『最後から二番目の恋』千明と和平の“名前がない関係性”の意味を、大人になってやっとわかった

森鷹ユキ
更新日:2025-05-19 11:07
投稿日:2025-05-19 06:00

恋人でも夫婦でもない…でも、特別な2人

「千明と和平って、付き合ってるの?」

——現在、フジテレビで放送中の月9『続・続・最後から二番目の恋』にハマっていることを話すと、今期からこのドラマを見始めた人からよくそう尋ねられる。たしかに二人は恋人のように見えることもあるが、はっきり「付き合っている」と言える関係でもない。

 そのたびに私は、「えーっとね、お隣さん同士で仲が良いんだけど、恋人ではなくて。特別な友人というか……あ、でもキスはしたことあるかも? でも“恋人”って感じじゃないんだよね。そもそも千明は最初は真平と付き合ってたし……」と、つい長々と説明してしまう。

 けれど、まさにその“はっきりしなさ”こそが、このドラマの醍醐味であり、魅力であり、二人の関係(とこのドラマ)が「終わらない」理由でもあると私は感じている。

【こちらもどうぞ】「子どもがいない人生」は不幸なのか? SNSの“子持ちvs子なし”論争にアラフィフ独女の心がザワつく理由

世間は関係に名前を付けたがる

 世間は、特に男女が親しげにしていると、すぐに「どんな関係なの?」と名前をつけたがる。「友達」「恋人」「夫婦」など、あらかじめ用意された枠に当てはめることで、安心しようとするのだ。

「なんかよくわかんないんだよね、付き合っているのか」なんて言おうものなら、「遊ばれてるんじゃないか?」「そこははっきりしたほうがいいよ」という忠告が飛んでくる。

 その点については私もさんざん痛い目に遭ってきたし、女性の場合、妊娠のリスクもあるので手放しに「曖昧な関係のままでいいんじゃない?」なんて言うつもりはない。それは今回は置いておいて、話を戻す。

「恋人」や「夫婦」には、それを示す言葉や手続きがある。「付き合ってください」という告白文化や「婚姻届を出す」など、一定の儀式があり、それゆえに他人から見てもわかりやすい。しかし、それ以外の関係には名前がつけにくいものもあるし、そもそも名前で語れないものもある。人と人の関係は本来、もっと多様で、曖昧で、流動的なものである。

森鷹ユキ
記事一覧
1982年生まれ。新聞社系エンタメサイトで記者を務めたのちに女性系メディア、ライフスタイル系メディアで編集者兼記者として従事。エンタメ、ライフスタイル、ジェンダーについての取材執筆を行う。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


私が稼ぐしかない!「月経ディスク」で起業、元居酒屋店員の猪突猛進人生
 パワフルの塊のようなアラサー女性がいます。「株式会社MONA company」代表取締役の向井桃子さん(35)。生理用...
月経ディスクにベットする女の覚悟「ストレスを減らす手伝いがしたい」
 生理用品の一種で使い捨て可能な「月経ディスク」を企画・販売する「MONA company」代表取締役の向井桃子さん(3...
3万のフレンチ? 1カ月の食費ですけどー!心で泣いた“女子飲み”の誘い
 仲良くしている友達や、恋愛対象として見ていた人との会話で「私とは住む世界が違う……」と感じた経験はありませんか? 今回...
【45歳からの歯科矯正】歯科矯正の洗礼か! 頬がこけ、そして便秘に…
 総費用160万円かけてワイヤー矯正(表側)に踏み切った“40代半ば婦人”の歯科矯正ほぼほぼリアタイ体験談です。  今...
男性用のレース下着って知ってる?トム・クルーズと極道の「色気」の正体
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
やっぱりハブられてる? 飲み会に自分だけ誘われない理由と3つの対処法
 自分は仲良しだと思っていたグループで、自分以外のメンバーが飲み会をしていた…… なんてことが発覚したら、かなりショック...
察知できないから危険でヤバい!「ステルス地雷系の競わせ屋」の罠こわっ
 みなさんの周りには、どんなヤバい人がいますか? あ、いると決めつけてすみません……。でも正直、「この人、ヤバいな」とす...
縦も横もななめも…直線だけで造られた街の違和感と落ち着き
「なんだか不思議な風景だな」とファインダーを覗いたら、その理由に気がついた。  縦も横もななめも、すべて直線だけで...
私は佳代だよ、レイちゃんってかすりもしねえ! 関係が終わった決定打!!
 仲良しの女友達や意中の彼からのLINEでも、幻滅したり、縁を切りたいと思ったりすることはありますよね。  今回は...
40女スーパー銭湯でととのえず、ぴーちくぱーちくな先客にモヤった話
 スーパー銭湯が好きです。週末のランニングがてら、あちこちの施設に出向いております。広い湯船にざっばーん! からの~、サ...
まるで御神体のよう! 美しく雄々しい“たまたま”に幸せを祈ります…
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
どれくらい実践してますか? 家でできる環境にいいこと「7つの習慣」
 子供たちに限りある資源を残すためには、私たちの日々の努力が欠かせません。今回は、みんなが普段心がけている環境にいいこと...
胡蝶蘭はお祝い専用? 寺の住職から聞いた「お悔やみ花」としての需要
「つかぬことをお伺いしますが……」  猫店長「さぶ」率いる愛すべき我が花屋には、お客様から毎日のように“ちょっと困...
台無しなんですけど!家族旅行なのに「夫のイライラ言動」と4つの予防策
 世の女性の中には、せっかくの家族旅行中、「夫のイライラする言動」によって、楽しい雰囲気が台無しになってしまうケースも…...
“頑張り屋のメンヘラ”が「セルフラブ」という人生の処方箋を知りました
「セルフラブ」という考え方は、確実に私の人生に大きな影響を及ぼしています。  セルフラブについて学び始めた時「世界...
【にわか呑み鉄】電車とビール好きにたまらない「流鉄BEER電車」に参戦
 さる9月2日(土)、千葉県流山市で「電車好き」と「ビール好き」垂涎の1日限りのイベントが開催されました。  通常は入...