中島歩「あんぱん」の名演に視聴者涙…“棒読み俳優”のトラウマ克服、11年ぶり朝ドラで進化

更新日:2025-06-27 17:03
投稿日:2025-06-27 17:00

 視聴者が涙する名演技を見せた俳優の中島歩(36=写真)。放送中のNHK朝ドラ「あんぱん」に出演中で、今田美桜(28)が演じるヒロイン・のぶの夫である若松次郎を演じている。一等機関士として働いていたが、「肺浸潤」という肺病に罹患し、入院を余儀なくされるという役柄だ。

 ドラマウオッチャーで芸能ライターの山下真夏氏は、「6月23日放送回での中島さんの演技が深く印象に残っています。病に伏してベッドの上、という制限が多い設定の中、中島さんは次郎の心情を繊細に表現した。もどかしそうに時折、体を動かしながら話す様子は、のぶという愛妻を残して逝くかもしれないという焦りの表現とも捉えられた。かと思えば、笑顔をつくる様子はまだ生きたいという生への渇望にも見えて……涙してしまいました」と話す。

 次郎は6月24日放送回で帰らぬ人に。のぶを優しく包み込む大人の男の余裕と穏やかさに多くの視聴者が《次郎さん、素敵》《もうちょっと出てほしかった》《次郎さんの演技に泣かされた》という声を残している。

 中島にとって朝ドラは「花子とアン」(2014年度前期)以来、11年ぶりの出演。同作ではヒロイン・安東はな(吉高由里子=36)の親友・嘉納蓮子(仲間由紀恵=45)と恋に落ちる帝大生・宮本龍一を演じた。中島にとってはそれが初のテレビドラマレギュラー出演。ルックスの良さと身長186センチで長い手足を持つ抜群のスタイルで、登場時は話題となったのだが……。

「まだあの当時は演技がついていっておらず、《棒読み》なんて辛辣な声が視聴者から相次ぎました。それは中島さんの耳にも届いていたようです。最近の取材で、中島さんは『納得のいく演技が全然できず、評判もよくなかったので……。今回、それがトラウマになっているんだなと感じました』と話されています。次郎の演技しか知らない人にとっては、想像できないかもしれませんね」(エンタメ誌編集者)

■吉田鋼太郎の演技と比較され…

 その一方で、「花子とアン」では、蓮子の夫で“九州の石炭王”嘉納伝助役に扮した吉田鋼太郎(66)の芝居は瞬時に視聴者の心を掴み、お茶の間に《伝さま》ブームを引き起こした。中島演じる龍一とはいわば敵役ともいえる役柄だった。

「当時の吉田さんはテレビドラマ界ではまだ馴染みが薄かったかもしれませんが、演劇界ではすでに《演劇界の宝》的存在。滑舌の素晴らしさ、舞台のどの場所にいても人の目を引く存在感。まさに威風堂々というイメージしかない。そんな吉田さんと新人だった中島さんの演技と比べるのはあまりに酷な話ですが、吉田さんが目立てば目立つほど中島さんにケチがついてしまった」(前出の山下真夏氏)

■「ふてほど」にも出演

 本人にとっては苦い思い出となった朝ドラ初出演。が、その後は順調にキャリアを重ね、昨年は阿部サダヲ(55)主演の人気ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS)の教師・安森役で再び注目を集めた。

「何とも言えないユーモアセンスも中島さんの持ち味のひとつだと、『ふてほど』や放送中のキンチョーのCMでよく分かりました。初めてのドラマのレギュラーで演技に厳しい声が飛んだのに、諦めずに地道に進んだ。正直な話、まったく演技が進歩しない役者さんもいますが、中島さんは初期と比べて段違いに飛躍した。ここから先、もう芸能界の立ち位置は安定でしょう」(ドラマ制作会社スタッフ)

 2度目の朝ドラ出演は中島にとっても納得のいくものとなったに違いない。

  ◇  ◇  ◇

「あんぱん」人気の理由は、■関連記事【もっと読む】【さらに読む】【まだまだ読む】を読めば分かる。

エンタメ 新着一覧


小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ
東京大空襲、愛し合うスズ子と愛助の運命は…金曜放送回を前におさらい
 トミ(小雪)の許しが出て、山下(近藤芳正)が正式に楽団のマネージャーとして加わることになった。  スズ子(趣里)...
桧山珠美 2023-12-27 17:40 エンタメ
コワモテ黒田の起用は大正解! スズ子派に寝返り、顔芸と手振りが秀逸
 結核が再発した愛助(水上恒司)の看病を、三鷹の家で続けることになったスズ子(趣里)は、日々愛助のために身を尽くしていた...
桧山珠美 2023-12-26 15:50 エンタメ
藤井風「いちすき」で見せた弾き語りに惚れ惚れ、黒髪に代わってホッ
 21日、木曜劇場「いちばんすきな花」(フジテレビ系)が最終回を迎えました。  昨年、社会現象を巻き起こした目黒蓮...
平野・神宮寺・岸のNumber_iデビュー間近 24年は注目多数の群雄割拠
 滝沢秀明氏創設のTOBEに合流し、本格始動が待たれている元King & Princeの平野紫耀(26)・神宮寺勇太(2...
こじらぶ 2024-02-16 10:40 エンタメ
朝ドラでは珍しい正面からの接吻!愛助ママ(小雪)来襲で“恋の炎”燃ゆる
 愛助(水上恒司)は母・トミ(小雪)に呼び出される。トミからは、スズ子(趣里)に会うのはやめるように言われ、山下(近藤芳...
桧山珠美 2023-12-22 14:40 エンタメ
北川景子に長澤まさみ…SNS離れの深層、イメージ戦略には逆効果?
 12月16日、女優の北川景子(37)の写真集『『「37」 20th anniversary』公式アカウントがInsta...