言い、何事もなかったようにレストランへ向かうのです。
もしくは待ち合わせに登場した女性の服装が最悪、という場合。銀座並木通りの路面店に入っていき、服からカバン、靴まで見繕って着替えさせ、なんとそのとき着ていた服は捨てられます。着せ替え人形として存在するリカちゃんでさえ、服はきちんとクローゼットに収納されるのに……!
わたしの場合、そのとき着ていたFREE'S MARTのキリン柄ワンピースと戦闘モード全開9センチヒールの装飾過多なヒール、型押し風のクラッチバックを有無を言わせず捨てられました。そして、TORY BURCHのショーウインドーに飾ってあったシックな形のワンピースと3センチヒール、控えめなバックにフル装備チェンジされました。
最悪なことにスモーカーだったわたしはタバコや避妊のためのピルなどをカバンに入れていたのですが、それをバッチリ見たひろしは、TORY BURCHのハウスマヌカン(大正風)に「捨てといてくれ」とタバコとピルを手渡しておりました。でもこの日を境に、10年近くの喫煙者で喫煙外来に3度通って撃沈した私が、1本も吸っていないのです。服従テクニックすごくないですか。
とにもかくにも、女子のピルを捨てるなんて、このウーマンパワーのハッシュタグ隆盛の現代、完全に#老害死ね、と、絶滅させられるべきような暴挙です。ピルに至っては、女性の権利として強い意義と意識を感じていたわたしなものですから、「え、困ります……ピル……毎日、飲む時間がズレただけで1ヶ月またスタートオーバーになるし」と抗弁したのですよ。
「なんや、おまえ、わしの子供欲しゅうないんか」
えっ……。それとこれとは……話がちがっ……わないか!!
うん、欲しいかも! キャキャ、うん、オッケです。捨てちゃってーなんでも好きに捨てちゃってードンドン捨てちゃってーー! オッケーーーーーーーー!!
そのときわたしは尊重するべき本当の自分とか、守りたい自分とか、人に流されない自分の大切なポリシー、誰にも蹂躙できない確固たる自分っていうものが全然ないというころに気づいてしまったうえに、心地よさみたいなものを感じて、そのままイッタレイッタレというところからの……全然、裏番長、始まらなかったね……。
また、ごめんなさい。
次回(8/30公開予定)こそは、エロ裏番長の後編です(むりやり)!!!
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