テレ朝「華丸丼と大吉麺」に感じた新しい可能性…ゲップな出そうな食べ歩き番組の“最終兵器”か?
【桧山珠美 あれもこれも言わせて】
相変わらずテレビは食べてばかり。何かの本に食べることと性行為は同じというようなことが書かれていたが、だとすれば、テレビから下ネタやエロが排除されたことで食べる番組が増加したのではないか。
昨今の食べる番組がいただけないのは同じ場所や同じ店に集中することだ。おそらくADが「鎌倉/ランチ/おいしい店」などと適当にネットでリサーチして選んでいるのだろう。そんなやり方だからどこも同じ。SNSで散々バズった店を何カ月も後にテレビで扱うこともあり、テレビいらね~となる。
■「オモウマい店」の類似品が跋扈している
コロナ禍で飲食店への取材がままならなくなった時に「オモウマい店」のような、スタッフが取材してタレントがそのVTRをスタジオで見る番組も急増した。パイオニアとしての「オモウマい店」には敬意を表するとしても、その後、類似番組が増え続け、もうゲップが出そうだ。
もうひとつ。4月にタイトルが変わったテレビ東京系の「有吉の深掘り大調査」は「孤独のグルメ」に便乗し、グルメマニアにおいしい店を紹介してもらうもので、それを有吉と霜降り明星の粗品らがワイプで見ている。毒舌がウリなのに、この番組ではそれなり。有吉&粗品らしさなし。残念。
ただ、新しく始まった番組の中に新しい可能性を感じたものも。
例えば6日にスタートした「華丸丼と大吉麺」(テレビ朝日系)。博多華丸・大吉があまり知らない街で、ただただ食べたい丼か麺を探すのがコンセプト。
華丸55歳、大吉54歳、そもそも小食。なので、いろんな店を食べ歩きするのではなく、あくまでも最強の丼と麺を探して街ブラする。
初回は箱根の大涌谷だった。猛吹雪で視界不良で最悪のコンディション。大吉が「今日じゃないと駄目かなあ?」とぼやくのが面白かった。
2人は大涌谷名物の黒たまごを1個ずつ食べるのだが、それで「もうお腹いっぱい」と。大丈夫かと心配になった。
店員のおばさんに「あさイチ見てるよ」と声を掛けられると「ありがとうございます」と応対。番組は「『新婚さんいらっしゃい!』の後の放送」と言ったのに何度も「これ『あさイチ』?」と聞いてくるおばさん。そのやりとりが面白い。博多時代は街ロケ番組で名を馳せたコンビらしい。
鶴瓶もびっくりの対応ぶりは頼もしく、街歩きの最終兵器現るか。テレビを見ているおじさんおばさんたちも、あまり食べられなくなったという人が多いはず。
だから店は厳選したい。その気持ち、よくわかる。そして丼だ麺だと言いながらもビールや酒を飲んでしまうところも共感できる。
サンドウィッチマンもいいが華大もいい。大吉の東京目線に華丸が「染まりんしゃったねえ」というお約束もいい。華大がいよいよ得意技を出してきた感じで楽しみ。
(桧山珠美/コラムニスト)
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