芸能人の番組・CM降板…莫大な違約金報道の信ぴょう性と過剰なまでのCMキャンセルの謎に迫る
2025年の上半期が終わった。昨年末からだけでも元SMAPの中居正広氏(52)、今年に入ってからは俳優の永野芽郁(25)、田中圭(40)の2人、さらに元TOKIOの国分太一(50)と芸能人のスキャンダルが次々と発覚している。それぞれ、疑惑を一部否定したり、完全否定している場合もあれば、「コンプライアンス違反」との説明のみで本人が活動自粛したりなど対応はさまざまだ。
そんな中、共通して話題になるものがある。番組・CM降板、そしてそれに伴う違約金だ。特に、国分の番組・CM降板に伴う損害賠償額は40億~50億円になると報じるメディアもあるほどだ。人気タレントともなると契約金が大きい代わりに問題を起こすとペナルティーもデカいのかと思いたくもなるが、そもそも、このウン十億円と言われる損害賠償額は違約金として支払うものらしい。だが、いくらなんでも少々高額すぎではないだろうか。
第一、日本では懲罰的損害賠償は認められていないとされている。この制度は加害者に社会的制裁を加える必要があると裁判所が判断した場合に、実際の損害額を超えて認められる賠償金を課すことを指し、アメリカでは賠償額が天文学的数字になることが珍しくない。しかし、日本では損害賠償とは「相手に与えた損失を補償すること」を重視していて、基本的に加害者に制裁を加えることまで予定されていない。
それなら数十億円とも言われる莫大な金額は、全額がタレント側が企業側に与えた損害額だけで到達する額なのだろうか。番組・CM降板に伴う違約金のシステムについて、民事訴訟に詳しい山口宏弁護士が言う。
「タレントがCMに出演する際、芸能事務所と企業側との契約書に『損害賠償額の予定』を入れておきます。これがいわゆる違約金に当たります。そして問題が起きた時、違約金はできるだけ具体的に算定されなければいけません」
■商品そのものの人気のピークが過ぎたということも考えられる
タレントがいわゆる「不祥事」を起こした場合、CMを作り直す費用のほかに、そのタレントがCMに出ていたことによってどれだけ売り上げが下がったかを具体的に算出しなければならないという。それ加えて、山口氏によると、「売り上げが下がったといっても、その分がタレントの責任として認められるとは限りません。商品そのものの人気のピークが過ぎたということも考えられるからです」。
となると、裁判になれば実際にタレント側に請求している「損害賠償額の予定額」が全額認められるとは限らないように思われるし、報道のように賠償額が40億~50億円になるかどうかについてもいったん立ち止まった方が良さそうにも思える。
さらに「被害者たる企業の側にも損害の拡大防止義務があります。つまり、問題があったタレントをCMに使い続けて売り上げが下がったとしても、それは被害者、企業の側が自分の被害の拡大を防止する努力を怠ったとされます」(山口宏氏)。
昨今、タレントの不祥事が起きた時にすぐさまCMが差し止められるケースが多い。企業側がイメージを守るためというのはもちろんだが、それ以前の問題として、「企業が被害が拡大しないように手を打っておかなければ、タレント側に損害賠償を請求しても認められない可能性がある」(山口宏氏)からという面もありそうだ。
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