DV彼氏に悩む23歳アルバイト女性と男女の仲に
そんな時、アルバイト募集で来たのが、当時23歳の優佳さんだ。
「優佳は笑顔が愛らしい素朴な感じの子。疲れ切っていた僕には、まるでオアシスのようでした。実家は山梨のブドウ農家だそうです」
彼女には同棲中の彼氏がいたが、DV気質で口論が絶えないという。
二の腕には、アザが癒えきらずに残っていた。
「僕は『そんな男とは別れたほうがいい』と何度も言いました。でも彼女は、『別れを切りだすと、もっとひどい目に遭う』と怯えていて…。ある夜、『帰りたくない』という彼女を、店の2階に泊めたんです」
そこで、ふたりは男女の関係になった。
「彼女が『こんなに優しくされたのは初めて』と泣いた時、僕は男としての自分を取り戻しました。隣に女として甘えてくれる人がいる…それだけで、満たされた気がしたんです」
妻からの衝撃的一言…ますます愛人に惹かれていって
季節は流れ、息子は3歳になった。
妻は育児の合間に在宅ワークを始め、息子も目黒区の保育園に通うように。表面上は穏やかに見えた家庭生活の裏で、和彦さんの心はますます優佳さんへと傾いていく。
その頃には、優佳さんも暴力的な彼氏ときっぱり決別し、和彦さんの店で正社員として働くようになっていた。店もかつての活気を取り戻し、ふたりは公私ともに深く関わるようになっていく。
「お互いに、心のすき間を埋め合っていたんだと思います。息子は完全にママっ子で、僕にはなかなか懐いてくれなかった。妻も育児やママ友づきあい、そして在宅の仕事に追われていて、僕の存在はどんどん薄れていった。だからこそ、優佳の存在が心の救いになっていたんです」
和彦さんはそう目を細めるが、ある日、園のお迎えから帰ってきた妻が、沈んだ顔で告げてきた。
「園で、息子が『お前のパパ、おじいちゃんみたいだ』って言われたそうで…それで『パパ、もうお迎えには来ないで』って、僕をにらんだんです。さすがに堪えましたね。周りのパパたちは20代~30代で、服装も今どき。僕は腹も出てるし、完全に浮いていたんでしょう」
傷ついた心は、いっそう優佳さんに引きよせられていった。
愛人の告白、そして離婚へ動き出すも…
そしてある日、優佳さんはこう言ってきたのだ。
――社長と結婚したい。
――子どもはいらない。ふたりでこの店を守っていきたい。
和彦さんは震える心を抑え、問い返した。
――もし離婚できたら、本当に結婚してくれる?
――ええ、もちろん。
妻とは数カ月にわたって話し合い、慰謝料や養育費の取り決めも終えた。優佳さんの存在を明かすと、最初こそ激高した妻も、やがて疲れた表情でこうつぶやいた。
――息子との生活がちゃんと守られるなら…もう、あなたのことは追わないわ。
あとは、来週、離婚届を区役所に出すだけだった。
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