活躍続く大学お笑い出身者 彼らが「先輩から煙たがられる」状況はいつ変わったのか

更新日:2025-07-24 15:08
投稿日:2025-07-24 15:05

 先日放送された「ダブルインパクト 漫才&コント二刀流No.1決定戦」では、ニッポンの社長が優勝したが、ファイナリスト7組のうち、ななまがりやかもめんたるなどは“大学お笑い出身”だ。お笑い業界の中で、すっかり定着しつつあるその存在について、お笑い研究家の鈴木旭氏が分析した。

  ◇  ◇  ◇

 先日配信された「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日系/AbemaTV=6月27日、7月4日に配信)の企画「お笑い研究部」に鬼越トマホークの金ちゃんと良ちゃんが登場。昨年、新勢力として注目を浴びた“大学お笑い”を口撃したが、令和ロマンに返り討ちに遭った彼らが、“高卒芸人”代表として、約1年の時を経て再び牙をむくこととなった。

 まずは、金ちゃんがNSCに入った親戚から「東京NSCが大学お笑いに乗っ取られている」と相談を受けたことを報告。お笑い養成所に大学のお笑いサークル出身者が増えてしまい、「大学も行ってないのにお笑いなんてやるなよ」と嫌みを言われたり経験値の差を見せつけられたりと、何も知らずに入ってきた生徒たちを苦しめているという。

 実際、金ちゃんの親戚はNSC卒業後に大学に入学。そんな状況を懸念した良ちゃんは、中卒・高卒芸人こそ「実はチャンス」だと力説する。

 昨年の「M-1グランプリ」で準優勝を果たしたバッテリィズのエースは、高校2年生まで漫才そのものを知らなかった。海外で注目を浴びる渡辺直美、とにかく明るい安村、ウエスPらも中卒・高卒だ。

 良ちゃんは、彼らの成功の裏に「もうこれでやっていくしかない、という覚悟」があったと熱弁。大学お笑い全盛の時代だからこそ、そんな規格外の芸人がカウンターとなり脚光を浴びる可能性も高いとエールを送った。

■視聴率の評価基準は世帯から個人へ

 今年は「R-1グランプリ」で友田オレ、芸歴5年目以内の若手芸人を対象とする「UNDER5 AWARD2025」で現役大学生コンビ・あなたとネが優勝。相変わらず大学お笑い出身者の活躍が目立つが、10年前はだいぶ状況が異なっていたようだ。

 例えば、真空ジェシカ、ストレッチーズ、さすらいラビー、Gパンパンダらの世代は、大学生を対象とする大会以外に「学生才能発掘バラエティ 学生HEROES!」(テレビ朝日系。2010~17年)の企画で一目置かれるチャンスもあった一方、プロ入り後の大学お笑いに対する強い風当たりも食らっている。

 今年4月に取材した中で、さすらいラビー・中田和伸が駆け出し時代を振り返り、「いろんなライブに出る中で、大学お笑いのノリを少しでも見せると、先輩方から煙たがられるんです」と苦笑していたのを思い出す。当時、まだ大学お笑いには「学生の内輪ウケ」というイメージが強かったのだろう。

 2019年に霜降り明星をはじめとする若手ブームが巻き起こり、テレビ局の評価基準が世帯視聴率から個人視聴率に移って若い世代中心の番組を増加させた。このあたりから、ラランド、真空ジェシカ、令和ロマンらがM-1やバラエティーで頭角を現し、大学お笑いも市民権を得ていった印象が強い。そして一気に王道ルートとなると、幅を利かせる者やそれに反発する者が現れるのは世の常だ。

(鈴木旭/お笑い研究家)

  ◇  ◇  ◇

「名前」は売れる売れないに直結する可能性がある以上、慎重に決めなければならない。関連記事【もっと読む】水ダウ“ドッキリ企画”で「インディアンス」→「ちょんまげラーメン」に…お笑い芸人「改名」の功罪…では、改名の効果について伝えている。

