天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
天皇家のプライベートマネーが盗まれていた!
宮内庁は5月1日、天皇一家の生活費にあたる「内廷費」を窃盗していた20代の侍従職を懲戒免職にしたと発表した。盗まれた360万円はすでに弁済されていて、宮内庁との示談も済んでいるが、皇宮警察本部に刑事告発したという。
事件が発覚したのは今年の1月下旬。それから2カ月後に職員は盗みを認めたという。そこから1カ月以上も経って公表したのだが、宮内庁は当該職員の氏名、年齢、性別、具体的な宮中での役職、盗んだ動機など一切明かさなかった。
神武天皇以来、長い天皇家の歴史の中で、恐らく“前代未聞”“驚天動地”の大事件であるはずだが、新聞、テレビは宮内庁の発表を短く伝えただけだった。
内廷費は年間3億2400万円。それからすればはした金だが、事はそう簡単ではない。
GWの谷間という発表のタイミングも含めて、宮内庁側に事件を矮小化しようとする「意図」を察した週刊新潮(5月15日号)は、独自取材を重ね、犯人は25歳の男性(記事中では山崎永太=仮名)で、宮中では「内舎人(うどねり)」という役職にあったことを突き止めた。
東京郊外に住む山崎の祖母を探し出してインタビューしている。山崎の母親が若くして亡くなったため彼を引き取り、彼女が母親代わりに育てたという。
山崎は4月19日に会いに来たが、様子がおかしかったそうだ。彼女のそばを離れず、帰り際に、「宮内庁から出向になる」「350万円の借金がある」と話したという。その後、4月28日までに使い込んだお金を返済すれば示談になるということを聞き、自分のタンス預金を用意したが、結局、山崎の母方のおばあちゃんが工面してくれたそうだ。
祖母によれば、山崎は高校卒業後、経済的な問題から大学は諦め、「別に知り合いが宮内庁にいたというわけではありませんが、いろんな公務員の試験を受けたら、たまたま宮内庁の試験に受かった」という。
しかし、宮内庁担当記者によれば、職員の多くは公務員試験を合格した人間で、ごく一部に身元の保証された縁故採用者がいるだけだという。高卒で全く縁故のない人間が、「オク」といわれる皇室内部、それも祖母によると、「天皇陛下の間近でお仕えして、本当に可愛がってもらっていました」「天皇ご一家が那須御用邸で静養された際も随行していたという話で、愛子さまと花火をしている写真も携帯で見せてくれたことがあります」。正月休みには「陛下から貰った特別な紅白のみじん粉(和菓子)や、愛子さまのお印が入ったお菓子」をたくさん抱えて来たという。
さらに、天皇陛下が使うシャンプーやリンス、髪に付ける油などの補充も彼の仕事だったというのである。天皇一家のすぐ近くに一見優しそうな顔をした“盗人”がいたのである。
西村泰彦宮内庁長官は新潮の記事を読んで、肝を冷やしているに違いない。
私が推測するに、宮内庁が事件を矮小化しようとしている理由は2つある。1つは天皇家の私費が年間3億円以上あるという点に国民の関心を集めたくない。2つ目は、山崎には金を盗んだだけではなく「余罪」があるのではないか。それを口外させない「口封じ」のために、示談したにもかかわらず彼を皇宮警察本部に刑事告発したのではないのか。
祖母によれば、山崎の趣味は「乃木坂っていうアイドルの追っかけ」だったという。
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
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