「あんぱん」健ちゃん役・高橋文哉のカレーを作る“手つき”に注目。実は調理師免許を持つ腕前

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-06-03 17:35
投稿日:2025-06-03 17:35

第10週「生きろ」#47

 戦争が激化し、太平洋戦争が開戦。小麦粉が配給になり、朝田パンは休業に追い込まれる。嵩(北村匠海)は東京の製薬会社に勤めて1年が過ぎようとしていた。そんな中、健太郎(高橋文哉)に赤紙が届き、嵩は生きてまた会おうと言って見送る。

 一方、のぶ(今田美桜)のもとには、航海が取りやめになったと次郎(中島歩)が帰ってくる。

【こちらもどうぞ】「あんぱん」ヤムさんの恩返し…釜じいの台詞にホロリ。過去に何があったのか

【本日のツボ】

しれ~っと新婚の家に戻っているのぶ

 ※※以下、ネタバレあります※※

 次郎が航海中、のぶは朝田家から小学校に通うという話だったはずが、月曜の放送でメイコが「きょうも泊まっていくがやろ」とのぶに言ったり、ヤムさんの残していったレシピを元に乾パンを焼くシーンでも、のぶが「おかあちゃん、明日も帰りに寄って手伝うき」と言ったり。おかしなことを言うものだ、と思っていたら、なんと、いつの間にか、のぶは新婚の家に戻ってきた様子です。

 1話見そびれたのかと思って遡って確認しましたが、やはりそのようなシーンはなく……。同じ時代を描いたドラマ「波うららかに、めおと日和」(フジテレビ)のなつみ(芳根京子)が夫の留守にひとりで家を守っているというのに、のぶは実家に帰るってなんなんだ、という苦情がNHKに殺到したなどいう話も聞きませんが、なぜかしれ~っとそういうことになったようです。

 本日は昭和16年12月8日からスタート。ラジオがアメリカとの開戦を報じていましたが、朝田家の居間にのぶの姿はなく、ひとり自宅でラジオを聴く様子が流れていました。

 この疑問はすぐに解決します。開戦で航海が取りやめになった次郎が予定よりも早く帰ってきたのです。にもかかわらず自宅がもぬけの殻ではあんまりなうえに、朝田家に迎えに行かなくてはならないので、そこは割愛することにしたのでしょうか。

 せめて、次郎から早く帰国する旨、電報が届いたと言う場面のひとつでもあれば納得がいったのですが……。

 たしかに、のぶが居なければ、次郎が玄関でのぶを「パシャッ」とカメラで撮るシーンが成立しなくなり、そのあとの2人の暗室で現像するシーンもできなくなります。

 新婚生活もあまり描かれていないのぶと次郎にとっては貴重なエピソードになりうる場面なので、こうするしか仕方が無かったのでしょうが、ずっと見てきている視聴者を混乱させるような、ご都合主義はいただけません。

玉ねぎのみじんぎりをする健ちゃんの腕前

 健ちゃんのカレーを作るシーンです。健ちゃん役の高橋文哉は調理師免許を持っており、たまねぎをみじんぎりにする手つきがさまになっていました。ご自慢の腕前を披露できてなによりですが、別れのカレーになってしまったのが残念です。赤紙がきたことをなかなか言い出せない健ちゃんの切なさが伝わってきました。

 嵩だけでなく、私たち視聴者にとっても癒しの存在だった健ちゃん、どうかご無事で。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


