30代はご褒美ボディケア、中年女は塗り薬まみれ。色気から進化した風呂上りの「おばケア」事情

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-10-01 11:45
投稿日:2025-10-01 11:45

これはボディケアではなく、治療の一環

 そして、かかとと肘に尿素クリームを塗り塗り。まだ湯上がりおばケアは終わらない。

 30代でやっちまったぎっくり腰の影響が地味に残っていて、いつ再発するのかわからない小爆弾を抱えた状態が続いている。鍼灸とスポーツ外科には定期的に通っている。ドクターに「湿布だとどうもかぶれてしまう」と伝えると「最近はもっと効果のあるタイプがありますよ」と、クリームタイプの湿布薬を処方された。座業を生業にしていると、腰への負担も大きく、「ちょっとまずいな」と感じたら、このクリームを塗ってから寝るようにしている。今がそのタイミングだ。また塗り塗り。ああ、ツンとする香りが鼻につく…。

 続いて膝下にできてしまった湿疹に軟膏を塗る。どうも季節の変わり目やストレスが溜まると勃発してくる、長いつき合いの湿疹だ。ラストに全身に塗るのは、ボディクリームではなく、皮膚科で処方された保湿剤。乾燥肌なのでもう対策を始めた方がいいと、ドクターに促された。と、これで湯上がりおばケアは終了。改めて数えてみると計7種類も体に塗っている。なんだか色気も素っ気もない。何か利点があるとすれば忘れっぽい年頃になったのに順番を間違えず、コツコツと毎日継続だけは達成できている。全てが治療なのだから、当然なのだが。

 30代前半までは湯上がりケアなんて、全く縁がなかった。そんなケアがなくても、プルツヤの肌だったからだ。30代後半からいい香りのボディークリームを、自分へのご褒美に購入するようになった。そして気づくと体に塗るアイテムは全て薬になっていた。特にホルモン補充ではあるが、これも更年期だけと捉えてしばらくつきあっていこうと思う。そのうちまた香りでボディークリームを楽しむ時期も来るだろう。何より更年期ばかりを考えていると、気が滅入る。これは体が次のステージへ進むための過渡期。第二の思春期なのだ。

 そう考えていたらスマホのアラームが鳴った。いかん、いかん。ホルモン補充の錠剤タイプを服用する時間だ。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


水商売の水は流水説 夜の街で働くホステスやホストだけが当てはまるの?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
朝日に向かって飛び立つハクチョウにも悩みがあるとしたら…
 朝日を浴びて飛び立つハクチョウたち。並んで飛んでいるけど、それぞれどんな立場で、どんな関係なんだろう。  きっと...
イラッ!遅刻を許せない私は心が狭い? 穏やかな心を保つ3つの考え方
 会社や約束の時間に、平気で遅刻を繰り返す人を見ると「許せない!」と感じる人は多いはず。とはいえ、自分がイライラすれば周...
シャトレーゼ専用のポイ活は知らなきゃ損! 激アツ宿泊特典&賢い裏ワザ
 シャトレーゼのお菓子はよく食べているのに、シャトレーゼのポイント「カシポ」を知らないなんてもったいない! 「カシ...
贈り物に「無理して喜ぶ」はNG行動 本当にイイ女は“感動コスパ”の猛者
 誰かに喜んでもらえるのって嬉しいですよね。そして小さな労力でたくさん喜んでもらえたら、もっと嬉しいですよね。それが“感...
2月相次ぐ地震で“南海トラフ”がトレンド入り 専門家の警戒する地震は?
 2月15日午前10時8分、京都府南部で震度3(マグニチュード=M3.7)の地震が発生。14日にも同じ場所で震度4(M4...
仕事をがんばるあなたへ こんな時代だからこそ「自己肯定感」を高めて
 自分を条件なしに肯定できる力を「自己肯定感」といいます。あなたは、自己肯定感が高いですか? 低いですか? 実は、自己肯...
祝「日刊ニャンダイ」発売! 俺の“たまたま”も載ってるよ♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
私が芸能活動できるのはギャラ飲みのおかげ! タレントの卵の実生活は…
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
自分がナンバーワンになれる場所 それを見つけるのも才能
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
春を告げる「ミモザ」、“命短し”可憐なフワフワを長持ちさせる鉄の掟3条
 先だって大雪に見舞われた、我が愛すべきお花屋の周辺にも春を告げる鳥がボチボチやってくるようになりました。  しかも店...
羽田と成田を間違えた! 職場の新人やらかしエピソード5つ
 新人の頃は、誰でも一つや二つの失敗体験があるもの。でも、中には「ありえない」と思うようなやらかしエピソードも…。  ...
通り過ぎた季節、むせかえるほど深い秋景色の中を歩いた
 何層にも重なった、むせかえるほど深い秋景色。  通り過ぎた季節を想うとやたらと切なくなるのはなぜだろう。 ...
BIGな“にゃんたま”ライバル出現!おにゃんこを巡る壮絶な三角関係ぼっ発
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ペラペラさが逆に良い!100円均一のトラベルグッズが海外旅行で重宝した
 コロナが落ち着いて旅行する機会が増えた方も多いのではないでしょうか。  トラベルグッズを買い揃えるために100...
私「あ、大丈夫よ?」勘違い女「なんとか調整する」いや誘ってないから!
 自意識過剰だったり、自分に自信があったりする女は“勘違い女”になりがち。そんな女性からのLINEには、思わず「いやいや...