異様な束縛とひどすぎる悪口
「開口一番、『彼の休みに何の用?』『もしかして、栄太を狙ってる?』と責められたんです。あまりの剣幕に驚きました。事情を説明しても、まったく聞き入れてもらえませんでした。それでも、何とか黒染めを終え、お客様は満足して帰ってくれたのですが…」
この一件を境に、空気は一変する。
栄太さんからは「さっきはごめん。結婚してから束縛が激しくて…」とLINEが届き、休日は連絡禁止、男友達との飲み会もNG。
さらには『女性客には極力触れないで』『十和子と仲良くしないで。あの子、意外にあざといの』とまで言われたという。
「ひどい言われようで驚きました。しかも、結婚してからの栄太は痩せて、顔色も冴えなくなっていて…『結婚相手を間違えたかもしれない』と弱音を吐くこともありましたね」
どうせ疑われているならいっそ…
そしてある夜。残業を口実に、栄太さんと2人で飲みに行った十和子さんは、ついに一線を越えてしまう。
「半分は絵美への怒り、半分は栄太に安らいでほしい一心でした。どうせ疑われているのだから、いっそ…という気持ちで」
その後も栄太さんから「今日、少しだけ会えないか」と誘いが続き、2人の関係はズルズルと続いていった。
「不倫が最低なのはわかっています。でも、気づけば私も彼に惹かれ始めてしまって…」
本当に悪いのは誰?
ここで立ち止まって考えたい。本当に悪いのは誰か?
もちろん、絵美さんの過剰な束縛は、夫婦関係を確実に壊した。だが一方で、十和子さんと栄太さんの「不倫関係」が始まった時点で、もはや「被害者」ではなく「加害者」にもなっている。
束縛されて苦しんでいる夫を見て「救いたい」と思う優しさは理解できる。だが、それを「不倫」という形で実行してしまえば、結果的に誰も救えない。むしろ、3人全員が傷つく。
不倫とは、最初こそ「癒し」や「逃げ場」のように感じても、結局は現実から目をそらすだけの刹那的な逃避に過ぎない。
彼は妻との問題を解決しようとせず、ただ外に逃げただけ。そして十和子さんも「彼を守る」という言い訳で、自ら泥沼に足を踏み入れた。
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