『最後から二番目の恋』千明と和平の“名前がない関係性”の意味を、大人になってやっとわかった

森鷹ユキ
更新日:2025-05-19 11:07
投稿日:2025-05-19 06:00

「目の前の人とどう向き合うか」

 かつて20代や30代の頃、異性愛者である私は、男女の関係性の行き着く先は「恋人」か「結婚」だと、なんとなく思い込んでいた。結婚願望は全くなかったのだが、それでも「彼氏」や「恋人」といった“名前”が欲しい気持ちはあった。関係性の深さよりも、名前が先に欲しかったのだ。

 仕事でもプライベートでも、さまざまな人と出会い、語らい、時には深くつながり、傷ついたり傷つけたりしてきた。そして気づけば40代に入った今、ようやく思うのだ。なぜ、あそこまで「名前のある関係」にこだわっていたのだろう、と。

 今は、「目の前の人とどう向き合うか」のほうがずっと大事だと感じている。もちろん、自分を取り巻くすべての人と丁寧に向き合うのは難しい。けれど、「この人、面白いな」「もっと話してみたいな」と感じる相手には、ちゃんと向き合ってみたいと思うようになった。

 その関係がこの先どう変化していくかはわからない。だが、その変化を面白がれるようになったこと。それこそが、年齢を重ねてきたことの、ひとつの贈り物なのかもしれない。

『最後から二番目』の意味


 最後に、私だけではなく多くの人が疑問に思っているかもしれない『最後から二番目の』という言葉の意味に触れておく。

『最後から二番目の恋』ってことは、千明と和平は結ばれないの? と思っている人もいるかもしれない。この言葉の意味については、第1期の最終回で千明のナレーションで明らかになる。

「寂しくない大人なんていない。
 だからこそ、寂しさを埋めるために恋をするのはやめよう。
 恋がなくたって素敵な人生は絶対あるはずだ。
 人生って自分の未来に恋することなのかもしれない。人生への恋はまだ終わらない。
 もし、これから誰かと恋をするとしたらそれを最後の恋だと思うのはやめよう。
 次の恋は最後から二番目の恋だ。そのほうが、人生はファンキーだ」

(しつこいけど!)千明の年齢に近づいた今、思う。私は自分の人生がようやく愛おしいと思い始めてきた。千明の言葉を借りれば「人生に恋している」。そして、未来だけではなく、今の自分にも恋している。そう、年を重ねるって最高だ。

森鷹ユキ
記事一覧
1982年生まれ。新聞社系エンタメサイトで記者を務めたのちに女性系メディア、ライフスタイル系メディアで編集者兼記者として従事。エンタメ、ライフスタイル、ジェンダーについての取材執筆を行う。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


ワイヤー矯正装着2週間、バゲット食らうコツを取得 2023.6.13(火)
「冷やし中華はじめました」の張り紙に心踊る今日この頃。「歯科矯正はじめました」の46歳女が、矯正中の食事について綴ります...
ポケモンカード強奪事件で私がとった行動 息子と上級生宅に乗り込むと…
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
尊い! カリカリタイム中の3つの“たまたま”が青空に映える~
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ひとりでもふたりでも 夕暮れ時の過ごし方 2023.6.12(月)
 カップルもおひとりさまも、気持ちよく生きられる社会になったらいいな。  いま相手がいるからって、来年も一緒にいる...
「独身に飽きた」40代女の本音、不安の中でも日々を充実させる方法6つ
 40代で独身を貫く女性たち。充実して優雅な生活をしていそうなイメージですが、実は「独身に飽きた」と感じる人もいるようで...
「1年後の自分」はまるで別人かもしれない 2023.6.11(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
恋愛もセックスも「コスパの悪い幻想」と気がついた若者たち
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(62)。多忙な現役時代を経て、56歳...
「別に」のレス連呼で一抹の不安よぎる…反抗期の子供あるあるLINE3選
 子育ては大変ですが、可愛い寝顔や「ママ大好き」の言葉に癒されて、明日も頑張ろうと思えるもの。ところが、ある時突然、可愛...
子宮失ったら性交渉は?子宮頸がんサバイバーの更年期障害と性欲と男問題
 42歳未婚で突然、ステージ1B1期の子宮頸がん宣告。悪性度が高いとされる「子宮頸部腺がん」の疑いで、5年前に「広汎子宮...
2023-06-22 18:41 ライフスタイル
【無印】今までのはなんだった?機能的&高コスパのキッチン用品みっけ!
 無印良品のキッチン用品は、どんなスタイルのキッチンにもマッチするシンプルで機能的なデザインが魅力ですよね。物価の値上が...
どんな人にも使える!万能な「励ましテクニック」のコツは視点の切り替え
 友だちが落ち込んでる時、みなさんはどうやって励ましますか? おいしいものを食べに行ったり、話を聞いてあげたり……。 ...
ねえねえ、お弁当ちょーだい! 2023.6.9(金)
 人懐っこい奈良の鹿たち。狙いはやっぱり……。 「ねえねえ、どこから来たの? お弁当ちょーだい」 「コラっ!...
自分時間は“秒”レベル! 忙しい主婦が行う「人に言えない」家事手抜き術
 世の中の40代女性は仕事に家事に育児にと、とても忙しいですよね。毎日きちんと家事をこなしていたら、自分の時間なんて1分...
見られてる?カメラマンの念に気付いた“たまたま”の緊迫表情
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
18万円の“最新ルンバ”をレンタルしてみた! 2023.6.8(木)
 お家にルンバを置くのは、ちょっとした憧れだったりします。最新モデルの性能はかなり上がっているようで、お値段もお高めです...
おっさん上司じゃなくても悩む 知っておきたいZ世代部下との付き合い方
 仕事経験も増えたアラサー・アラフォーには、部下を持っている女性もいるでしょう。中には、部下との付き合い方に悩んでいる人...