エンタメ 新着一覧


平手友梨奈に平野紫耀ら事務所移籍組が躍動!俳優と歌手の二刀流はあるか
 平手友梨奈(22)が出演するドラマ「うちの弁護士は手がかかる」(フジテレビ系)が好評を博している。  平均世帯視...
こじらぶ 2023-10-28 06:00 エンタメ
魂のラインダンスに涙、涙…入浴シーンの「四季の宴」趣里、歌うまい!
 山寺でのストライキは団員たちの要求が全面的に受け入れられ、幕を閉じる。  山を降り、ようやくいつも通りの練習を始...
桧山珠美 2023-10-25 16:30 エンタメ
梅丸少女歌劇団による山寺でのダンスシーンはニュースになった“アレ”
 山寺でのストライキが続く中で、大和礼子(蒼井優)はスズ子(趣里)に自分の過去の話をする。両親に反対されて、縁を切ってま...
桧山珠美 2023-10-24 17:03 エンタメ
道枝駿佑“マイハル”の無表情は拙い?いいえ、ラストの笑顔のためだった!
 秋の新ドラマがスタートしています。いくつかチェックしましたが、ミステリーや考察ドラマって疲れて帰ってきた頭と体にはなん...
色恋に敏感なリリー、昭和8年が舞台の朝ドラに「百合」の描写は必要?
 大和礼子(蒼井優)はストライキをするしかないと言い出す。一方、橘アオイ(翼和希)は、お客様が大切だと言い、また、礼子が...
桧山珠美 2023-10-20 16:20 エンタメ
直撃!俳優・藤原大祐の恋愛観「告白するなら年上、1回目のデートで」
 10月20日から全国公開となる新感覚ホラー映画「リゾートバイト」。小さな島の民宿でアルバイトする大学生たちに様々な怪奇...
2023-10-20 06:00 エンタメ
【写真特集】藤原大祐を直撃! ここでしか見られない本編&未公開カット含む全29枚!!
                                        ...
2023-10-20 06:00 エンタメ
労働争議で板挟み…“スズ子の恩人”林部長役・橋本じゅんの意外な一面
 世界恐慌の波が押し寄せ、USKの賃金削減と人員削減が告げられる。一部の楽団員と新人の劇団員は解雇されてしまった。 ...
桧山珠美 2023-10-19 15:40 エンタメ
大和礼子(蒼井優)さまの箴言…誰にも負けないスズ子の個性とは?
 昭和8年。デビューから6年が経ち、スズ子(趣里)は脇役ながら劇団の中心メンバーとして活躍し、新人の教育係にもなっていた...
桧山珠美 2023-10-16 14:30 エンタメ
タバコの逢引き場面にズキュン!“喫煙イケメン”柳俊太郎にやられます
 コンプライアンスなるもののせいで、昨今のドラマはなにかと不自然なことが多いようで。  犯人が車で逃げるシーンで「...
朝ドラ本編とは別にオリジナルの舞台演目フルver.も制作、手が込んでいる
 鈴子(澤井梨丘)は1週間で稽古に復帰し、同期3人で切磋琢磨して稽古を続けた。  単独公演まで1カ月となり、鈴子た...
桧山珠美 2023-10-14 13:30 エンタメ
宝塚からセクシー女優に転身、“芸能人の有名税”となぶっていいのか
 セクシー女優という職業は、昔と比べると女性にとっても身近に感じる職業となってきました。モデルやグラビア、アイドルなど、...
大和礼子(蒼井優)が手渡したトンボ柄の布は…主人公・鈴子そのもの
 公演で橘アオイ(翼和希)の衣装の羽を忘れたことをきっかけに鈴子(澤井梨丘)たち3人は仲違いをしてしまう。  そん...
桧山珠美 2023-10-11 16:15 エンタメ
物語が動き出した2週目、鈴子指導役は宝塚不合格の現役OSK男役スター
 鈴子(澤井梨丘)は梅丸少女歌劇団(USK)に研究生として入団する。鈴子たち新入生は、まず先輩の稽古を朝から見て覚えてい...
桧山珠美 2023-10-09 15:20 エンタメ
ご意見番GACKTがバカなフリしてジャニーズ問題連投の訳、「貝」も得意
GACKT様(歌手、実業家・50歳)  GACKT様はセルフブランディングに余念がなく、常に自身の好感度アップのた...
堺屋大地 2023-11-14 16:25 エンタメ
ジャニーズの看板消滅…北公次のバク転から始まったイケメンアイドルたち
 ジャニーズ事務所の名称が10月17日からSMILE-UP.(スマイルアップ)に変更されるそうですね。頭では理解している...