「あんぱん」薪鉄子が持つ“小道具”の細かさに気づいた? すれ違いコントは見なかったことにします

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-07-16 17:31
投稿日:2025-07-16 17:31

第16週「面白がって生きえ」#78

 鉄子(戸田恵子)からの電話に出た東海林(津田健次郎)は、ひとり考え込んでいた。鉄子がそんなに怒っていたのかと、慌てて謝罪するのぶ(今田美桜)。すると、東海林から意外な返答が。

 その夜、嵩(北村匠海)たちと屋台で酒を飲んでいた東海林は、鉄子がのぶを引き抜こうとしていることを打ち明け、どうしたものかと考えあぐねる。同じころ、のぶもメイコ(原菜乃華)に鉄子の話をしていた。

【こちらもどうぞ】「あんぱん」嵩らの“腹痛”は史実とちょっと違う? 懐かしい2人の登場には狂喜乱舞! 生きていてよかった…

【本日のツボ】

「ガード下の不思議なおじさん」の記事

 ※※以下、ネタバレあります※※

 薪鉄子からの電話に月刊「くじら」編集部一同、ガクブルです。最初に電話をとった岩清水(倉悠貴)が「編集長、薪鉄子先生からです。怒っちゅうかもしれません」と言い。不穏な空気に。それを受けた編集長の東海林が、「ついにきたか」と。その様子を不安そうに見つめるのぶ。

「『月刊くじら』最新号、読ませていただきましたよ。驚きましたー。まさかこんな記事だとは。夢にも思いませんでした」。

 受話器の向こうの鉄子の言葉に、「最新号、もう読まれたそうです」と倉が言えば、「そりゃあ怒ってらっしゃるやろう」と東海林。

「若松のぶさんに代わってくれとおっしゃってます」と言う岩清水に、「私、お詫びします。ちゃんと……」というのぶの言葉を遮るように、「待てぇ。お前がお詫びしても責任とれんやろ。俺が出る」と岩清水。

 この間、ずっとバックに不穏な音楽が流れ、視聴者の不安感を煽ります。

 ですが、もう、薪鉄子から電話がかかってきた時点で、大半の視聴者はクレーム電話ではないだろう、と先読みしていて、この一連の「『月刊くじら』電話コント」がなんとも薄ら寒かったです。

 ここ、笑わせるところだったのかもしれませんが、見事にすべっていました。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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