「思われニキビ」に浮かれたおばさん、衝撃的な事実を知る。お前…更年期症状の一種だったのか

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-04-23 06:00
投稿日:2025-04-23 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第27話は「大人ニキビは危険サイン」。

ニキビ占いに浮かれる

 鏡に映った自分のフェイスラインに、ポツンと赤いニキビができていた。はるか昔の青春期、皮脂の過剰分泌による青春のニキビで頬を埋め尽くされた経験があるけれど、大人になってからは大きな顔の皮膚に大きなトラブルはない。もとい、小さなシミ、シワ、たるみは成長痕として受け止めている。

 成人以降の大人ニキビの存在もある。これらは生活リズムの乱れ、飲酒、喫煙などが原因として大きく関わってくると聞く。20〜30代にかけて出版社の社員として暴れん坊に働いていた時代を振り返ると、よくぞニキビが出没してこなかったと思う。七不思議だ。そんな私が人生折り返し地点に立った時点で、ニキビに出会うとは……なんだか感慨深いものがあり「ふふん」とニヤニヤしながら、鏡に映るニキビを見つめてしまった。それにニキビといえば俗説的ではあるが“思い思われ、振り振られニキビ”がある。顎は好きな人がいる、額は異性に好意を寄せられているといった、ニキビができるスポットによってできる恋占いみたいなものだ。ちなみにフェイスライン周辺に出没したニキビは「出会い運が上昇する」らしい。私もまだまだいけるじゃない。

【こちらもどうぞ】老眼は関係ないよ? アイドルグループが皆同じ顔に見える現象で決意したこと

吹き出物は更年期症状と知る

 そう浮かれて、ただの吹き出物だとなんの処置もしなかった。放置しておいてもそのうち治るだろうとタカを括っていた。が、ニキビ出没から一ヵ月経過しても全く消える傾向はなく、赤黒く、皮膚の一部に鎮座している。こりゃ、まずいかも。ちょうど別のアレルギー症状で皮膚科への通院があったので、医師に相談をする。

「先生、これ、ニキビですよねえ?」

 おもむろに医師に向かって顎を突き出す。おそらく鼻腔内も鼻毛も丸見えだっただろう。

「この年齢でニキビなんていうのも、なんだか気恥ずかしいなあと思ったんですけど……」

「いや? ニキビは何歳になってもできますよ? 特に小林さんの年齢ですと、ホルモンバランスの崩れがあるから、できやすいですね」

「……? ということは先生、これ、更年期症状の一種ということですか!」

「そうとも言えますね。まずは塗り薬を出しておきましょう」

 出会い運上昇のニキビだと、浮かれポンチだった自分を恥じる。医師に言われてから改めて、検索サイトで更年期ニキビについて調べてみた。そこには「ホルモンバランスの乱れ」「男性ホルモンの増加」「ストレス」「睡眠不足」と、更年期女性であれば一度は目にしたことのあるワードのオンパレード。しかもニキビの出没エリアは、フェイスラインが一般的らしい。なんだ、ニキビ…、おまえは更年期症状の一環だったのか。

ニキビ、増える一方

 その後、処方された塗り薬をマメに塗布したものの、ニキビは一向に治まる気配はなく、吹き出物が次第に固くなっていく。痒みも痛みもなく、そこにあるのは“吹き出物”という、物悲しい存在感だけ。そのうえ、ひとつだったはずのニキビが2〜3個に増えている。もう思い思われどころ、ではない。このままだとフェイスラインはニキビに埋め尽くされてしまうかもしれないと、懸念をして、また皮膚科へ向かう。

「今度は飲み薬も出しましょうね」

 そう医師は優しく言ってくれた。内服薬が効いたのか、ニキビはその後2週間ほどで消えた。ただトータルで2ヵ月以上も治療にかかっているのかと思うと、加齢による回復力の低下が年々進んでいると思い知らされる。ここに他の更年期症状も乗っかってくるのかと思うと、改めてため息をついてしまうが、今回のニキビだけは昔の恋占いを思い起こさせてくれたので、ヨシとしようか。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


ドンキ→薬屋→歩道橋…お願いだから動くな~っ!方向音痴LINEにトホホ
 方向音痴の人に出会ったことはありますか? なかには信じられないような感覚でありえない方向に歩いていく相手に驚いた経験の...
焼肉屋の隣でおにぎりをパクリ! 節約ガチ勢が実践するマル秘独特テク
 少しでも生活を楽にしようと節約に挑戦している人はたくさんいるはず。電気を消す、安い野菜を買うなど、いろいろな方法があり...
話題のトナラーに狙われた! 撃退法は? 同性or異性“標的”の違いは?
 昨今、SNSで炎上しては大論争を巻き起こしている「トナラー」。電車やバス、カフェなどで多くの席が空いているのにわざわざ...
もやし1袋で参加するの!? BBQストレス地雷6選、肉に罪はないけどイラチ
 みんなでワイワイ楽しむイベントといえば、BBQ! ゴールデンウィークや 長期休暇に、友達・会社の同僚などとBBQをする...
お天気の日は念入りに!お手入れ中の“たまたま”紳士をパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
MUJIのフレグランスオイルが優秀 価格は有名高級ブランドの6分の1以下
「無印良品」が好きなくせに知らなかった不覚…。インテリアフレグランスオイルの「ウッディ」、すでに人気の商品ですが、噂に違...
長期休暇でも帰省しない選択…6つのあるある理由、罪悪感を抱く必要なし
 皆さん、長期休暇のときは帰省しますか? 帰省を毎年のイベントとして楽しみにしている人もいれば、「帰省したくない」と悩ん...
母の日の定番アジサイを長持ちさせるには?「伊予獅子てまり」が大注目
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋が位置する神奈川は、有名な温泉場がいくつも点在しているお土地柄。ワタクシが居を構える場も...
【月5万円】収入&スキルUPを目指すシンママは集合!
☆月に5万円、10万円の収入UPをしよう! ☆文章力をUPさせよう! 『コクハク』の読者選抜チームとして、メディ...
2024-04-30 13:20 ライフスタイル
家事大っ嫌い~!40独女のQOL(生活の質)が爆上がりした2大時短家電
 7月よりドラマ「西園寺さんは家事をしない」(TBS系)が放送されるそうですね。 “干物女”を生み出したドラマ「ホタルノ...
40代もやらかす“プチ老害”の落とし穴 全長数十cmの長文LINEで見切れ
 40代にとっては他人事のように感じる「老害」ですが、実は今、40代の人から届く「プチ老害LINE」に困る若者が増えてい...
困り顔がたまらない! オッドアイ“たまたま”君にロックオン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
今更「アイドル」になろう。そして、安倍なつみとCoCoの追憶
「おら、アイドルになる!」  そう叫んで、女の子走りでステージから捌けた瞬間、自分でブッと吹き出してしまう。アイド...
友史上極ネガ、ごめん連呼、Wi-Fiジャック…LINEの異変はSOSサイン?
 毎日ネガティブなニュースが流れる現代では、メンタルがやられてしまう人が少なくありません。  自分は大丈夫でも身近...
早咲きも遅咲きも
 桜の種類によって咲く時期はそれぞれ違うのだという。  ソメイヨシノは蕾が膨らみかけている白州で八ヶ岳を背に満開の...
ほっこり癒し漫画/第72回「爪切りはイヤイヤ」
【連載第72回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...