公園ランチの約束は叶うのか? 花岡の“しょんぼり言動”が不穏すぎる
 ホーナー(ブレイク・クロフォード)から子供たちにとチョコレートをもらった寅子(伊藤沙莉)は、公園で花岡(岩田剛典)に再...
桧山珠美 2024-06-06 17:00 エンタメ
いよいよ裁判官編。NHK制作陣の遊び心、8時14分過ぎに見たり
 昭和22年3月。新しい日本の憲法に希望を見出した寅子(伊藤沙莉)が向かったのは法曹会館。そこには空襲で被害を受けた司法...
桧山珠美 2024-06-03 16:05 エンタメ
「虎に翼」お宝物件!三山凌輝はピアスにアクセジャラジャラの“チャラ”男
 先週のNHK朝ドラ「虎に翼」第9週「男は度胸、女は愛嬌?」は、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)にとって、悲しみの連続でした。...
刮目!伊藤沙莉“静”の演技、「佐田優三 仲野太賀」表示も期待は泡沫に…
 これまでの後悔と秘密をすべて打ち明けて、直言(岡部たかし)は安らかに亡くなった。  寅子(伊藤沙莉)は何事もなか...
桧山珠美 2024-05-30 19:10 エンタメ
古谷徹は“あの役”降板?声優不倫騒動の後始末、カギは「キャラの私物化」
 レジェンド声優・古谷徹(70)の不倫報道が世間を騒がせている。 『文春オンライン』よって報じられた37歳年下女性...
優三も草葉の陰で苦笑い? 前代未聞な別れの“懺悔”は直言らしい名場面に
 直言(岡部たかし)は栄養失調と肺炎でもう長くはないと診断される。直言が大事なことを隠していたと知った寅子(伊藤沙莉)の...
桧山珠美 2024-05-30 18:50 エンタメ
「見るんじゃない」と直言。ダチョウ倶楽部の“押すなよ、押すなよ”を彷彿
 直言(岡部たかし)の体調が優れない。寅子(伊藤沙莉)と直明(三山凌輝)はマッチ製造の仕事を紹介してもらい、はる(石田ゆ...
桧山珠美 2024-05-28 15:30 エンタメ
視聴率苦戦だから失敗に物申す!山下智久と錦戸亮、5年ぶり民放作の意義
 山下智久(39)が主演を務める「ブルーモーメント」(フジテレビ系)、錦戸亮(39)がキーマンとして出演する「Re:リベ...
こじらぶ 2024-05-25 06:00 エンタメ
「おいしいものは一緒に」出征前の河原デート。はて?初回を思い出すと…
 寅子(伊藤沙莉)は訪ねてきた後輩の小泉(福室莉音)から、女子部が閉鎖されることになったと知らされる。  今年は高...
桧山珠美 2024-05-24 15:30 エンタメ
優三の優しさシャワー全開!寅子のゴロゴロ床入り作戦も大成功だった神回
 昭和17年3月。直言(岡部たかし)の工場は軍からの注文が途切れず、順調に稼働を続けていた。戦時下で食べ物が貴重になる中...
桧山珠美 2024-05-21 15:30 エンタメ
朝ドラヒロインは「大日本国防婦人会」と揉めるのがお約束
 結婚した寅子(伊藤沙莉)は弁護の依頼も来るようになり順調な日々を送る。  ある日、手伝いとして働くよね(土居志央...
桧山珠美 2024-05-20 15:30 エンタメ
角界一の美容力士・翔猿らが明かした脱毛&モテ事情、全力で推したいのは
 圧倒的な強さと精神力、鍛え抜かれた筋肉美、昭和の名横綱“ウルフ”千代の富士、整った顔立ちと沸き立つ色気がたまらない“各...
「僕じゃ駄目かな」あすなろ白書のキムタクを想起、優三渾身のプロポーズ
 寅子(伊藤沙莉)は、弁護士として社会的な信用を得るためにお見合いをさせて欲しいと直言(岡部たかし)とはる(石田ゆり子)...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
事件はいつも「あの階段」で起こる! 岩ちゃん演じる花岡もう婚約
 晴れて弁護士になったが、女性であることを理由になかなか依頼をしてもらえない寅子(伊藤沙莉)。「女の幸せより大事なものか...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
炎上芸人・粗品は松本人志にビビってない!キンプリへの暴言も計算済み?
 2018年にコンビとして『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)のチャンピオンとなり、2019年にピン芸人として『R-1ぐ...
堺屋大地 2024-05-15 06:00 エンタメ
「握手」の演出に伏線?寅子と花岡は友情の証、優三のそれとは真逆だった
 寅子(伊藤沙莉)の1年先を行く花岡(岩田剛典)は司法修習後の試験に合格。どうしても早く伝えたいと寅子に電話をしてきたの...
桧山珠美 2024-05-14 16:00 エンタメ