NHK朝ドラ“女房もの”はいつも話題になるが…今度の「ばけばけ」は大丈夫?
著名人の妻がヒロインの「女房もの」は、NHK連続テレビ小説の人気ジャンルとして、すっかり定着した。9月29日から始まった「ばけばけ」も、作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・セツをモデルにした夫婦物語である。
■「何も起きない」ジミ~な物語
明治半ば、まだ国際結婚という言葉もないころに、島根・松江の没落士族の娘・トキ(高石あかり)は“異人さん”と結婚し、子どものころに祖母や母、近所の人から聞いた怪談や説話を夜な夜な夫に語り、夫のハーンはそれをせっせと読み物としてまとめていくという、実はかなりジミ~な朝ドラらしい。脚本家のふじきみつ彦も「何も起きない物語」と言っちゃったりしているのだが、大丈夫なのか。
八雲はのちに再話文学の作家として評価されるが、セツと結婚していたころは現在の島根大、熊本大、東京大などを英語教師として渡り歩き、狭心症で早世する。だから、セツもとくに何かを成したり、世に知られたりするわけでもない。ドラマではそんな「名もなき人々」を描くという。
「でも、退屈させない仕掛けはいろいろあるようですね。たとえば、『耳なし芳一』『ろくろ首』などのお化けが小芝居で登場したり、ハーンはかなりの変わり者で、日本の食事はいっさい受け付けず、癇癪もちで周囲と衝突ばかりというエピソードで笑わせるはずです。また、夏目漱石とは熊本大や東京大で英語教師の先任・後任の関係なので、おそらく劇中にも登場するのでしょう。誰が漱石役をやるのかも興味あります」(テレビ情報誌編集デスク)
これまでも「女房もの」は、いずれも話題になっている。作詞家・なかにし礼の「てるてる家族」(主演=石原さとみ)、漫画家・水木しげるの「ゲゲゲの女房」(松下奈緒)、日本のウイスキー製造の草分け・竹鶴政孝の「マッサン」(シャーロット・ケイト・フォックス)、インスタントラーメンの開発者・安藤百福の「まんぷく」(安藤サクラ)、そして前作の漫画家・やなせたかしの「あんぱん」(今田美桜)もそうだ。好評だった作曲家・古関裕而の「エール」(二階堂ふみ)、植物学者・牧野富太郎の「らんまん」(浜辺美波)は女房の話ではなかったけれど、メインキャストは実は女房だった。
「『ばけばけ』はちょっと不気味な世界も描かれるわけですが、高石あかりは若いのに演技力に定評があり、元気なだけじゃない新しいタイプの女房ものになりそうです」(前出の編集デスク)
まさに大化けするかもしれない。
(コラムニスト・海原かみな)
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